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文化祭 裏 校門前の交渉

 輝夜 ミツキがコスプレ喫茶に励む頃、荻山 軽音の策略により異様な程混み合う校門付近でルイ・マイヴェスは交通整理を手伝っていた。


 ピピーッ!!


 「はーい!入場の方は右側通行でお願いしまーす!!」


 「いや〜ルイちゃんありがとう!思いの外すんごい人来ちゃったね〜」


 そして校長も一緒に交通整理を行っている。


 「いえ、私これくらいしか出来なさそうなので」


 「けど朝からずっと立ちっぱなしでしょ、そろそろ休んでも良いよ?」


 「大丈夫です、不審な輩見つけるのは得意ですから。来るとすればこの人混みに紛れて堂々とだろうからね。校長こそお休み下さい。私はまだ元気です!」


 「????」


 文化祭が予想以上の盛況具合を見せる一方、RODは厳戒態勢で学校周辺と内部と警戒を行っていた。


 「よぉ、守備はどうだルイちゃんよ?」


 「あ、一兆君と・・・神崎さんもいるんですね・・・」


 校門へとやって来た一兆と神崎。ルイはちょっと強面の神崎に少ししどろもどろになった。


 「周辺に不審な奴はいなかった。来るとすれば瞬間移動か、永零の性格を考えればここだ。今からここの警戒を強めるぜ」


 「はい。けどくれぐれもガン飛ばしなんてしないで下さいよ?2人とも顔怖いから。特に神崎さん、眉間に皺寄り過ぎです」


 「そ、そうなのか?」


 神崎は額に手を当てて皺を伸ばそうとした。

 

 「俺は違げーだろ。俺の何処が怖いって?」


 「君はそもそも学校乗っ取った逸話がある時点でブラックリスト入りだけど。ほら、職員会議の要注意リストにも入っちゃってる・・・」


 ルイはピラっと紙を一兆に見せた。


 「んだこりゃ。ルイ、職員全員呼べ。勘違い修正してやるからよ」


 「そういうとこだって。三上君ご覧よ、いつもニッコニコの爽やか笑顔。アレ目指しなさいよ、今だってハート撃ち抜かれた生徒たちがクラスに駆け込んでる始末なんだから」


 「へーへー、どうせ俺は強面でーす。まったくよー、くそー、拗ねるぞー?つか、俺もしかして出禁?」


 「いや、要注意リストに入ってるだけで出禁じゃないよ。保護者枠もいるからオッケー」


 「保護者?神崎が?んならよろしくー、おやっさーん。こうで良いか?」


 一兆は神崎の手を掴んで親子アピールした。一方神崎はなんとも言えない表情だ。


 「お前の順応の早さは恐れ入るぜ」

  

 「あんた子どもあやすの得意だろ?俺もおんなじようなもんじゃん」


 「いやあんたは大人を舐め腐ってるガキ大将だろ。チュウちゃんみたいなちゃんとした子どもには見えねーよ」


 こつん、こつん・・・


 「はいはい、その辺にして。くれぐれも一般生徒に絡まれてもケンカしないでよ?」


 「はーい分かりましたー!けどせんせー、相手が殴ってきたら危ないので正当防衛で殴り返しますねー!」

 

 「ダメ!!そうなったらすぐ先生呼びなさい!!」


 「チッ・・・」


 一兆はあからさまに舌打ちした。


 「それにしても今の所敵が動く気配が無いな、永零も捧げられし者たちも、第三帝国も・・・」


 神崎は周囲を見渡す。


 こつ、こつ・・・


 「いや、そうでもないみたいよ。上手く紛れ混んでるみたいだけど、血の匂いがしないのが一人・・・」


 「「っ!?」」


 殺気に敏感な2人を出し抜き、ルイだけがその存在に気が付いた。


 校門前に1人の女性がいる。長い金髪、縁の大きなメガネとビシッとしたスーツ姿。


 「あ、あれ?おいあいつって・・・」


 その姿を見た一兆が一筋の汗を流した。


 「写真で見た限りだが・・・あいつは、まさか」


 同様に神崎も苦い表情を浮かべた。


 「ニヒル・アダムス・・・」


 ルイはじっと彼女を睨んだ。


 「怖い顔しなくていいですみなさん、私はアレクシア・アダムス、またの名をサクリファイス2と呼ぶ。私の自己判断で君たちに一時停戦の申し入れに来た」


 「停戦?やっぱり第三帝国絡みってとこか」


 一兆は構えを解いた。


 「そうだ、情報が早いな。第三帝国幹部、中国の黒星は我々で追い詰めたのは良いが、レイノルドの馬鹿が逃してしまってな。奴は我々と違いセカンダビリティを欲している。中でも輝夜 ミツキの能力を欲している可能性が90%以上だ。彼女の能力を奪われる事は我々にとっても、君らにとっても不都合だろ?」


 アレクシアは淡々と目的を語った。


 「虫が良過ぎるぜアレクシア。貴様らが逃がしたのなら貴様らで対処すべきだ。筋はそれじゃ通らねぇぜ?」


 神崎は鋭い眼光でアレクシアを睨みつけた。


 「あぁ、これはお願いだからな。できる事なら我々で対処するつもりです。けど良いのか?第三帝国は思いの外しぶとい、お前たちが呑気に生活してる裏で大分勢力を落としてやったんだが、カビみたいな生態をしてる奴らを根絶やしにする事は難しい。このせっかくの文化祭もめちゃくちゃになるかもしれんですよ?」


 「なら、せめて協力のお礼が欲しい所だよね」


 「無論そのつもりだルイ・マイヴェス。奴らさえ堕としてしまえば後に控える下らない組織は空中分解する。永零の最初の目的、過去の遺物の除去は完了したも同じです。


 そこで協力した礼は我々のアジトの場所を提供だ。クラークもやられて場所は自ずと見つかるだろうが、時間はかかるだろう?互いに組織の勢力は並んだ。そろそろ決着を付けても良いです。との事だ」


 「成る程、このくそ下らねぇゲームもやっと終わるってか。そりゃ有り難ぇな。けど、ちと解せねーのが一つある。あんたらはミツキどうするつもりなんだ?そっちが本命だろ、第三帝国は二の次で、輝夜 ミツキを抹殺しに来た・・・そっちがあんたの目的、違うか?」


 一兆は既にカードを1枚抜いた。


 「そっちもお見通しか、その通りですよ。そもそも我々の目的は神なき世界の創造、人間の力のみで世界の平和を実現する事です。


 レイノルド曰く、かつて神はこの世界の人間に自身の力を分け与え、それぞれの世界を想像させたです。それが原因でこの世界には異世界と違い、めちゃくちゃ神話が誕生してしまったですよ。中には創造の中で産まれた人間が勝手に作り出した神話もある。そんな世界の人間は信じるモノがめちゃくちゃとなり、この今の世界へと繋がった・・・この世のあらゆる争いの原因は神だ。神が自身の役目を放棄し、自身の力を分散させた事でこの醜い世界が誕生した。


 永零はその分散させた力をもう一度一つに戻す為に今動いているです。セカンダビリティを持つものは命を失えば、その力は大元の力へと還元される。つまり、永零のその肉体にセカンダビリティを全て取り戻す。そして、その力を封印し、人間による新たな世界を創造する。それが我々の目的・・・」


 「ほー、こりゃまた三上が嫌がりそうな事をすんなあいつ」


 「何故そう思うです一兆?永零の見たてでは三上はこの意志に賛同すると言っていた。私の計算でも賛同する可能性は50%以上だ」


 「確かに魅力的な世界だとは思うぜ?しかしその世界じゃよ、結局みんなが正しい選択するしかねぇ。そんな世界は楽しくねぇだろ。駆け引き、騙し合いに堕とし合い、イカサマ、何も出来ねぇ世界だ。人間何事も勝負してねーとつまんねーだろ?永零の目指すその世界は結局、全ての人間が神になっちまう世界であって新たな人間の世界じゃねーよ」


 「その世界は、無駄に人が死ぬ過ぎるです!」


 アレクシアは語気を強めた。


 「あぁ、死んだら元も子もねぇからな。そんな世界はやだよ俺も。けど死なせない、殺させない、理不尽は許さない。でも戦い、競い合いはやめない、奪い合え・・・なんとも自分勝手で不可能でわがままな世界、それが俺たちの目指す世界だ。ギリギリを楽しむギャンブルな世界。永零とは真逆だぜ?」


 「・・・成る程です。けどそれこそ私からしたら神の御業の所業としか思えねーですよ」


 「あーあ、交渉は決裂か」


 ルイがため息混ざりに呟いた。


 「あぁ、三上は場合によっては手を取り合う事も辞さないと言っていたが、今このタイミングで貴様らはここに来た。残念だが手を取り合う未来は潰えたな」


 神崎も首をゴキゴキと鳴らし前へ出た。


 「・・・やれやれ、せめて学園祭が終わるまでは手は出さないつまりだったですけど、仕方ねーですね。まずは空間支配から始末するですか。そうだ、ハンデとして別の場所で戦ってやるですよ?」


 「無論そのつもりだぜ?こんな大量の人間の前じゃ暴れられねーだろ。さぁ、ショータイムと行こうぜ?場所は何処が良い?」


 一兆はいつのまにかカードを大量に手札にして持っていた。


 「お好きな所で構わないですよ。勝てると思う所に行けば良い」


 「んじゃ、作画が楽なオーストラリアの荒野にでも案内してやるか・・・なぁサクリファイス2さんよ、俺は別にあんたに勝てるとは思ってねーよ。つか無理。だからゲームってのはどうだ?あんた、第三帝国を追ってんだろ?それは俺たちも同じだ。この文化祭が終わるまでに俺らはあんたらと第三帝国相手にして、第三帝国を潰す。それが出来たら一旦手を引け」


 「なんだ、今度はそっちが虫の良い話をするのか?」


 「あぁそうだぜ、悪いか?」


 「いや。私は構わないですよ。それで、第三帝国潰せなかったらどうするです?」


 「ここにいる全ての命くれてやるよ」


 一兆は手を広げて学校を示した。


 「ハイリスク、ローリターンだな、その案の貴様らの勝率知りたいですか?」


 「いや、聞きたくねーよ。1パー以下なのは分かるからよ。けど、そこに賭けるのが俺なんでな・・・行くぜ!!」


 一兆はカードを投げ、戦いの火蓋を切った。

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