ミツキの選択肢
第四局面 THE CHOICE SUMMER VACATIONS
数日後、私の自室・・・
「へへ、うへへへ・・・」
私は部屋に新たに置かれたフィギュアに気持ち悪い笑みを浮かべていた。この世に5体のみの激レアフィギュア、その中でもさらに幻の6体目。しかもこの子は群を抜いてクオリティが高く作られている。
私の持っているお小遣いで可能な限り1番映える台を作った。なんならジオラマ作りやってみようかしら。最近百均にも素材売ってるし・・・
「はぁぁ・・・何度見ても素晴らしい造形・・・」
うっとり・・・
「あ、そうだ。この子には名前を与えよう・・・幻の6体目。私だけの特別な物・・・うーん、元の名前がアラン・ビックス大佐なら・・・アラン・シックス!!よろしくシックス!!」
変なダジャレのオンパレードをやらかしたその瞬間。チラッと窓を見たら・・・
「あ・・・」
「にーひひひ・・・聞いちゃった、聞いちゃった〜。ミツキちゃんの恥ずかしい独り言聞いちゃった〜」
なんか、窓の縁に軽音が立ってるんですけど・・・
「な、ななななななななはなはななななななな!?」
「やほー!ミツキちゃん!デートしよ!」
「どひーっ!!窓からはやめてー!!」
窓から軽音が突撃して来た。
「仕方ないじゃない、ママに知られたら大変だもの。にしてもこの足便利ね〜。あ、ならいっその事このままミツキちゃんを攫って・・・」
そんなロミオとジュリエットじゃないんだから・・・
「で、何の用だったの?」
「そうそう、一緒に水着買いに行かない?安心してよ、みんなも誘ってるから」
「え?なんで水着?プール行く予定なんてないけど・・・」
そもそも私はプール嫌いだ。それにこの中学にはプールがないから水泳の授業も無いのに・・・座学のみだ。
「相変わらず先生の話聞いてないわね〜。今年から試験的に町営のプール借りて水泳の授業やるって言ってたじゃない」
「マジか!」
なんたる事!!この時代に合わない事をしよってからに!!
「マジよ。ま、1回だけしかやらないみたいだけど、水着は必須だから用意しろだって。水着のデザインに特に規定はないみたいよ」
そっちは多様性!?時代錯誤なのかどっちなん!?
「って、待って!三上君はどうするの!?」
「???三上君?なんであの子が関係してるの?そんな貧乏じゃないし、なんなら一緒に誘ったわよ?」
あ、やっべ・・・三上君が女体化してるのは私しか知らないんだった・・・この間のキャンプファイヤーの姿があまりにも美しかったもんだからその後しばらく衣装についてだの、演劇部の連中も三上君に詰め寄ってたな・・・因みにあの異常な強さに関しては、ガイアの護衛やってる人だからって事になった。
「あ、いや・・・昔の水着が何処かにあったっけ・・・」
「ミツキちゃーん・・・買う買わないにしろ、付き合っては欲しいなぁ〜。人付き合いはそう言うところから始まるんだよ」
「あ、ごめん・・・自分の事ばっかでした・・・」
面倒だから良いやはダメか・・・
「そうだぞミツキ!!せっかくのお友達のお誘いだ!!買ってこーい!!」
「ぎゃーっ!!お父さんちょっ!!人の部屋に勝手に入るなってあれほど!!」
「おー、ミツキの友達ですか!あっしは父です〜」
「学級副委員長の荻山 軽音ですー」
「荻山・・・あー、世話になってますー。それよりミツキ、水着買うんだろ?多少は父さん、お金出してやるからよ」
「買うって、水着結構高いよ?」
「大丈夫!!この間国連の人が10万ドルPON⭐︎とくれたもんだからよ!」
何故にドル!?日本円に換算したら・・・分からん!!
「1500万円くらいになるのかねー、今の相場凄まじいなー。って訳でほれ」
「ありがとございまーすおとうさーん。じゃ、行こ」
「わー!!窓から連れ出さないでー!!」
私は軽音に抱えられて外へと持ってかれた。
「元気な子だなー・・・にしても荻山か。響煌の奴・・・何を企んでる?」
・
・
・
水着・・・水着ねぇ。私は普通にスク水で良いと思うんだけど、中学生のスク水は私にとって需要ないし、あるのは零羅かリリア。中学生の身長にスク水はなんか違うのよ。これ分かる人いる?
で、自由で良いってある意味困るんだわ。だって・・・
「マイクロビキニで男ドモ悩殺ネー!!」
「ミツキちゃんにハイレグを・・・ふぅ、ふぅ・・・ふひひ!」
こんなんなるんですわ。
「困ったね・・・」
「困ったもんだね・・・」
私の隣の三上君もため息を吐いた。てか、どう言う組み合わせだこれ。軽音が集めたメンバー・・・
ほぼクラス全員じゃないか!!
東郷は分かるけど・・・霧島まで来たのかよ!!水着買いに!!
「京也くーん、ここは一発この活きの良い海パン野郎スタイルで」
「断る」
海パンスタイルの霧島・・・ぷっ、受けるー。
「お、おう三上!!お前は水着どうすんだぁ!?ここは一発ビキニを・・・」
「新庄君?僕は女の子っぽいって言われるのがとっても傷つくんだ。調子に乗らないでね?」
あ、新庄が三上君の地雷踏み抜いた。
「い、いやガチで似合いそうだなぁって・・・いや!!違うからな!?俺は決してそう言うアレじゃねーから!!この間の林間学校の三上で勃起なんか決してしてねーから!!な!!舐めんじゃねーぞミツキィィィッ!!」
「いららららら!!!!ほっへつれららいれよ!!」
何故か新庄は私のほっぺつねってきた。伸びる・・・てか、勃ってたの?三上で?
くけけけ・・・三上✖️新庄か、いけるな・・・いや、寧ろ逆。頭暴走した新庄が動揺した三上君を無理矢理・・・Fooh!!
はっ!!いかんいかん!!またキモい顔に・・・とりあえず私の水着だ。あー、最近はジェンダーレスだのなんだのあるんだなぁ。値段もまぁ、これくらいか・・・家の水着ちっちゃいかもしれないからこれにしよ、ラストワン賞ゲット。
「あ」
「あ」
そんな時だった。手に取ろうとした水着がだだ被りした。三上君と・・・
「あの・・・僕それが良いんだけどな」
「え、私もこれが良い。なんかこの店他が派手で・・・」
三上君の事情も分かる・・・けど、私はこれが良いんだ。諦めて他のにしてくれないか?
「そうだぜ三上よぉ、その地味〜なやつはミツキにおあつらえ向きだぜ!!ってな訳で!!」
「それは女性用下着!!いい加減怒るよ!!」
よし、今のうちに・・・よし、買っ・・・
「なん・・・だと・・・」
馬鹿な・・・手元にあったのは確実にさっきの地味イズベストの水着。それが何故こんなフリルビキニに・・・はっ!?
「にゃふふふ」
「うふふふ」
ネーちゃんと軽音が結託してやがった!!成る程!スリーサイズは知ってるもんねネーちゃん!!買収したアンド個人的興味でスリ抜かれた。
やーれやれ、まぁ仕方ない。もういいよコレで・・・帰るか。
「ほぎゃっ!!あ、す、すみません!」
私は誰かにぶつかってしまった。
「軽音・・・何をしてるのかと思えば、またこの黒い子ちゃんとお遊び?」
つ、冷た・・・何この視線。
「ママ?」
ママ・・・こいつが、軽音のお母さんか。そいつは私の前に堂々と立った。身長は高く顔立ちも少し鷲鼻気味の確かに美人だ。けど、それ以上に醜悪なオーラを私に向けて放っている。
「輝夜 ミツキ・・・良い名前ね。私は軽音の母、荻山 響煌よ。娘が随分とお世話になってるみたいじゃない」
「はぁ、これは・・・どうも」
分かってる・・・この挨拶はどう見ても私を馬鹿なしようとしている人の挨拶だ。分かりやすいな・・・
「そんなに睨まなくていいわ。娘から色々悪いウワサ流されてるみたいだけど、半分は誤解。私はただ単に醜いモノが嫌いなだけ。あなたのこれまでの活躍、とても美しいと思ってるのよ。だからこそ勿体無い、あなたみたいな人がなんでそんな肌の色をしてしまっているのかしらね・・・」
殺気・・・この人はそんなに黒人というか、有色人種が嫌いなのか?
「・・・で、一体ママはここに何の用なの?」
「無論水着を買いによ軽音。そろそろ夏じゃない、今年は海に行きたいなぁって思ってね」
「ふーん、年甲斐もなく変な水着買わないでよ?」
「何を言ってるのかしら?あなたが自分に正直に生きると言うのなら私もそう。年甲斐が無くとも私が美しいと思える物を着るだけよ」
この母はビッチなのであろうか・・・流石に中2の母親の際どい水着はキツくないか?私はまだ熟女の魅力が分からなくてな。
「垂れた乳が美しいですって?人間外見よりも内面が美しく無ければどれも醜いものよ。年増は年増らしい美しさを磨いたらどうなの?」
「言うようになったわね青いガキのくせに。外見の美しさはそれは同時に内面にも現れるものよ」
この親子怖い・・・毒舌のマシンガンが飛び交うよー。
「ミツキこっちだ」
「うん、今行く〜」
私は呼ばれてコッソリと逃げた。って、あ?今呼んだの誰?
「さ、桜蘭さぁんっ!?」
「ふっ、随分と元気そうだな」
何処からともなく桜蘭さんがいた。
「な、何このイケメン!?♡!?」
東郷は霧島を前にしてる為どうしたらいいか分からず変なオーラ出てる。
「あなたは・・・誰?」
軽音が桜蘭さんに問いただした。
「坂神 桜蘭・・・天正第二中のみんなが揃ってると聞いてな。少し立ち寄らせて貰った。俺がここに来た理由は二つ、一つは挨拶だ。これから少々世話になるだろうからな。今のうちに挨拶しておこうと思ったんだ」
「あ?なに、また転校生かぁ?」
新庄が相変わらずボケてる事をぬかす。
「はは、残念ながらだ・・・あの赤い空、そして悪魔の元凶は俺。つまりは天正市のスーパーヒーローと敵対するラスボスって所だ。それが俺の役割、それが一つ」
「で、もう一つは?」
霧島が睨むように質問した。
「ミツキを少し攫いに来た」
「わ、私っ!?」
な、なんで!?突然のロミオとジュリエット開幕!?
「あぁ、俺と来い・・・輝夜 ミツキ」
ドクンッッ!!
な、なに・・・身体が・・・動かない!いや、勝手に動く!!
「ふんぐぅぅぅっ!!!」
「なに・・・」
私は無理矢理足を止めた、その時だ。
「見ぃぃぃつぅぅぅけぇぇぇたぁぁぁっ!!!チェェストォォォッッ!!!」
「っ!!」
グゥアッッギィィィィンッッッ!!!!!!!!
えげつない金属音を立ててこれまたどこからともなく現れた薙刀が振り下ろされた。けど、そのえげつない一撃を桜蘭さんは片手の一丁の銃で受け止めてる。
「って、エルメスさん!?」
「やぁミツキちゃん。ちょっとごめんね、サクラがここにいるって聞いてすっ飛んで来たのよ。とりあえずこいつぶっ飛ばすから!!
「エルメス・・・相変わらず凄いパワーだ・・・けど」
「え、ちょっ!?」
「ウインド・ストリーム」
桜蘭さんが引き金を引くとエルメスさんは風と共にすっ飛んだ。
「あ、あぁ・・・店内がめちゃくちゃに・・・」
店員が膝をついて絶望してた。
「あ、あ、あああああっっっ!!!!落ちるぅぅぅっ!!!」
ふっ・・・
わ、わお・・・桜蘭さんは華麗に飛び上がってわちゃわちゃ落ちてくるエルメスさんをお姫様抱っこした。
「あ・・・」
「もう、頭同士ぶつかる事はないな・・・」
「くっ!!離しなさい!!」
エルメスさんは桜蘭さんを突き放して距離を取った。
「・・・三上、俺はお前と戦う気はないぞ?始めたらここ一帯はタダじゃ済まない」
いつのまにか三上君が刀を抜いて桜蘭さんの首元に突きつけていた。
「うん。僕もそれは同感・・・けどね、このチャンスは逃したくないんだ。永零以上に君の目的は分からなくてね・・・」
「ん?永零の目的ならミツキに教えた筈だ。聞いてないのか?あぁ、ミツキ、アレは夢じゃないし妄想でもないぞ。伝わってると思ってたんだがな・・・」
「ミツキさん、知ってるの?」
あー・・・マジか。あれ夢じゃないのか。けど、どう切り出す?この状況で・・・
「いや、別に話す必要はない。本題に戻ると俺の目的はミツキだ」
「桜蘭君・・・彼女は一体なんなの?」
三上君が桜蘭さんに尋ねた。
「普遍的で特異的・・・俺から言えるのはそれくらいだ。後は、彼女自身が選ぶだけだからな」
私が選ぶ・・・何を?
「行けば分かる・・・もう一度言おう。俺と共に来い」
また!!身体が勝手に動きだそうとしてる!!この状況、なんかついていったらヤバい気がする!!
「チョイ!!話聞いてれバ!!連れ去りは犯罪ヨ!!」
「何処の誰か知らないけど、私の女に手を出さないでくれる?」
ネーちゃんと軽音が桜蘭さんの前に立ち塞がった。けど、
「止まれ」
「っ!!?」
「な、う、動かないっっ・・・」
2人は微動だにしなくなった。
「動けぇぇぇぇっ!!!!!」
私は叫んだ。
「ほへ?」
う、動いた?無理矢理動かそうとしたら、勢い余ってすっ飛んで・・・
「ほ、ほぎゃぁぉぁっ!!!!」
「え、なによ!?きゃっ!!」
思いっきり軽音母に激突した。
「成る程、これも運命の因果か・・・」
「いたたた・・・あれ、そんなに痛くない・・・」
あぁ、なんかふかふかで気持ち良い・・・って、やば!!コレはまさか!!
ダイブした先は、軽音母の胸。なんでこうなるん?
「・・・・・」
「・・・・・」
私は冷や汗流しながらチラッと見てみた。ひいぃぃっ!!!睨んでるぅぅぅっ!!!早く体勢を戻さないと!!
「す、すびばぜんっっ!!!!」
私は飛び上がるように離れた。
「この私が・・・黒人を受け入れるなんて・・・なんたる屈辱!!」
「落ち着け荻山 響煌・・・何も問題はない」
「・・・っ、ま、まぁ。仕方ないわ。今回は不慮の事故って事にしておいてあげるわ」
何今の・・・急に冷たさが無くなって、落ち着きが現れた。
「ミツキ・・・どうやら俺は来るのが遅かったらしいな。お前はいつの間にか俺の能力を超えていた。その歩みはどの道奴に出会う事になる・・・ミツキ、海へ向かえ。タイミングはお前次第だ・・・」
バチンッッ!!!
「あ、ちょっと!!」
いなくなっちゃった・・・あ、店内元通りだ。
「なんだったんだ?アイツはよぉ・・・まいいや!!水着買おうぜ!!」
新庄お前・・・ある意味凄いな。
「ちっ・・・また逃した・・・けどあいつ、海って言ったわね・・・ねぇミツキちゃん。ちょっと買い物付き合ってくれる?」
「あ、はぃ・・・」
エルメスさんも薙刀をしまって買い物始めた・・・
「坂神 桜蘭・・・変な奴ね、あんな奴は放っておきましょう。軽音、私はちゃんとするのなら文句はないわ。その黒い子ちゃんとの交友も事と次第じゃ認めてやらなくはないわ。ただし、私が認めるのはそう簡単じゃないわよ・・・さて、店員さん。こちらをくださるかしら?」
「あ、お買い上げありがとうございます・・・」
えっぐいの買ってったなあのおばさん・・・




