守りたい日常
やれやれ、私があちこちに声かけたら今度はあちこちが私に声かけて来る事になるなんて。人付き合いってやっぱ大変だ・・・
そして、こんなのんびりしてる間にも時間は進む。次の日からの放課後は部活をちょっと少なめにして文化祭の準備の時間に当てられた。
「はーい、みんなちょっと採寸するよー!」
手芸部の5人のノルマは1人2着、男性用女性用それぞれ製作するらしい。私の担当は手芸部にいる双子の1人、姉の中山道 馬籠。因みに東郷担当は妹の中山道 妻籠
「わぁ、輝夜さんほんとスタイル良い・・・これならちょっと攻めた衣装行けるかも・・・チャンさん!これ!このデザイン案どう思う!?」
「おっ!!?にゃっふふふふ!!!こりゃ良いネ!!ケド、期限間に合うネ?」
「間に合わせるよ!!チャンさんもミスコン衣装頑張ってね!!」
ネーちゃんはバド部だけど、ちょくちょく手芸部に腕買われて手伝ってる事があるんだって。確かに裁縫が上手い。家庭科も三上君超えするレベルだしね。流石は将来の夢がファッションコーディネーターだ。
「ねぇ、ネーちゃん。結局衣装ってどんなの?」
「んー?にゃふふ、それは秘密だーッテ。華型組への衣装公開は文化祭当日!それまでは接客練習ヨ!」
くぅ、気になる・・・まぁ中山道さんはいつも落ち着いてるし、そんなどひーって衣装にはならないと思うけど・・・問題はランウェイだ。
「おいミツキ・・・ランウェイの練習行くぞ」
「・・・はぁぁ、なんでミスコンなのに男女混合なんだよ」
私は大きくため息を吐いた。京也、すまし顔してるけど距離感近いって最近。もうちょい、もうちょい学校でだけで良いから距離を離して。たまに東郷の視線が怖いんだって。
「そりゃ、時代背景に合わせたんだろ。女子だけがーとか言ったらPTAとか教育委員会がうるさいんだってよ」
「あー・・・」
納得・・・学校の運営も大変だなぁ。
「今日、特別講師でシャルロット呼んだらしいから、後でランウェイ組全員体育館な?」
「了解」
流石に一緒に行こうとは言わなかったか。
「おいミツキ」
「ひぃっ!?はい!!」
この背後の威圧感。これ、東郷だ・・・
「あんたなーんか最近京也君と仲良くない?」
「そ、そんな事ない!でふ!」
京也の野郎!!ほらつっかかれたじゃないか!!
「うん、私も最近仲良いと思う。というより、熊野で一緒にいたよね?しかも最初2人でいなかった?」
軽音ー!!!何しに来たー!!
「い、いや弟もいたよ!?」
「けど、アレ以来2人の関係がなんか・・・なんて言うのかな。近いレベル越して幼馴染の雰囲気感じるのよね・・・ねぇらら?」
軽音は何処まで鋭いんだ!?
「そうなのよねぇ、明らかに京也君の態度前と違うもの。あんた、熊野で何したのよ?」
「え、えーっと・・・霧島君の弟が誘拐されたから一緒に助けに行った」
これだけは話しておこう。あらぬ疑いかけられる前に、
「・・・何その神イベ!!?待って・・・そのイベクリアしてあの態度って、わーっ!!!親密度爆上がりしてるかもしれねぇ!!ぬあーっ!!!」
「ちょっ!!東郷さん!?」
走ってっちゃった・・・
「あーあ・・・にしてもミツキちゃん、ぶっちゃけどうなの?霧島君何があったの?」
「いや、なんか・・・荻山さんは嘘言ってもアレだから言うけど、京也と私、実は幼馴染だったみたいで・・・」
「・・・やっぱり!!」
やっぱり?
「どゆこと?」
「いや、前に京也君に昔いた友達の事話してた事あったんだけど、その特徴がどうにもミツキちゃんに似てるなぁって。あー、胸の支え降りた気がするわ・・・あれ?待って、幼馴染補正・・・あっ!!!!私のミツキちゃんが寝取られる!!!きゃーっ!!!」
「ちょっ!!?荻山さんまで!!」
軽音はニッコニコ笑顔アンド顔真っ赤で走ってった・・・今度はなんなん?
まぁいいや。もう行こう・・・
体育館
「はーい、ほんじゃ今日からランウェイの歩き方教えるシャルロットちゃんだよ!よろしくー!」
「男子担当のアレックス アダムスだ。天正第二中学のみんな、よろしくね」
「「「「よろしくお願いしまーす」」」」
シャルロットは良いけど、親善大使がなにしてるんだろ。
とは言ってもこの親善大使、元モデルか?体幹がすげー綺麗。歩き方の様になってると言ったらないや。ほんと60過ぎか?
「顎は気持ち引き気味にして、何より重要なのは背筋だ。そうだね、背中に鉄パイプを入れてると思って歩くと良いよ」
あー、歩き慣れてた人だこの人。
そんで見本は京也に抜擢された。流石は剣道部なだけあって元々背筋は伸びてる。
で、私は。
「ほぎゃん!!」
ずてーん!!
「ヒールはまだ難しいかぁ」
なんで、なんで女の人ってこんなつま先立ちの靴なんか履くんだ?そうまでして背伸びしたいか!?
「こんなん無理でしょ・・・」
「そうかなぁ。私、戦う時もヒールだよ?というか、ヒールブーツ。ライブはハイヒール履く時もあるし」
「え゛っ!どうやってるんです!?」
「ヒールは止まる事考えちゃだめ。立つよりも歩くを意識してみたら?立ってる時は立つよりも一時停止って感じかなぁ?これは我流のコツね。はい!じゃもう一回やってみよっか!!」
どひー!!疲れたぁ・・・で、これから部活。その後はカラスちゃんとこ行かないと・・・
図書館の中にある謎の書庫。
「おっつかれ〜、エスプレッソいる?」
カラスちゃんはコツンとちっちゃいカップを置いた。
「ありがと」
くーっ!!苦い!!疲れた身体に効くぅ!!エスプレッソは砂糖なしが1番美味い!!勿論砂糖入れるのもありだけど疲れた時はこれ最強!!
「じゃ、頑張ってニヒルちんの話、話していくよ!終わったら一緒に宿題やろっか!」
「うーっす」
ふぅ、なんて忙しいんだ私よ・・・けど、なんだろう。別に苦にはならない・・・使命感は確かにある。けどそれ以上に充実感が今はある。
そうか。私、頼られたからだ・・・誰かに頼られる事が今まで無かったから、だからこんなに大変でも楽しいと思えるんだ。親友に頼られて、みんなを頼って。そしたらみんなに頼られる・・・
昔なら考えた事も無かった事だ。これなら、どんな事が起きても出来そうな気がする。真犯人見つけ出して、文化祭も成功させられる・・・いや、させる!!みんなで!!
何も犠牲になんてさせない!!これが、私の守りたい新たな日常だ!!




