幕開けの2学期
2学期が始まる。
「おっひさー!!からノー!おっはよーネー!!!ミッちゃん元気してター!!?」
「うん、おはよ」
相変わらず元気だなぁ、ネーちゃん。いつもの集合場所、いつもの時間に私とネーちゃんはいつものように登校した。
「にしてもあの時は偶然だったネー。アタシの予定はサ、18きっぷで5日間で本州縦断旅してたのヨ。海沿いルートのみ使って目指すは山口!!ってサ!!てな訳で!これお土産ヨー!!」
「わっ!いっぱい!!ありがと」
どっさりとお土産貰っちゃった・・・
「・・・どしたノ?元気ないネ?」
ネーちゃんは本当に心配そうに私を見つめた。
「いや・・・2学期始まって億劫だなぁって・・・」
「アー、ナルホド。けど、今年はちゃんと2人で宿題終わらせたジャン!アタシも去年なんてギリッギリで2学期嫌だったナー」
「うん、そうだね」
「それと!!2学期、9月からはチョイと楽しみもアルじゃなイ!」
ネーちゃんはずいっと顔を近づけた。
「な、なんかあったっけ?」
「にゃふふ、これは職員会議盗み聞きした事なんだけどネ?今年はうちの学校、開校100周年記念って事でナント!文化祭が今年から始まるんだヨォッ!!!」
「・・・な、なにぃっ!?」
文化祭・・・うちの学校には無かった。だから文化祭はアニメの世界での話か高校からしか無いものだと・・・
「コレ内密にネ、多分今日のホームルームでグレイシア先生から言うと思うケドサ」
「ネーちゃん、何処でそんな情報を・・・」
「にゃふふ!ワタシ諜報機関員だからサ!」
「え?」
「なーんてジョーダン。資料運びやってた時ニ、職員室がガヤガヤしててネ?なんやらほいっと思って聞き耳立ててたら、話してたなのサ。それに、諜報員ってのもあながち嘘じゃないデショ?三上君たちって言う裏組織にいるんだシ」
そうだね・・・まさかとは思ったけど、ネーちゃんに限ってそんな事無い・・・
三日月が私に伝えた事、そして三上君たちが疑っているのはネーちゃんだ・・・
きっかけはゴールデンウィークの京都旅行、三日月が私に教えてくれたのは泊まった旅館での出来事だ。
あの日あそこは混浴で、三日月とネーちゃんは仲良くだだっ広い風呂を見て周ってた、私も仲良いなとしか思ってなかったよ。けど、洞窟風呂で三日月は・・・ネーちゃんに襲われたと私に伝えた。
洞窟風呂内でネーちゃんは、少し三日月をからかったらしい。なんでも彼女作らないのー?とか、いかにもネーちゃんらしい事だ。それに対して三日月は大人げなく反論し、少し言い争った末ヒートアップして、度胸試しみたいな感覚でしてしまったらしい。
その後、2人とも冷静になってとりあえず無かった事にしようと約束したそうだ。
普通に考えれば、この程度・・・いやけっこうやらかしちゃってるけど、私自身は別にあの2人なら良いと思ってるし、なんなら応援しても良い。ただやり過ぎに注意ってだけだ。
けど、その接触以外にクラークの言ったクロノスの力を奪う事に関する接触が無いんだ。
「あ!そういえばヨ!?2学期からなんか教育実習生が来るんだってサ!」
「そなの?あ、また三上君関連かな?」
「あー、可能性アルカモ」
その教育実習生の話は三上君から聞いてる。今回の件で私の力を狙う輩が増える事を危惧して、ボディーガード要因を置くとの事だ。ついでに言うと年も近くてそれなりに話が出来そうな人との事だ。今年で大学上がったばかりなんだとさ。
私は一応会話の中から何か変な部分がないか聞こうと思ってたけど、全然だ・・・やっぱり三上君の早とちりかも。いや、そうに違いない。そりゃ、普通に考えて一時の気の迷いの事なんて親友でも話さないだろうしね。
「どんな人来るんだろうね!」
「お!元気なったネ!!噂だとまた美人らしいのヨ、コレガ!」
吹っ切れた。大丈夫だ、ネーちゃんは私の親友、スパイなわけない。
さてと、文化祭か。個人的にはコスプレ喫茶が良いなぁ・・・先生たちも巻き込んで、三上君も女装させて・・・大佐も呼ぼうか、ぐふふ。
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2学期開始。
「じゃ、朝のホームルーム始めるから。キャロラインさんお願い」
いつものそーんとした声のグレイシア先生がキャロラインさんに呼びかけた。
「みなさま起立なさいっ!!」
ザッ!!!
相変わらず無駄に統制の取れた起立と礼。
「最初に、みんな噂で聞いてるかもしれないけど、今日から教育実習生が来るから、ならお願い」
入って来たのはちょっとサイズの合ってないレディーススーツを着て黒髪を真横でツインテールにしてる人だ。見ただけで分かる、かなり緊張してる・・・この人が私のボディガード役なの?
「る、ルイ・マイヴェスです!!!今日からお世話になりまっしゅ!!」
噛んだ・・・
「ルイ、そんなに緊張しなくて良いから。好きな食べ物でも言って落ち着いて」
グレイシア先生は諭すようにルイ先生?先生で良いか。に、伝えた。
「は、はい!!えと、好きな食べ物は!人間です!!」
ポカーン・・・・・
「あ、ちっちがうちがう!!人参!!私人参入ったのが好きなんです!!」
「ぎゃははははは!!先生面しれ!!!俺人参嫌いだから給食の人参食ってくれよ!!」
「新庄君、好き嫌いせずに食べなさい」
新庄のノリでクラス中は一気に和やかになった。
「ふぅ・・・み、みんなよろしくね?」
「ルイありがとう。それから、急にだけど今日から転入生がまた来るから。入って」
「「「「「は?」」」」
しれ〜っと繋げたな。みんなグレイシア先生のこのノリに慣れてきた分、余計に疑問を浮かべるのが早くなった。つか誰?
「とぅっ!!!」
その子は勢いよく教室に突入してきた。そしてばっかでかく黒板に自身の名を書いた。
「あー、なんて読むん?はち・・・とり?」
新庄が読めるわけないよな。へー、感じで書くとそうなるん・・・
「漢数字の『八』に、昔のものさしの呼び方の『咫』と、鳥とよく間違える『烏』で 八咫 烏でーっす!!カラスちゃんって呼んでー!!」
水色の髪、オッドアイの少女。八咫烏・・・
「・・・・・うぇええええ!!!?」
私は立ち上がった。それは聞いてない!!カラスちゃんは聞いてない!!三上君!?円卓って隠し事無しの組織じゃなかったの!?
「っ・・・・・」
え、三上君驚いてる?って事は、これは誰も予測してなかったって事?
「やほやほー!!好きな食べ物はひじきの煮物(かぼちゃ入り)!!好きな教科は保健体育だよっ!!みんなヨロシク!!」
「八咫さんの席、あそこだから」
私の2個後ろ・・・なんか余分な机あるなと思ったら・・・
「ほーいなっ!!ぴょーんっと!!」
「「「「すごっ!!」」」」
カラスちゃんは教団からジャンプして座席まで飛んだ。
「えへへ、もっと褒めても良いのよ!」
「うんそこまでで良いから。じゃぁ1時間目・・・」
ブロロロロロロォォォッ!!!!!!
うっるさ!!お次はなん・・・ん?このバイクの音って
『パラリラ♫パラリラ♪』
校庭を我が物顔で走るバイク集団。その首領のやたら小柄な女の子が叫んだ。
「おうおうおうっ!!!輝夜 ミツキいるーっ!?」
「メグッ!?」
道山 恵だ・・・・なんで?どして来たん?
「あっ!!ミッキー!やべー輩に絡まれたって聞いたからよ!西の国からはるばる来てやったっての!!」
まじか・・・三上君?あ、頭抱えて顔が福笑いみたいになっとる・・・これも予想外かい。
「え、ミツキさんってヤンキーとつるんでたんだ・・・」
「最近キャラ変わった理由って・・・」
「やべ、俺タメ口で話せないかも・・・元々そんな話してないけど」
ま、まずい・・・クラスのカースト順位が恐ろしい事に・・・
「こら君、今は既に授業中だ。静かにしたまえ」
あ、教頭が出てきた・・・
「ぁあ゛!?んだおっさん?あたしが道山会って知って言ってんの?」
「君こそ、天正第二中学教頭に向かってその口の聞き方をするのかね?」
「知るかよ、さてはてめー敵だな?お前はお呼びじゃねぇんだよざぁこ」
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「授業始める前に、もう1人紹介するから」
「山道中学から来ました・・・道山 恵です・・・」
・・・・・
みんなツッコミたいだろうけど、我慢してくれ。率直に言うと教頭が強かった。1人でバイク集団相手にして一網打尽、説教がてら学んで行けとメグはクラスに突っ込まれた。
ってなわけで、クラスに合計3人増えてしまったのである。
「ねぇ霧島君。教頭って暴力反対を掲げてなかった?あんたにも徹底してたよね」
「学校への危害を加える場合、若しくは教育と言う面で致し方無い場合のみ暴力を行使するのもやむなし。だとよ」
「学校って、こんなとこだっけ?」
ほら見ろ、ルイ先生も困惑してるじゃないか。あ、でも逆に安心した。この人三上君の知り合いだけども、価値観は私たちと同じだ。
そんなこんなで6時間目のホームルーム。
「ビバ!!文化祭!!」
軽音が勢いよく黒板に書き出した。
「今朝校長もおっしゃいましたが、今年は天正第二中学開校100周年を記念し、今年から文化祭が開催されますわ!そこで!本日のホームルームは我がクラスの出し物の提案及び採決を取りますわ!!」
「はいはい!!三上に巫女衣装着てもらいたいと思います!!」
「新庄さん、それ提案ではありません事よ?ただの願望述べてどうするのです?」
早速新庄がバカ言ってる。つか、吹っ切れたなぁ・・・
「因みに校長に確認したところ、飲食を伴う出し物は許可するとの事ですけど、火の使用は禁止だから、そこは注意してね」
軽音がテキパキと黒板に書いていく。
「あいあーい!!祭りならケンカしようっての!特服作って戦争じゃ!!」
「それは学校の外でやりなさいな道山さん。文化祭とはイベントを通して公共の精神を学ぶ為のものですわよ?ケンカは真逆ですわ」
「ぶーっ」
メグ、当たり前のようにクラスに溶け込んでるなぁ。ちょっと見習わないとなぁ。
「はーい!!!男子はホスト!女子はキャバクラやろうよ!!」
「八咫さん、わたくしたちは中学生ですのよ?そこは弁えなさい。しかしそうですね、男女別のカフェというならば提案として許可しますわ」
「そうしましょうぜぇガイア様〜」
あ、ちゃんと様付けるんだ・・・
「他には?」
「あ!なら軍服喫茶!!」
東郷、そこでもミリタリーなのかい。
「和服喫茶」
京也お前が提案するんかい。
「にゃふふ!ここはチャイナドレスヨ!チャイナ喫茶ネ!」
「再提案!メイド喫茶はどうだ!?これなら提案だろ!?」
うん、新庄のそれは提案だな・・・けどありきたり過ぎる。でも三上君のメイド服か・・・ありだな。三上君はロングのガチのメイド服着て貰って、恥じらいとミニスカじゃなかった安堵の中間くらいの感じでオーダー取って欲しい。
「みんな喫茶ばっかりだけど、他には無い?例えば私なら演劇とか良いかな?って思うんだけど」
「軽音よぉ、そのこころは?」
何かを察したように新庄がツッコミ入れた。
「え?そりゃ新庄君、ミツキちゃんと私でロミオとジュリエットやりたいだけよ?」
ずこっ!!!当たり前のように我欲を出すな。
「まぁそれは良いとして、隣はなんかジオラマ作るって言ってたし、3年はプラネタリウムを視聴覚室貸し切って作るって言ってたわね。そんな感じでもっと色々意見出しても良いのよ?あ、ルイ先生は何かあります?」
「わ、私!?」
軽音はルイ先生に投げかけた。
「はい、教育実習でも私たちのクラスメイトですし、先生も参加なされるんでしょ?だから先生の意見も聞きたいと思いまして」
纏めるの上手いなぁ・・・どっちが教師か分からないや。
「そ、そうね・・・ぐ、グレイシア先生〜!!」
あ、投げちゃった・・・まだ緊張してるのね。
「私は担任、アドバイスはするけど基本は生徒だけで決めさせるから・・・ルイはそんなとこ考えなくてもいいよ。普通に率直な意見を言えば良いから」
「え、え〜・・・じ、じゃぁゾンビ喫茶?飲み物に血をイメージした物を用意したり内臓モチーフのスイーツとか、かなぁ?あ、また喫茶だ!!」
分かったぞ。ルイ先生この間バ◯オのコラボカフェ行ったに違いない。近くでやってたもんな、てか先生好きなのか。勝手に親近感が沸いた。
「よろしくてよ先生。つまりは我がクラスは皆何かしらの喫茶店を催したいと言う事。それがクラスの総意となりますわね・・・しかし一つ気になったのはみなさん、コスプレがやたらと好きですわねぇ」
確かに・・・みんな何かしらのコンセプトカフェやろうとしてる。
「うーむ、でしたらわたくしから提案いたしますのは、それぞれ思い思いの衣装を用意し、それを着用しての飲食店運営するのはいかがかしら?幸運な事にわたくしのクラスなは手芸部員が5人もいますし、ネー・チャンさんは趣味で衣装の製作をしているとお聞きしましたわ。わたくしのクラスにうってつけではなくて?」
ぱちぱちぱちぱち!!
満場一致の拍手喝采。コスプレ喫茶、妄想してたら本当になっちゃったよ・・・
「はい。では2年3組はコスプレ喫茶という事でいきますね。なら次行きましょう。喫茶店運営と言いましても、全員が教室で接客するのは不可能ですので、役割分担を決めます・・・」
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役割が決まった・・・ネーちゃんは服飾担当のリーダー。軽音は料理作成のリーダー、つまりシェフ。他にも会計やら内装担当やらを決めて行った。私もその裏方をやるつもりだったんだ・・・
今回の華型、実際に着て接客する仕事をするのは・・・
「ミッちゃん!」
「ミツキちゃん」
「ミッキー!」
「ミツキやれ」
「輝夜さん」
このポジは多数決で決めたんだけどね?満票入れられました・・・流石に全員はやれないから10人程度に絞ったのさ。で、私はその1人になってしまった。待て待て、私の接客ってどうなる?オーダー間違えて、店長に叱られて、業績は最低ラインで・・・陰口言われるようになって・・・そこからまた家に引きこもって・・・どひーっ!!嫌な妄想しちゃった!!
じ、自信を持て!!昔に比べて認められたって事なんだから!ネガティブ禁止!!
因みに選ばれたのは、男性枠三上君、京也、亀山、品川、平塚。後半3人は初登場のクラスメイト、普通に顔面偏差値高い。後順番にサッカー部、バスケ部、陸上部だ。この5人が男性枠だけど、三上君は多分・・・やられるな。
じゃあ女性はと言うと私、東郷、浦和、坂本、奈良井だ。これも残る3人初登場。部活はそれぞれバレーボール部、吹奏楽部、陸上部だ。




