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言葉に宿る魂の力

 「行くぞ!!」


 まず京也は教頭が持っていた二振りの日本刀をクラークに投げつけた。無論そんなものは通用するわけじゃない、そのまま京也は自身の刀と軽音母のレイピアを持ってクラークに切り掛かる。


 「ほぅ!!先程とはまるで動きが違うな!!」


 「当たり前だ!!テメー相手は、ガチで殺す気で向かってるからなぁ!!」


 言う通りだ。まるでさっきと動きが違う。さっきまでは動きにぎこちなさがあった。けど、今はもうそれが無い。迷いはもうないみたいだ。


 「素晴らしい意気だ。しかしさっきも指摘されていたな、動きが真っ直ぐ過ぎる・・・褒めるならば俺が相手じゃなければ生きられたかもな!!」


 「がはっ!!」


 京也は致命的なダメージを喰らう。けど、


 「なにっ!?」


 「ぬぅいやぁぁぁぁっっ!!!」


 京也は意識を取り戻して渾身の一撃を放った。クラークは十字に大きな切り傷を作って後へ飛ばされる。


 「馬鹿な・・・予測にこんなものは無い・・・ただの人間が、覚醒者以上の回復速度を持つなど!!・・・っ!?この声は、なんだ・・・」


 気づくのが早い・・・クラークは一瞬で私が原因と理解してきた。この回復は私の詠唱の力だ、他のみんなの回復の魔法と違って私のこれは唱え続ければ無限に回復させられる。某ファンタジーゲーのリ◯ェネ的な魔法だ。


 「貴様の仕業か、こざかしい真似を・・・ならば貴様から始末する!!」


 「ぬぉりゃぁっ!!!おいゴラ!!テメェ!!さっきの話映画鑑賞みてーに見てた割には話聞いてなかったか?俺が守るつったろ。言ったからには、ミツキに指一本触れさせねぇ!!」


 まーたキザなセリフを・・・昔の京也は今と真逆の性格してた。他の男子と遊ぶよりも私や他の女子たちとおままごとするのが好きな奴だったんだ。大人しくて、優しい性格。けど、誰よりもかっこよくありたいっていつも言ってて、笑顔だけは絶やさないようにしてる。それが私の知ってるキョウ君って子だ。


 分かったよ・・・京也は結局なにも変わってない。いつもクールぶってるのも誰よりもかっこよくいたいの延長線なだけだ。笑わなくなったのはただ単に私とはぐれたのがよっぽど寂しかっただけなんだ。


 「そうね、私もこの世で最も汚らしいあなたに、この子を触れさせたりしないわ。娘も認めてあの人の息子も認めたこの輝夜 ミツキ・・・私が最も愛した人の子・・・認めるわ。あなた、今世界で最も美しい。京也、剣を私に・・・戦うわ」


 軽音母も立ち上がった。


 「それ以前に、この子らは我が校の生徒・・・色々ありはしたが、生徒の命を危険に晒す真似だけはせんぞ。クラーク・・・貴様は我らの地雷を踏み抜いたな!!京也!!私も戦うぞ!!」


 そして教頭も。それぞれが刀を持って私と霧矢君の前に立った。


 「・・・はぁ」


 消えたっ!?次の瞬間全員が触手たちで切り刻まれた。けど!!


 「その身に宿る総ての痛み・・・煌々として消える」


 やられた3人は光に包まれて、その直後全くダメージが無かったように元通りだ。


 「即死を狙ったが、意識が一瞬で消し飛ばない限りいくらでも回復するのか・・・だが何故だ、何故これほどの力をこんな短期間で手に入れた・・・やはりさっきから聞こえるそのぼやきか?」


 「だったらどうした!?」


 「セカンダビリティ・・・貴様それを持ってるな?考えうるとすれば、言葉による支配か。対象に呼びかける事で物体を操る。プールではその言葉で水を操り、今は傷に呼びかけ続けて体を活性化させた・・・不思議な力だな。その力、我らのために役立ててみる気はないか?きっと我が主も喜びになる」


 ・・・今なんて言った?いや、さっきも少し違和感があった。我が主・・・永零の命令無視して全人類攻撃をしようとしてる奴が、なんで今忠誠心の高い言葉を使った?


 「指宿 永零に彼女は渡さないわ!!あんたみたいな奴をのさばらせる先見の明のないアイツなんかに!!私の願いは全てが平等の価値観を持てる世界!!因果律支配は世界を平等にする!!教養の無い連中は自動的に淘汰される!!この世の中は遺伝子レベルで教養のない奴が多過ぎるのよ!!


 どれだけ真摯に向き合っても!!どれだけ恵まれない人たちを助けても!!返ってくるのは仇!目の前に出されたその場しのぎに対して我慢する事を知らない!!そこに黒も白も黄色も赤も関係ない!!心の底が汚い奴は消え去るべきなのよ!!」


 相当母の事を根に持ってるな・・・


 「そう、俺はお前のその意気を知りお前を誘った。この世界に必要なものは統一された言語、統一された教養、統一された人種。そして、統一された主君が必要である」


 やっぱりだ!コイツの言ってる事は矛盾してる!!永零の言ってた事と違う!!あいつは全ての人類が平等に死の恐怖を知る事で世界の価値観を統一させようとしてる。けど、コイツのは違う。ただの白人至上主義のヤバいやつだ!!


 「クラーク!!!」


 私は叫んだ。その瞬間にみんな動きを止めた、私の詠唱が無ければ回復が出来ないからね。けど、今は・・・


 「何だ?埒が開かないと見て降参する気になったか?」


 「聞きたい事があるだけ、事と次第では降参せざるを得ないかもね・・・」


 「な!?てめミツキ!!また約束を破る気か!?」


 「な訳、キョウ君も他のみんなも必死だったから聞き逃してたんだ。私は一歩後ろのここにいて、この詠唱をやる1番のコツが落ち着く事だったからこの違和感に気がついたの。この男は指宿 永零の命令で動いてないって」


 「「「っ!?」」」


 流石に一同驚きを見せた。


 「なんだと輝夜君!?この男は何百年も前から永零の側にいた男だぞ!?それが一体誰に仕えると言うのだね!?」


 教頭が私に質問した。生徒に聞かないでよ・・・


 「ここに来る前、ある人から彼の事を少しだけ聞きました。クラーク プファンクーヘン。元ドイツの技術者で異世界には創始者として永零の側にいたってね。けど、その前の素性が何も分からない。私が考えられるのは、その前に何処にいて、何が原因で永零があなたを見出したのか・・・クラーク、あなたの主って、一体誰?」






 「・・・・・ふ、ふふふふ。ははははははは!!!!!!!この状況でよく気がついたな!!!俺の正体に!!」





 顔つきが変わった。これまでのあくまで冷静な顔じゃない、悪意に満ちて笑ってる。


 「だって変でしょ。九本目を使うのは永零の意志に反するのに、それを無視して使った。にも関わらず主人への忠誠は絶対みたいな態度。おかしいじゃない」


 「そろそろ頃合いだったからな、因果律支配を奪いさえすればあの男にももう要はない。この力とあわよくばクロノスの力も手に入れたかったが、それは失敗した。だがまぁいい、因果律支配は永零や三上を超える力となるのだからな、そして俺に命じられていたのはその力を主人に献上する事。


 そう、真に支配するべきはあの男などではない。あんな半端者に世界を任せるのは不可能だ。真に支配すべきはかつて世界の頂点に最も近いた者。そして世界の頂点に最も近いた国、第三帝国(ダスドゥリテライヒ)だ!!」


 ・・・・・ごめん、分かんない。なんかかっこいい単語言ったけど何語?


 「ダス・ドゥリテ・ライヒだと!?」


 京也はちゃんと知ってた・・・


 「キョウ君何それ?」


 「相変わらずのバカは変わんないのかよ・・・歴史にも出てくるぞ。第三帝国・・・神聖ローマ、ドイツ帝国に次ぐ国家、世界統一を目論んだ国。聞いた事くらいはあるだろ・・・ナチスドイツって名前くらい」

 

 「な、ナチって!!あの第二次大戦の時のアレ!?あんなのってもう滅んだんじゃ!?」


 「我々の国家がこの国でも伝えられて誠に光栄、流石は元同盟国だ・・・しかし、我々は滅びてなぞいない。第三帝国はここに復活し、新たなる千年帝国を築き上げる。永遠の安寧と幸福の約束された真の平和の世界の誕生だ・・・」


 流石にここは予測なんてしてこなかった。この戦いは既に三上君たちと永零たちとの戦いなんかじゃなくなってる。色んな国が足を引っ張り始めてるんだ。そんな中、歴史の闇に埋もれていた奴らが異世界の力を嗅ぎつけて今、這い出てきた。


 クラークは見たことのある紋章を腕に通した。訣別、その腕に鉤十字を付けた時コイツは、永零の元から去った事を示した。


 「・・・分かった、あなたは過去の遺物の老害って訳だ。やっと理解出来たよ・・・なんで永零があんたなんかを仲間に入れたのか。


 教えてあげるよクラーク、あなたの予測は全て間違ってる。そして選択も全て間違えた。あなたはもう私に勝てない・・・そもそもこの力はセカンダビリティでもファースタビリティでもない。この能力に名前なんてまだついてないんだよ」


 「なに?」


 「既存の考えでしか物事を見えない愚か者よ、見たいなら見せてあげる・・・これが私の力」


 私は銃を天に掲げた。さぁ行こう・・・


 「『心無き人形・物言わぬ屍・踏まれる大地よ、今立ち上がりて、我が手に宿らん・・・集え・心持つ人形よ・汝の力ここに解き放て。斬撃・突撃・銃撃・砲撃・爆撃・あらゆる攻撃をその手に待て。そして汝の名を呼びし時、汝我に仕えよ!!!第一番!覚醒の唄!!」


 「貴様、吟遊詩人でも目指してるのか?なんの脈絡もないその言葉が一体なんだと言うのだ。ふっ、時間稼ぎと言った所だな、無駄なことを・・・」


 「っっっ!!!?」


 私に来た衝撃と痛み、そしていきなり呼吸が苦しくなった。そうか、私今腹部を貫かれた・・・


 「ミツキィィィッッ!!!!!」


 けど、まだ意識はある。お前の負けだ・・・私に、名を呼ばせた。


 「アラン・・・シックス・・・大佐・・・お願いします」


 「致命傷は避けた。お前の力も必要だからな・・・ん?なんだ、これは・・・視線?誰だ、何処にいる?」


 クラークはキョロキョロと見渡した。


 「そこかっ!!小賢しい真似を!ん?カラだと?」


 クラークは私のリュックに触手で攻撃してぶっ壊した。無駄、もうそこには無い。


 「M1911・・・ガバメント」


 「っ!?」


 ズガンッ!!キンッ・・・カラカラ・・・


 突然、クラークの頭に突きつけられた銃口から火が吹いてクラークの頭を貫いた。その直後、私の腹部の傷も治った。


 「誰だ・・・この俺に音もなく近づくのは!?貴様の仕業か輝夜ミツキ!!この俺に頭から血を流させたな!?これは万死に値する行為だ!!」


 来る・・・逆上して今度は一気に仕留めるか、まだ忠誠心があるのなら私の意識を飛ばしに来るか。どちらにせよ私への攻撃に切り替わった。


 「な、なんだこれは・・・腕が、動かない・・・!!」


 「マスターに手を出すな・・・ぬんっ!!!」


 クラークの腕がもげた。クラークはすかさず後ろへ飛んだ。


 「っぐ!!?貴様・・・は、なんだ?その姿は・・・人間・・・なのか?」


 そして質問する。その相手は人間と呼ぶには可愛過ぎるし、そもそも5分の1スケール。際どくも美しいボディラインと色々見えそうな程ギリギリの衣装。そして何より、その肌は人間とかけ離れている。


 「人間ではない、フィギュアだ。お前の感覚に合わせるならそうだな、プラスチックの塊と言った所か」


 「プラスチック?何を言っている・・・そんな事は出来る筈が無い。ふざけているのか?」


 「ふざけてないよクラーク。これが私の力、物体に宿る魂を引き出して使う。あの水柱もプールって言う器の魂を呼び出して水を操った。さっきの回復も傷と言う名の器を持った魂を引き出して超速回復をさせた。


 そして今、私がこれまでで最も心を通わせたこのフィギュアに私の魂を与えて彼の心を呼び覚ました。性能の程は、彼が出てくるアニメと同じだよ」


 大佐は私の肩に着地した。


 ・・・いや凄いなマジで。自分で言うのもなんだけどマジヤバい。だってアレだよ?某ドールが動くアニメと同じようなもんだよ?ちょっと違うけどさ。


 それよりも、私の推しが、私をマスターと呼んで戦う!!しかも!!アニメ版同様!!この美少女の姿で声は超大御所激渋おじさん声優!!そのギャップがまーサイコー!!


 「フンスー!!」


 気がつけば私の鼻息がちょっと荒くなってた。


 「物体に宿る魂を呼び出すだと・・・魔法の力やセカンダビリティで、自身の精神を物体に反映させるのなら分かる・・・それが本来の魔法の役割だからな。しかし、生命の機能を持たない人形が、自身の意思を持って戦うなど、永零ですら不可能だ。貴様のその力・・・まやかしだ!!」


 来るっ!!


 「大佐!!」

 「イエッサー!!ぬぅんっ!!!」


 「んがっ!!!!!!?」


 クラークは一瞬のうちに殴り飛ばされた。


 「おいおい、マスターは俺の司令官だぞ?直接狙われるのは困るねぇ」


 「馬鹿な・・・あの女がこの速さに反応出来るわけが・・・本当に、その人形が意思を持っていると言うのか?しかも・・・完全覚醒者以上の反応速度と攻撃力を備えていると言うのか?」


 クラークはよろよろと立ち上がった。


 「クラーク、この世界には生命以外にだって魂は宿る。職人が丹生こめて作った作品から、そこらへんの石にだって魂は宿る。その体を動かす器官がないってだけでこの世界には無限に魂が宿る。私の、言葉一つにだってね・・・」


 「貴様・・・一体何者なんだ?なんなんだその力は・・・」


 「私はただの人間だよ。ただ、目撃者に選ばれてしまった者ってだけ。そしてそれを受け入れただけだよ・・・さぁクラーク、年貢の納め時ってやつだ、覚悟しろ!!!


 覚醒の唄!第二番だ!!モノに宿りし数多な感情!喜び!怒り!悲しみ!哀れみ!心持つあらゆる感情!!その身に宿れ!汝に鬼神の如し肉体を与えん!!その力を振い眼前の敵を殲滅せん!!」


 「っぐ!!させるか!!」


 クラークよ、もう遅い。


 その直後、大佐の姿は更に変化する。身長が私よりも高くなった。そして手に持つ武器も、既存の兵器と変わらないサイズへと変化した。


 「こんな事・・・あり得ない・・・」


 「いやぁ?現に俺はここにいるんだがな。さてと、ここからが俺の本領発揮だ。マスターたちよ、俺の後ろへ・・・力比べと行こうじゃぁないか。クラーク プファンクーヘン、お前のその姿は10本目、最強なんだろ?心が踊るねぇ・・・いっちょ、かましてやろうか!!」


 アニメと同じ!凄まじい格闘センス!!クラークの目にも止まらない早さの触手攻撃に真っ向から勝負を挑んで尚且つ上回ってる!!


 「コルトパイソン!!357!!」


 大佐の手元に大型のリボルバーが握られた。


 そしてこれもアニメと同じ、魔法と言う名の現代兵器を使う、武器の名前を唱えて呼び出す。


 「因みにコイツの装弾数は無限な上に威力は・・・」


 ズバゴンッ!!!


 「あらゆる物体を貫通するぜ?さぁ、こんなもんじゃないだろクラーク?」

 

 大佐はクイクイとクラークを煽る。


 「確かに、その力は本物のようだな・・・甘くみてはいけない敵としては認識した。後悔するなよ?俺が本気になるとはどういう事か教えてやろう!!」

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