シロかクロか
自宅へと戻った。永零はいない・・・
「・・・ちょっと出かける!!」
私はある事を思い立ち、外へと飛び出した。
「おい何処行くっ!?増子味さんの取材は!?」
「ごめんまた今度!!」
行かなきゃいけない所が出来た。聞かなきゃいけない事が出来た。そして、知らなきゃいけない事が・・・行くべき場所は、何故か頭の中に入ってる。やっぱりこれも知ってたんだ。そして今日、私が向かう事も・・・
学校の図書館、放課後誰もいない筈の図書館のドアを開けた。すると目の前には無限と言って良いほどの本棚と本が並んでる空間に出た。
「ここは・・・」
全く知らない場所。けど、私はここを知ってる気がする・・・そしてここにいる筈。
「ふんふふ~ん・・・っと。あ、これだ」
「カラスちゃん!!」
高いところの棚。そこにカラスちゃんはいた。黒いドレスと仮面舞踏会のマスクを付けた女の子。カラスちゃんは一冊の本を取り出している所だ。
「や、来た来たねー。ほっ」
「知らなきゃいけない事があるの」
「まー落ち着いてよミツキ。ほら、そこに座って。にしてもこの仮面邪魔だなぁ。取っちゃえ、付けてたって意味ないし」
カラスちゃんは仮面を外して、机の上に本を置いた。なんか、机の上には一緒にワンカップと魚肉ソーセージが置かれてる。
「ねぇ、教えて・・・あなたはなんでも知ってるんでしょ?なら、私たちの中にいるスパイも知ってるんじゃない?」
「だーから落ち着いてって!!スパイがなんだってぇ?誰がそんな事言ったのさ」
「三上君と永零」
「あー、なーるほど。で、ミツキはそれ疑ってるの?」
「疑いたくないからだよ。けど、証拠も無い。だから来たの」
本当はこんな事でカラスちゃんを頼るなんてしたくはない。けど、気になって仕方がない。シロである証拠が欲しいんだ。そうじゃないと私は・・・
「ネー・チャンの事信じたいんだねぇ〜、大切な親友だもん。仕方ないか」
「こんな事でごめん」
「いいよいいよ、昔あたしも似たような事したし。けど、教えられはしないなー、それは流石に神様の規定から外れちゃう」
「そこをなんとか!!せめて私たちの中にスパイがいるかどうかを知りたいの!!」
ネーちゃんだけじゃない。誰も疑いたくない・・・あり得ない、そんな事・・・アレは永零の口車だって事を知りたい。
「なら、アドバイスくらいはするよ。代わりに、この本、聞いてってくれる?」
カラスちゃんは一冊の本をトントンと叩いた。
「何なの?その本」
「これは始まりの戦いを記した歴史。まずはそこから話そうと思ってね、三上と永零の戦いの始まり。異世界の成り立ちの始まりの物語がこれ。そろそろ目撃者の継承を始めようかと思ってたしねー」
「分かった、聞く」
「ふふふ、ならアドバイス・・・」
ごくり・・・
「普通に本人に聞けば良いじゃーん!!」
ズコーッ!!!!!
「お、ナイススライディング!」
「ちょっとカラスちゃん!!私大真面目なんだよ!?」
「わーってるよ!けど、それで良いじゃん。例えばネーチャン疑ってるのならさ、やー!ネーちゃーん!!弟とヤッたってほんとーっ!?て聞けば簡単だよ?少なくともシロかクロか判断は出来ると思うけどなぁ?」
「そ、それを聞けと!?下手したら絶交ものだよ!?」
「それで絶交したらその程度って事。それってほぼ裏切りじゃん」
いや、まぁ・・・そうなんだろうけど、そんなんで良いの?
「明日聞いてみなって〜、あたしも付き合ってあげるからさ〜。あ、因みにどんなプレイしたのか聞いてくれる?リードしたのはどっちかなぁ。あたしはネーチャンが良いなぁ。流石にそこまでは見てないから知らないのよね」
かぁぁぁぁぁっ!!!!
顔が熱い!!!
「あはは!!ミツキ顔真っ赤だ!!恥ずかしがってちゃだめよ。気になったら本人に聞くが一番さ!!」
気になったら本人に聞く・・・確かにそうかも、私は直接聞くのが怖いからこっちに逃げた・・・流石にそれはまずかったかもしれない。
「ふう、分かった・・・明日聞く・・・なら話して。空気切り替えよう、次はこっちが聞く番だね」
「もしかしたら、永零への対抗策も見つけられるかもしれないしね・・・教えて欲しい?この世界の事、君たちがまだ見てない世界の事・・・いいよ、教えてあげる。魚肉ソーセージとワンカップでも飲みながら聞いてって。この世界の真実と謎を。
これは、平和を愛した人たちの物語。
そして、平和に支配される物語。
さぁ、一緒に見よ?とっても楽しくて美しくて、儚くて・・・そして残酷な物語。先の世界にはもうない無意味な物語を・・・」
カラスちゃんは不敵に笑い、すっと本の表紙を開いた。
「カラスちゃん。私未成年」
「そうでした!!てへっ⭐︎」
第無章、序章へ続く・・・
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ニヒル・アダムス・・・私が聞かされたのは彼女の物語だ。1945年・・・そんな昔からこの戦いは始まってた。成る程、そりゃ私では荷が重いって言われる訳だ・・・
「さてと、今日はこれくらいにしとこっか。これから色んな事を教えてあげるから、また来てよ。今度はコーヒーでも用意して待ってるからさ、あ、そうだ、コーヒーって砂糖どれだけ入れる?やっぱ・・・アメリカちっくに大量にいっとく?」
「いや、実は私エスプレッソハマってて・・・」
「渋っ!!三日月君以上に渋いっ!!」
この間父に本場イタリアのエスプレッソなるものを飲まされたら、まー苦くて。そん時は苦手だと思ったんだけど、何度か飲まされてハマりだしたんだ。ショットで何も入れずに飲んでその後に甘いの食べると丁度良い。
「さてと、なら今日は帰る。また明日聞かせて」
「うん、まだ時間はあるからゆっくり聞いてって。なんなら宿題もここでやってって良いよ」
「あ、そりゃありがたいかも。ここなら、宿題の答えとか丸写し出来そうだし」
「お、分かってるねぇ。ここにある本は全部歴史書。あらゆる事が書かれてる。宿題の答えはおろか、テストの問題もここに記されてるんだぁ〜・・・ふっふっふ」
ニヤニヤとカラスちゃんは笑う。
「それって!不正やりたい放題!?」
「そゆこと!それは目撃者の特権!!」
2人してニヤニヤ笑い、こうして私は家に帰った・・・
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翌朝
「じゃぁ行ってきます」
「おーう気をつけてなぁ、ルイちゃんは先に行ってるってよ」
「分かったー」
ネーちゃんに聞くタイミング、この朝の登校時間しかない。いつもの待ち合わせ場所、2人きりになるタイミングはそこだけだ。そこで聞く!!
私はいつも以上にキビキビと歩き始めた。
「バカ姉、ナンバ歩きになってんぞー。なに忍者でも目指すの?」
「うっさい三日月。ふぅ、では!!」
私は敬礼して外へ出た。
そしていつもの待ち合わせ場所の交差点。早足過ぎたか、まだ来てない・・・ひー、こんな時に待つのは苦手だー・・・
「おっ!!ミッちゃん早ー!!2学期早々気合い入ってるネー!」
良かったそんなに待たなくて良かった!!
「う、うん!なんかね!!ホカホカしてる!」
「アイヤー?また今日は逆に元気過ぎなイ?なら行コ!」
「あ、ちょっと待って!!!」
私は思い切ってネーちゃんを呼び止めた。
「ん?どしたネ?」
「すぅぅ・・・三日月とヤッたってほんと!?」
言った・・・言ってしまった。しかも割と大声になってしまった・・・大丈夫?今、とんでもない事をやらかした?
「・・・・な、ななななななななんでそ、そそそれをっ!!?」
ネーちゃんは顔を真っ赤にして認めた。
「い、いや!!!た、たまたま知っちゃって・・・ごめん!!けど!知っておかなきゃダメだったから!!」
「ふっ!ふっ!ご、ごめんミッちゃ・・・か、過呼吸・・・」
「あ、ぁあ!?大丈夫!?」
やっばい!!呼吸が凄い乱れてる!!
「お、お茶!!これ飲んで!!!」
ごっごっごっ!!!ぷふっ!!
ネーちゃんは私のお茶を一気に飲んだ。
「ふぅ・・・はぁ・・・な、なに・・・弟クン、話ちゃったノ?」
「ちょっと訳あって・・・あ!別に約束破ったとかそう言うんじゃなくてさ!!その、クラークの件でさ!あいつ、霧矢君の能力奪う為に荻山さんのお母さんけしかけたの!それで、能力を奪う方法がまぐわいらしくて!その時クラークが言ってたのが、前に三日月狙ったって!!それで!その・・・」
やばい、全部話しちゃった・・・これ、あの円卓会議でのやり取りの内容だよ?それを、本人に・・・
「それでワタシ、疑われたんダ・・・」
この顔、すごく悲しい顔してる・・・やっぱり、言うべきじゃなかった・・・私自身が苦しい。大切な親友にこんな顔させた罪悪感が凄かった。
「ごめんなさい!!」
「謝る事じゃないヨ!むしろワタシが謝らないとサ!!軽率な判断でやっちゃいけない事をシタ!しかもそれで、三上君とか大勢に迷惑かけちゃったんデショ!?どしよネ!何処から謝れば良いカナ!?」
シロ・・・どう考えても嘘言ってるとは思えない。だけど、それを証明する証拠が無い・・・考えろ、私は信じた。次は他を信じさせる。
「けど、なんで三日月を?」
「いやネ、ちょっとからかっただけなのヨ。好きな子いるノー?ってサ。そしたらいねーよって大人ぶるもんだから、じゃーあたしはどう?って聞いたのネ?すると弟クンさ、眼中にナシって言うのヨ!そんな事言われたら女が廃るってもんダ!!って・・・なわけで、ちょっと・・・あのサ!さ、最後まではしてないからネ!?流石にそこは節度持ってるヨ!?」
「三日月も同じ事話してた・・・セカンダビリティの譲渡に必要なのは愛情。確かにやっちゃったけど、根本的な部分で違うなぁ・・・ネーちゃん。因みにだけど三日月は上手かった?」
「えっ!?そこ聞く!?」
なんか怒りが出てきた。誰がネーちゃんを貶める事をしたのか・・・私は、なんなら、2人のカプは推せるんだ!!見つけてやる!!
「犯人見つけようネーちゃん!!弟を傷つけて!親友をこんな目に遭わせた奴は許さない!!」
「ミッちゃん・・・」
あれ?ネーちゃんの瞳がちょっと潤んでる?
「絶対に真実だって晴らすから!!だって三上君は多分!物的証拠が無いと絶対に信じてくれないと思う!」
「アー、確かニ・・・無実ですって言っても信じないよネ三上君ってサ」
「うん。よっし!!そうと決まれば早速行動開始しよ!!ネーちゃんが違うって事はだよ!?セカンダビリティを奪う方法は他にもあるって事!!クラークの言ってた頭にメス入れるとかふざけた真似をしようとした奴がいるって事だ!!そいつを探し出す!!」
いつになく私はやる気に満ちた。
「ミッちゃん!!今日凄い逞しいネ!!惚れそうヨ!!」




