表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/104

後戻り出来ない選択

 RODとクラークの戦闘が開始された直後


 私はバイクで街中を駆け抜けていた。後ろの方で爆発音やら何やらが聞こえてくる・・・町の人はなんの反応もしないのか?普通に車とすれ違うし人も歩いてるのに、後ろで起きてる惨状が何も起きてないような反応だ。


 「どうなってんだこれ・・・なんで周りは何にも反応しねぇんだ?今は別にあの赤い空じゃねーだろ」


 「これはこれで気味が悪いね・・・」


 あの女子アナ?いや、流石に無理だろう。三上君が何か仕掛けてるのかなぁ・・・玉藻さんって幻術使えたからそれ関係?


 「で、霧島君・・・その滝ってどっち?」


 「は?お前分からずに走ってたの?」


 「うん、なんとなくで走ってる。こっち?」


 「あってるけどよ・・・ほら、看板」


 「あ、ほんとだ良かった」


 滝は山の方なのか・・・くねくね道、メグに峠の攻め方とかよく動画送られてきたからな、実際やるとけっこう楽しいな・・・


 「お前案外ワイルドだなおい」


 「さぁ、意識したことはないけどね。むしろあんたのお陰か?私を人生崩壊まで追い込んでくれちゃってさ」


 「ぁ?それはてめーのせいだろ」


 「あの約束の事言ってるの?そりゃ忘れてたのは悪いけど、あそこまで嫌がらせしなくても良いじゃん。そもそも、小1にした約束を数年後に覚えてろって、まず忘れてるってば」


 「俺は覚えてた」


 覚えてたって・・・お前自分が何言ってんのか分かってんのか?あの約束だぞ?


 「ん?誰だアイツ?」


 霧島が指差した。道路の真ん中、誰か立ってる。あれ?あの子は確か・・・


 「やほー!」


 水色の髪で真っ黒なワンピースドレス着てる女の子なんて今日会ったあの子しかいない。


 「君は今朝の・・・」


 「やっぱりまた会えたね。ちょうど伊勢での用事も終わってこっち来てみたら結構大変な事になってるみたいだねぇ。あたしの地元で大暴れしちゃってさ〜、仕方ないからあたしの幻術でクラークの戦闘を消しておいたよ〜。あ、これシャルちゃんの事だからわざとここで戦ってんのね。ひゃ〜、結構悪どいと言うか切れ者って言うか・・・」


 「町がなんともないのは君のお陰なの?君は一体・・・三上君の知り合い?」


 やっぱり玉藻さんと似たような感じの子なのかも。


 「知り合いと言われればそうなんだけどねぇ、一番繋がりが深いのは君だよ?ミツキちゃん」


 「はい?」


 何を言ってるの?今朝会ったばかりだよ?


 「あたしの名前は八咫烏、今は神の使いって使命をやってるけど、本当の正体は()()()だよ」


 「っ!?」


 私と、同じ・・・この子が。


 「厳密には君の前任者になるのかな?これまでの世界の全てを見て、記録してきた存在。それがあたし、さくらんが会わせたかったってのはあたしの事なの。そして、君は選ぶ時が来た」


 「選ぶ?何を?」


 「君の今すべき事は分かってる、霧矢君の救出だよね。ただ、ここが大きな分岐点になる。君はこのまま進むとこの世の理を大きく外れた力を手にする事になる。けどそうなると、この先君は自分の為意外にその力を使う事は出来なくなる」


 「どう言う事?そもそも私の力って何?あ、もしかしてあなたが教えてくれたの?アレ」


 あの詠唱の力、結局なんで私にだけアレが使えたんだろ。


 「それはあたしじゃないよ、あなた自身が見つけ出した異質な力だ。自分で分かってるんじゃないかなぁ、その能力を教えたのが誰なのか・・・」


 「・・・まさか、いや、そんなあり得ないよ」


 心当たりが一つだけあった。けどそれはあり得ない事なんだ。


 「君の能力は、みかみんですらあり得ないと思ってる事を現実にしちゃう。さあ長話もなんだし、そろそろ決めよっか。ミツキちゃん、君は本当に目撃者として生きる選択をするのか否か・・・あたしが聞きたいのはそこだけだよ。今もまだ知りたいと願うのなら、私の見て来た全てを君に伝える」


 私の選択は・・・


 ・


 ・


 ・


 一方その頃、那智の滝近くにあるとある洞窟。


 「んー・・・眠・・・ほぇ?ここどこー?」


 その洞窟内に置かれたベッドに寝かされていた霧矢が目を覚ました。そして周囲を見渡すと蝋燭が洞窟内を照らしている。


 「スンスン・・・変な匂いもするしなー、俺何してたっけー。確か兄ちゃんとプールに行って・・・うーん・・・あ、ドアがある」


 霧矢はドアを見つけたのでそのまま外に出る事にした。


 「カギかかってるやー・・・ここの管理人さんごめんねー、俺帰るよーっと。うん、開いた」


 霧矢は鍵周辺をコネコネ弄るとガチャッと音がして鍵が開いた。


 「水の流れる音だー、すっごい大きい滝・・・って事はあそこかなー。けど、こんなとこあったっけー?」


 「う、うぇぇっ!?霧矢様!?まだ儀式終えられていないのでは!?」


 「・・・誰ー?」


 ドアの外、そこには見張りの女性が2人程立っていた。


 「見張りです!!それよりも霧矢様!!お部屋にお戻り下さい!!響煌様は今身体を清められておりますから!!」


 「ヒビキおばさんが?あ、なんかシャワーみたいな音がするねー。でー、それがどーしたのー?俺三日月と遊びたいんだけとなー・・・」


 「それは儀式が終えられてからいくらでも遊んで下さい!!そう言うわけで!ささ!儀式の間にお戻り下さい!!」


 「分かったー」


 ガチャン!!


 再び扉は閉められて鍵が厳重にかけられた音がした。


 「もー!!何やってるの!!鍵はちゃんと閉めてって言ったじゃない!」

 「分からないわよ!なんか勝手に開いたんだもん!!」


 外から少し言い争う声が聞こえる。


 「うーん・・・儀式ってなんなんだろー・・・それになんでみんな急に俺を様付け呼び?これまで兄ちゃんばっかだったのに・・・」


 「あら?随分と早くお目覚めになったみたいね」


 「んー?おばさーん?どこー?」


 「今行くわ、少しベッドに横になっててくれるかしら」


 「はーい」


 霧矢はぽいーんとベッドに乗っかった。


 「わーお、ふっかふかー。でさー、儀式って何の事ー?」


 霧矢はベッドで飛び跳ねながら響煌に質問をする。


 「心配しなくてもいいわ。あなたはそこで寝てるだけで良いの。出来る限りリラックスしてなさい。さ、待たせたわね」


 「いっ!?おばさん何そのかっこー!?変なのー!!」


 霧矢も普段見る響煌の姿はビシッとしたスーツ姿で見る事が多かった。しかし、今の彼女は違う。赤色のベビードールを着用し、あからさまに異性を誘う為の格好をしていた。


 「どう?似合う?」


 「分かんない。けどいつもおばさんが言う美しいか?って言われたらそーだと思うよー」


 「っっ・・・う、嬉しい事言うじゃないのよ・・・」


 響煌はなんの忖度も無い霧矢の褒めに少し顔を赤らめた。


 「けど、それ以上になんか変なのー。なんかこう、モヤモヤするというか、ムズムズする・・・」


 「彼女いる割にはなんにも知らないのね。けど良いのよ、少し心配だったけどあなたのそれは健康な男の子の証。初めての感覚で少し戸惑ってるだけよ。安心して、そのモヤモヤを取り払うのが今回の儀式・・・あなたは私に身を任せてればいいわ」


 「うん、なんかこの変な匂いで頭もぼーっとしてなんか気持ち悪いし、俺ちょっと横になるよー・・・ふぅ」


 霧矢は大の字でベッドに寝転がった。


 「あら、アロマは嫌いだったかしら?」


 「アロマ?アロエしか知らないよー・・・はぁ・・・」


 「アロエ美味しいわよね、私も好きよ。さてと、この匂いはリラックス効果をもたらすと同時に、精力増進効果もあるのよ。精通前だろうと発情する。そろそろ身体が出来上がってきたんじゃないかしら?」


 「ふぅ・・・はぁ・・・おばさん、俺風邪引いたかも・・・なんか、身体熱いし、心臓バクバク言ってるし・・・」


 「それで良いのよ。じゃぁ、始める・・・」


 

 ドガァァァァァン!!!!!!



 「わ!!」

 「なに!?」


 突如としてドアが破壊された。


 「あ、にーちゃん・・・」

 「大丈夫か霧矢!!」


 「荻山 響煌!!あなたの野望はそこまでだ!!覚悟しろ!!」


 霧島 京也と輝夜 ミツキ。2人並んでこの洞窟に突入してきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ