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最後の夏の思い出

 元通りのホテル、元通りの町並み。そしてこの絶景でバイキング!!!美味い!!あそこまで大暴れした後の飯は格別だな!!


 「バカ姉、もうちょい上品に持ってこれないの?」


 「けど彩りは意識してる、逆にあんたは綺麗すぎるよ」


 本当は茶色いのとかをいっぱい持ってきたいけど、部活で定期的に体重測定やってくるからな東郷のやつ。


 『サバゲーは基本の生活から既にゲームは始まってる!!余計なもん身体に入れたらその分動きが鈍くなる!!』との事だ。だからバランスは取れと散々耳にタコが出来るくらいに言われた。


 「あのさ三日月、後でお父さんにも言うけど、明日なんかここで花火大会あるらしいんだけど、あんたも行く?」


 私はごくふつーな感じで話しかける。京也の提案とかはこいつ鋭いからな、言えない。


 「あー!あの超有名なやつか!!海の上で三尺玉爆破させんの!!来る途中に看板見たわ!俺行きたい!!あ、けどあんなんもう1泊必須だろ?どうすんだ?」


 まーた詳しいなぁ。てかテンション思いの外高!?


 「なんか、霧島たちが今回の礼にってもう1泊させてくれるらしいよ?」


 「ほーん・・・ん?師匠が?バカ姉、なんかお前、師匠と急に仲良くなってねーか?どした?」


 「い、いやぁ!?あいつだって思うとこあったんでしょ!?きっと!!」


 「・・・ほんとぉー?」


 ニヤニヤすんな!!まー相変わらず鋭い!!


 「まーいーさ、また1つ楽しみが増えたぜ。明日のやる事リストは・・・朝、那智の滝に行くだろ?その後太地町行ってイルカとクジラ・・・そこから帰る予定だったから、昼過ぎくらいに熊野市に行けばいっか」


 あー、こいつスケジュール管理なんかしてたのか。全く、小学生の癖に社長かよ。


 さてと夕食も食べ終わってようやく温泉、回復の時間だ。


 ほー、でっかい洞窟の温泉たぁ映えるねぇ。


 あ゛ー・・・疲れた身体に染みる〜。この濁りとヌルヌル感が肌に染み入りますわ・・・ぐぅ。


 ・・・っは!?いかん!!疲れすぎて寝てしまう!!忘れてたけど意識飛ばしかけるほどの戦いしてたんだよな私、よく生きてたなぁ・・・しかもアイツ相手に。


 これからどうすんだろ。クラークって敵の中でもトップクラスに強かったんだよね。永零の奴諦めて降参してくれないかなぁ・・・


 この戦い、私はただ単に巻き込まれただけだと思ってた。けどそうじゃない。何処かで私たちは彼らと関わってる。運命って言葉で片付けるのはやだけど、そう思わざる得ないよね。


 2学期が始まっても永零たちの侵攻は終わらないんだろうな。変身魔法少女って昔憧れたけど、これが現実。アイツらを相手しながら自分の生活を守るって、めちゃくちゃ大変だ・・・それをやろうとし続ける三上君ってほんと凄いな・・・


 しかも、敵は永零たちならまだ良い。クラークはナチスの残党だった。って事は、他に動いてる組織だっているのかもしれな・・・


 っ!?


 私はふと気が付いて飛び上がった。まさか・・・このゲームの真の目的は・・・この世界に残った遺物の排除なんじゃ・・・


 チャールズ、道山会、そしてナチスドイツ・・・キーセブンはもしかして、これからの世界に必要ない者を排除する為にある?


 「・・・休み終わったら、三上君に相談しよ・・・」


 今は面倒だ、休ませてくれ・・・せめてこの旅行だけでもこんな重たい話を忘れさせてくれ。


 私は部屋に戻って、三日月とトランプして遊んだ後爆睡した。因みに父と母は部屋でゆったりとテレビを見てたそうな。




 

 翌朝


 「グッモーニーン!!ミツキー!三日月ー!昨日はよく眠れたかぁ!?」


 朝からテンション高いな父・・・


 「で、今日は霧島君たちと夜花火見に行くのよね?私たちは帰るけど、人も多いし気をつけてね?」


 「うん、まー私だけは心配だけどもしもの時は三日月頼るから大丈夫!」


 「師匠頼れ」


 絶対やだ。


 「さーてと、名残惜しいが・・・チェックアウトだ!朝風呂も朝食も良かったぜぇ!!また来よう!!」


 チェックアウト完了。


 さてと、今日の日程はまず昨日行った滝だ。落差日本一なんだってさ、昨日は全然見られなかったけど・・・いざしっかり見るとでけー・・・


 「良い景色でしょ、マイナスイオンもたっぷりだよ」

 

 「うん、木陰も涼しいし・・・って、ん?あれ!?カラスちゃん!?・・・っと、天野さん!!?」


 「やほやほー!」

 「久しぶりねミツキちゃん」


 最高神様が何してんの!?


 「お!!君はいつぞやの!!いやはやこんなとこで会えるとはね!!お隣はお母さんかな?」


 父よ違うのです、それ、天照大神なんです。図が高いのです。


 「ふふふーお母さんだってー」


 「ほぼそうで良いんじゃない?始めまして天野です、ようこそ熊野へ」


 「あー、こりゃ丁寧にどーも!!」


 父はぺこぺこと頭を下げる。


 「あの、天野さんは何故ここに?長野にいたんじゃ・・・」


 「カラスちゃんに連れ出されたのよ、本業もちゃんとやれってね。で、それがちょっと疲れたからカラスちゃんの報告聞きがてらこっちに顔出してるの。あ、そうだ。アラン大佐はどう?」


 「随分と助けられましたよ、今も背中に背負ってます。にしても流石ですね、あそこまで魂がこもってたから使いこなせました。ありがとうございます」


 「いいのよ。あなたが持ってなかったら呪物になってた所だもの。良い出会いがあって本当良かったわ」


 私と天照は少し談笑した。後ろはなんの話か分かって無さそう。気にしないで、説明するの疲れるの。


 「ここ見たら次何処行くのー?」


 八咫烏が私たちに尋ねた。


 「あぁ、車を少し走らせた所に水族館があるみたいだから、そこに行こうと思ってるよ」


 「あ!ならさ!良いとこ紹介したげる!!イルカちゃんたちと一緒に泳げるスポットがあるの!!ちょいとGoog◯eマップ開いてくれる?ほらここここ、ここがあたしのオススメ。そーそー!泳げなくても大丈夫だから行ってみると良いよ!!」


 「へー、ミツキ!!やってみるかぁ?泳がなくても大丈夫だってさー!!」


 イルカと泳ぐ・・・ごめん、やだって言いたかったけど割と刺さったそれ。日本で出来るとこあるんだそんなとこ。

  

 「や、やりたいかも・・・」


 「っしゃ!!珍しくミツキに刺さったぞ!!ならあっしはその間にアレを用意してだな・・・」


 「お?アレかい?」


 「おう、これなんだけどどう思う?」


 「おー!!いいねー!!」


 父、今度は私が置いて行かれたんだが?八咫烏と何作戦会議してるんだ?





 そんなこんなで滝の雄大な自然を堪能した後は、神さまたちと別れてまた海の方へ向かった。


 ウェットスーツ着て、イルカとの触れ合いイベ。へー、結構あったかいんだな、感触はなんかぐにぐにしてる・・・後人懐っこいし可愛い・・・


 「すげー!」


 ほら三日月も、語彙力無くすくらい楽しんでる。


 「あ、あぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!」


 い、イルカしゅごぃぃぃっ!!背ビレに捕まったらすんごい速さで泳いで回ってくれた。


 ふぅ、これから海行く時はイルカが欲しい・・・それなら泳げない私でも捕まるだけでオッケーだもん。なんだかんだ海も堪能出来たか・・・後は・・・


 



 「じゃ、あっしらはそろそろ帰りますか!」


 花火大会だ。午前中反対方向に向かう車がやたら渋滞してたから、相当大きな花火大会なんだろうな。どんなんだろ・・・


 「父ちゃん、忘れんなよ?」

 

 「無論だぜ三日月よぉ!ミツキ!!」


 「な、なに?」


 何だ?急に父も三日月もニコニコしちゃって・・・あ、母もだ。


 「連夜から聞いたぜミツキ、花火大会京也君が誘ったんだってなぁ」


 にぎっ!!?既に浸透してるぅっ!?ドユコト!?


 「・・・いや、師匠絶対気があるだろうなぁって思ってたし、剣道の稽古行ってる時から割とバカ姉の愚痴をしてくるからさ。あ、こりゃ来てるもんあるなーって」


 あんのポンコツがぁっ!!!この無駄に鋭い弟になんの話ししたっ!?


 「勘弁してよ、私とアイツくっつけようとすんの。私はアイツ嫌いなの。今回特別に付き合ってあげるだけなんだからさぁ・・・」


 「おぉ、こりゃ見事なまでにツンデレ構文!良いねぇ青春してるねぇ!!」


 だーっ!!何言ってもダメだこりゃ!!


 「で、何するのさ?」


 「おう!せっかくなんだから、コイツ着て行けってハナシだ!!」


 「・・・ゆ、浴衣ぁぁぁっ!?」


 デザインは確かに可愛いけどさ、私なんて似合わないっしょ!?そもそも浴衣とはこの東洋人だからこそ似合うのであって、中東顔の私が着たらただのコスプレになっちゃうじゃん!!


 「そうと決まれば早速お着替えだぁ!!カマール!!ヘアアレンジは任せたぜぃ!!」


 「任せなさいよあなた!!ミツキ前に凄い可愛いらしい髪型してたわよね?それベースに私がちょっとアレンジしてあげる!!」


 普段宿題とか片付け以外は特に口出さない母がノリノリだぁ!!!


 わーっ!!!お助けーっ!!!私は逃げようかと思ったが三日月、こんなとこで時止めやがった!慣れたもんだなぁ!!


 私はすまきにされて強制お着替えさせられた。


 ・


 ・


 ・


 で、熊野市駅に私と三日月は放置された。にしてもすんごい人・・・これ京也の場所分かるの?って・・・


 「あー!!三日月ー!!俺元気になったよー!!」


 さっすが霧矢君!!もう見つけやがった!!


 「風邪引いてたって聞いたけど大丈夫か?」


 「大丈夫!!なんなら腹減って仕方ない!!」


 「案の定、今朝から花火行くーって全力だったぜコイツ。ところで三日月、ミツキは何処だ?」


 「あん?ここにいるだろ」


 京也の奴何言ってんだろ、私と三日月はポカンとした。


 「・・・・・え?」


 「え、って・・・何その反応?私ここにいるけど、目付いて無いの?」


 ・・・・・ぼんっ。


 なんだぁ?花火が上がった音したぞ?まだ時間には早いのに・・・


 「お、おおおおおまえミツキかぁ!?ゆ、ゆゆゆゆ浴衣かよ!!!」


 うわ、まるで初対面の人と話す時の私だ。


 「うん、なんかお父さんたちが結託して着せられた」


 「なんでだよ!俺なんか場違いみたいじゃねーか!!」


 「まーいーじゃん。ガチデートなんてまっぴらだしさ、それよりも霧島君、クソ暑いんだけど涼しいとこない?」


 下手に京也が浴衣着てきたら逆に気まずいって。


 「あぁ、既に場所取りしてある良い場所がある。日陰で露店にも近い上に全貌見渡せるとこだ。そこ行こうぜ」


 ほうほう、流石は地元民。良い場所知ってるねぇ、こういう花火大会は普通人混みでまともに見れたもんじゃないからな。


 知ってるか?花火の場所取りには3つの方法がある。課金するか、地元民に頼るか、何回も通って見つけるか、その3つだ。今回は2番目が使えたらしい。


 「あそこいーよねー、人も少ないし広いし。俺もリリアちゃんとか連れて来たかったなー」


 霧矢君が呟いた。相変わらずピュアピュアおませだなぁ。



 プシューッ・・・・・ピンコーン、ピンコーン。



 あ、電車来た。うっわ!!中すんごい人!!どひー!!


 「こっちです一兆さん!!」


 「すみません、未成年が夜遅く出かけるのは良くないと言われたのでお付き合い下さい」

  

 「だからってなんであんたらここ来てんだ!?つかなんで俺は保護者なんだよ!?」


 ・・・・・馬喰 一兆?


 「あ、あれ!?霧矢さんではないですか!!」


 「あーリリアちゃんだー。それと零羅ちゃんもいるー。どしたのー?」


 電車から暴露一兆とリリア アンダーソン、神和住 零羅が降りて来た。ほんとどしたのさあんた・・・


 「一兆さんたちから戦いの事を聞きまして来たのです。ですが、もう終わってしまったみたいですね。その際にここで世界でも有名な花火大会があると聞きまして」


 「だからって来るか?」


 「一兆さんが自慢したのがダメなんですよぅ?わたくし花火大会なんて見た事無いのですから。リリアさんも同じく見た事無いので、行こうって話になったのです。ですので責任取って保護者役お願いしますね一兆さん!」


 「俺はベビーシッターか?」


 零羅ちゃんって、割と一兆君を尻に敷いてる気がする。と言うか零羅ちゃん普通に一兆君の事好きだよね。あ、恋愛的な意味じゃなくてコレはそう、先生が大好き的な感じで。


 「なーなー!リリアちゃんたちも俺たちのとこで一緒に見よーぜー!!」

 

 「ちょっ!!!霧矢!?」


 「えー?みんな一緒の方が楽しいじゃんにーちゃん?」


 京也さてはお前、こっそり2人きりになる算段だったな?ふふふ、わかったぞ。霧矢を呼んだのは不正解だったな!!!


 「確かにそう思う。多分その方が楽しいと思う」


 私は霧矢君に相槌を打った。因果律支配を応用するんだ、もしも霧矢君が私と京也をくっつけようと働くもんなら私にはもう何も出来ない。けど、この子はまだ純粋。みんな一緒の方が好きなタイプだ。それを逆手に取る。


 「だよなー!!なんなら他のみんなも呼びたかったなー!!」


 ・・・・・・???今、なんて言った?他の、みんな?



 シュー・・・



 あ、反対側からも電車が・・・


 「アイヤー、完全にスケジュール間違えたネ、18きっぷ日本縦断。まさか花火大会とはネー、仕方ネ!せっかくだし見て行コ!!」


 「あ!?ネーチャン!?」


 「んんー?あーっ!!!弟くーん!!って事はミッちゃんダー!!!浴衣ーー!?可愛いネ!!」


 「ほぎゃっ!!ネーちゃん!」


 ネーちゃんが突っ込んで来た。


 す、凄まじい・・・この能力。って事はまさか?


 「ええ、私もいるわよ。ふぅー・・・」


 「ひぃっ!?荻山さん!?耳に息吹きかけないでよ急に!!」


 軽音母がいた時点で現れるかもとは思ってたんだ。相変わらず近い・・・


 「軽音?」


 「・・・ん?京也君?なに?何か不満そうね?どうしたの?」


 軽音、少し不服そうな京也の感情を一瞬で見抜いた。


 「いや・・・」


 「にしても、その浴衣似合ってるわねミツキちゃん。まさか、私の為に着て来てくれたの!?嬉しい!!」


 「あ、いや・・・」


 軽音は目を輝かせた。


 「へー、じゃぁ誰の為なのかな?まぁいいわ。独り占めするだけだから・・・」


 「だ、抱きつかないでよ!!荻山さん!!」


 「ミツキちゃん可愛いから他の男が寄って来ちゃうでしょ?案外そういう輩は近くにいるかもしれないからね・・・大丈夫、私が守ってあげるわ」


 「っ・・・・・・・おま、」


 あ、これ気が付かれたな。めっちゃバチバチしてる。


 「それと、良いのかしらね京也君?そんな鼻の下伸ばしてたらどうなるか・・・」


 「ぶぅあああああ!!!!やぁぁぁっと改札抜けれたぁぁぁっ!!?っぇぇえええええ!?京也くぅぅぅんっっ!!!♡♡♡」


 この展開的に来るとは思ったが、京也を見つけるや否や途端にあざとくお姫様抱っこされに東郷が現れた。


 「んだよぉ、せぇっかく三上誘える海見つけて下見に来たってのによぉ。なんだ?この人混みなんかあんのか?って!!京也じゃねーか!!奇遇だなぁ!!あ!東郷もいる!!お!!?まさかやっとデートか!?」


 お前も来るんかい新庄!!?つかあんたは花火関係無いんか!


 「えへへ〜今偶然ねー。けどこれ運命だよねぇ京也くーん」


 「あ、う、うーん・・・」


 京也の目がなんか、はにわみたいになってる。


 「あー、俺も彼女欲しいぜ。って、軽音もいるじゃん。って、誰だ?その女の子。めちゃ可愛いじゃん」

  

 「うっわ!ほんとだ!!めちゃくちゃ可愛いじゃん!!初めまして!!私東郷 らら!!」


 えっとぉ・・・このいじめっ子三人衆は私に気が付かなかったのか?


 「何言ってるネ!!ミッちゃんヨ!?記憶喪失!?」




 「「・・・・・・・」」




 新庄と東郷が顔を見合わせてポカン顔。


 「あ、えと・・・輝夜 ミツキです。すみません・・・」




 「「うっっっっそぉぉぉぉぉっ!!!?」」




 ハモったな・・・

 

 「ミツキちゃん可愛いでしょー」


 「認めたくねーけど、うん。それは似合ってると思うぜ」


 珍しく新庄が私を褒めた。


 「って事はさ、結局いつものメンバー集まっちゃったって事ー?」


 いつものメンバー・・・って、私いつの間にかいじめっ子といじめられっ子の関係じゃなくて、いつものメンバーってのに入ってたんだ・・・それは、ちょっと嬉しいかも。


 「みーんな揃ったしー!!そろそろ行こうぜーにーちゃーん!!今年はすっごい楽しそー!!」


 霧矢君に連れられて海沿いのとある場所に来た。


 まぁ、こう言うのは有りか。みんな遊んで、はしゃいで・・・そういうのって楽しかったんだな。


 屋台を見て、何か食べて・・・新庄はトイレ待ちで漏らしかけて、日が沈んで来たらちょっとぼーっと海を眺めて・・・この旅行の最後は、私が人生で経験したことのない程充実したものになった。

 

 時間が経って花火が上がり始めた。迫力が満点の大輪の花、色とりどりの花火たち。


 「私海で花火見るのなんて初めて」


 「そりゃ、海なし県民だし?バカ姉は外に出て来なかったもんな。どうだ?旅行面白ぇだろ」


 「うん」

  

 三日月が旅行好きなのって、こういう楽しいを知ってるからなのかも。喜びがみんなと繋がるこの感じ・・・今まで知らなかった。いや、ずっと忘れてたんだ。この感覚を・・・ある日突然、それが出来なくなるのが怖かったんだ。


 誰とも喜びを分かち合えない感覚、それが嫌いだった。やっと、やっと思い出せた・・・


 「霧島君・・・1つだけ言って良い?」


 「どした?」




 「あり・・・」

  ドッカァァァァァァァァァァァァァンッッッ!!!!


 


 水上で大爆発が起きたせいで、聞き取れなかっただろうな。


 「うおー!今のすげー!!」

 「三尺玉だって!!えっ!?火薬量えぐっ!!」

  

 新庄と東郷はそれぞれ子供みたいにはしゃいでる。


 「ミツキ?」


 「いや、なんでもない」


 「そうか、それならそれで良い。俺はこれを見せたかった、俺の望みは叶ったんだ。いや、それ以上の事が今叶ってる。みんなで見るってのをな。ミツキ・・・ありがとうな」


 「っ・・・・・・!!!」


 言い返されたか・・・


 こうして花火大会は終わりを告げた。みんな、それぞれの方向へと向かい、私もホテルに向かった。





 私の中で1番の夏の思い出が出来た。私は、この思い出だけは絶対に忘れないと心に誓った。

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