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3日目、神(真)の目的

 翌朝。


 パッパラッパ パッパラッパ パッパラッパ パッパパー!!!!


 「ほんぎゃぁぁっ!?」


 起床ラッパが盛大に耳元で鳴らされた。しかもフルコーラス・・・馬鹿な、まだ時間は・・・8時・・・


 退所式の時間は?8時・・・


 「いつまで寝ぼけてやがんだ!ぼけーっ!」


 ププーッッ!!!!!!


 「ひぎゃー!!ごめんなさーい!!!」


 荷物を纏め終わってラッパを構えてる東郷、それをニコニコ見てるネーチャンと軽音。何食わぬ顔してる男子共(一名除く)


 私は大慌てで荷物を纏めた。外に出るともうみんなバスに乗ってる。退所式もう終わっちゃった?やば!!




 林間学校3日目、今日はほぼほぼ観光だ。退所式の後バスで軽井沢とよく聞く涼しそうな所でお土産買ったりなんだりして帰るだけ。そして学校に帰った後は・・・反省会だとさ、やだやだ。


 私は大急ぎで謝りながらバスに乗り込んだ。


 「おいミツキ、次遅れたら問答無用で置いてくぞ」


 ひー!ごめんなさーい!!霧島が腕組んで相当イライラした様子で私に話しかけた。


 因みにメグたちは西の方面に行くから松本って所で似たように観光するらしい。隣のバスがそうみたいだ。うん?スマホの通知?一体誰・・・ってあれ、メグだ。なんかちゃっかりとメアド登録されてるし・・・いつのまに・・・


 それにしても、終わりよければすべて良しとはちょっと違うけど、なんだかんだ刺激的で楽しくはあったな。後はのんびりとお土産でも買って・・・ところで軽井沢のお土産ってなんだ?ジンギスカンか?そもそも軽井沢はなんで観光地なんだ?


 まぁいいや。適当に買えば・・・やれやれ、やっとのんびり出来る・・・


 ・


 ・


 ・


 昼過ぎ・・・バスは学校へ向けて出発した。私は・・・


 「・・・・・どうしよう・・・・・」


 本当に置いて行かれた・・・違うんですぅぅぅっ!!!言い訳させて下さい!!ここが観光地過ぎてバスが大量で間違えたんです!!集合場所が隣だったんです!!私は悪くない!!


 てか!!ガチで置いていく奴があるか!?


 ピンコン♫


 スマホの通知、東郷だ・・・


 『京也君がブチ切れてあのクズは置いていけっさー。さいならー。アドバイスしたげると新幹線あるから乗って帰れば?金あればだけど(笑)』


 なんてこった・・・最後の最後で詰んだ。社会及び地理のテストが赤点ギリギリの私が、ここからどうやって帰れと!?い、いや法治国家日本!!とりあえず交番に行けば!!

 

 やったー!軽井沢駅に着いたー・・・って!!交番探してたのになんで駅に辿り着いた!?いや待て!!東郷は新幹線があるからそれで帰れば?ということだ。つまり、ここからなら帰れると言う事!!


 大丈夫だ!こんな感じの券売機で切符を買った!!確か目的の駅の所に書いてある値段をポチッとすれば・・・


 私は端末を見た・・・ほへ?指定席とな?なんの話じゃ。上の料金表・・・な、無い?最寄駅が載ってない。てか!他の駅名も見た事ないよ!?ここは一体何処!?


 「あー、三日月のねーちゃんだー」


 端末の使い方も分からず絶望していたそこへ、一筋の光が現れた。いや、なんで?


 「はい?霧矢君?なんで?平日だよ?」


 なぜか1人で霧矢君が改札から出てきた。


 「今日は小学校休みだよー」


 「あ、そういや三日月も言ってたっけ・・・って、それよりなんでこんなとこに?親は?」


 「うんー?いないよー。だって俺道迷っただけだもん。えっとねー、今日は三日月と遊ぶ約束しててさー、駅前集合だったんだけど変な電車見かけたからそっち行ってみてさ、それ追いかけよーってなってさ、適当にまわり込んでやろうって思ったの。さっき長野駅で見てきたよー」


 道に迷うってレベルじゃない・・・ある意味才能というかなんというか・・・


 「なに、電車好きなの?」


 「さぁー?」


 「さぁって・・・それよりどうしよう。迷子2人」


 「だねー。だったらそろそろ帰ろー」


 「帰ろうって、その帰り方がわからないんだけど?」


 ダメだこの子。霧島と真反対過ぎる・・・


 「だいじょーぶ。適当にやれば帰れるからさー。三日月のねーちゃんも一緒に帰るー?」


 「本当に帰れるの?」


 「ほれ、ここでしょ?」


 霧矢君が適当に端末の画面を触るとここ軽井沢から出て到着には見慣れた駅名が出てきてる。どうやった?


 「って!!クソ高っ!!」

 

 けど、値段見てびっくら仰天!5000円超えるの!?


 「新幹線って高いねー」

 

 「高いねー・・・って、霧矢君お金持ってるの?私でギリギリなんだけど」


 「あるよー。道に迷った時はねー、適当にそこらへんのおじいちゃんとおばあちゃんのやってるお店行って3時間くらい働かせてもらえば日本くらいだったら何処にでも行けるよ。これ俺からのアドバイス」


 「ど、どうも・・・」


 人見知りしないというか、なんなの?


 「あ、そういえばさっき変な電車見てたらその写真撮ってるおにーさんたちからも貰ったよー。なんか、将来こっち側に来そうだから投資しておくってさー」


 万札が何枚かある・・・


 「わーっ!!?知らない人からお金借りちゃいけません!!」


 「??貰ったんだよ?借りたんじゃなくてさー」


 この子将来大丈夫か?ただでさえ私は金で人生終わりかけたんだから・・・


 「それでねー、是非ともこの新幹線の1番高い席乗ってみてだってー。ってなわけで、2枚買ったよー。これ俺の奢りって事でー」


 青い切符が渡された・・・てか、買ってもらっちゃった。ってどひー!!1万超えとるがな!!


 「まっ!!待て待て!!せめて通常料金くらい渡すから待ってー!!」


 「わーい!!三日月のねーちゃん優しいなー。今度一緒にサッカーやろー。じゃ、行こーぜー」


 ダメだこの子。一緒にいるだけですんごい疲れる・・・


 私は霧矢君について行ってホームに立った。えっと流石に切符の見方は京都で学んだから分かるぞ。12号車か、って事は1番後ろだな・・・


 で、新幹線到着・・・あ、あれ?な、なにこの厳かな雰囲気のドア。


 「わー、すっげー。こっちだねー」

 「ひっ!!何このファーストクラスみたいなの!!」


 「ラッキー。あのおにーさんたち凄いなー。あー、これ寝れるー」


 どう見ても座席と似つかわしくない私が座ります。うん、寝れる。けど寝たら最後・・・またどっかに置いていかれる!!寝ないぞ!!


 「ぐー・・・」





 1万越えの座席は容赦なく私を寝かしつけた。けど、駅に近づいた瞬間に勝手に目が覚めて、そのまま霧矢君の背中追いかけたら気がついたら校門に立っていた。


 「あれー・・・私はどうやってここに来た?てか、新幹線早すぎて私最初に到着?冊子の予定時間より早い・・・」


 「あ!!オラァ霧矢!!どこ行ってたー!!」

 「探しましたよー!?」


 あ、三日月とリリアだ。


 「軽井沢ー。三日月のねーちゃんもそこで迷ってたから一緒に帰って来た」


 「軽井沢っておま・・・どういう大冒険して来てんだよ。てか、バカ姉はマジでバカな真似しでかしたのか?」


 「いや、あれはその・・・バスのせいというか、なんというかで・・・」


 「どーせ、同じバスだーとか思って集合場所場所間違えたんだろ」


 その通りでございます!!


 「あ、図星か。てか霧矢、彼女ほったらかしで消えるはねーだろ」


 「いえいえ、楽しんで来られたのならわたくしは構いませんよ」


 リリアはお人よしだなぁ・・・


 「ありがとー!今度一緒に行こーぜー。あの変な電車今度は乗ってみたいし、長野は涼しかったよー」


 「全く、いつも金がねーとか言ってる癖によー」

 

 「金は無かったら作ればいい!」


 造幣局員ですかあなたは・・・


 「やれやれ、まぁいいや。俺たちは今から零羅んとこ行くけど霧矢行くか?」


 「行くー。お土産買って来たから食べようぜー」


 バターサンド・・・なんかいかにもそれっぽい。私は、なんだこれ・・・軽井沢って書いてあるチョコクランチ。よくよくみたら製造元地元だ・・・センスないって後で三日月にどやされる。


 にしても、あの子一体なんなんだろ・・・この間チラッと北海道からですら1人で帰ってきたって・・・道に迷うけど帰る場所にだけは必ず帰る能力・・・まーさか三上君と関係ないよね。そもそもあの子、霧島の弟って話だしな。


 さーて・・・バスがやって来た。私はちょっと困惑しつつドヤ顔決めた。


 「きっしょ・・・ニヤついてんじゃねーぞミツキ」


 降りて早々霧島に毒吐かれた。


 「へー、帰れんじゃん。ま、金は吹っ飛んだんだろーけどねー」


 東郷さんこれはこれはどーも。


 「ミツキちゃん!偉い偉い!!しかも先回りするなんて何て可愛いのかしら!!」


 可愛いの基準が分からなくなってきた。


 「ミッちゃん凄いネー。アタシは帰れないヨ、何か裏技使っタ?」


 うん使った。なんなら課金して優雅に帰りました。


 こうして私の2泊3日の林間学校は終わりを迎えた。


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 プルルッ!!


 電話が鳴り響いた。


 「私だ」


 1人の男がそれを取る。


 『やぁ、僕だよ。どうだった?』


 電話の先に聞こえる声は指宿 永零だ。


 「道山 隆二は無事解放。竜太郎は三上の活躍で死亡した。これで実質道山会は崩壊だ」


 『そうみたいだね。流石だ・・・それで礼の様子は?』


 「それについてだ・・・奴はお前の予想に反してあの姿へ到達した」


 『っ!!それは・・・』


 永零は息を飲んで少し固まった。


 『なんて・・・なんて嬉しい誤算なんだ!!ははは!!』


 そして大笑いを始めた。


 「嬉しい誤算?お前の目的は・・・」


 『分かってるよ、僕の目的は礼の子だ・・・けど別に産むのは僕である必要はないんだ、どちらかで良い。そして、1番嬉しい誤算は礼も僕も能力を全開に出来るようになった点だ。その2人の間に産まれる子・・・それこそ真の神と言えるんじゃないかな?』


 「・・・成る程な」


 『ちょっと引かないでよ。僕は真剣なんだから・・・それなら、()()()()()はどんな感じ?』


 「・・・あぁ、今は片鱗のみだ。何処へ置いても必ず戻ってくる。家に帰ると言う到達点を発生させている。今回、長男に生徒を1人軽井沢に放置させたが、あいつの存在はやはり因果の支配とでも言うべきか、巻き込んで一緒に帰って来た。全く関係ない場所にいたにも関わらずな」


 『近しい者を平和へと導くか・・・でもまだ神が本来成せる真の平和を作り出せる存在にはなれないね』


 「あぁ、だがアイツは着実にお前の求める到達点へ向かうだろう」


 「うん、じゃあ今回はそんな所か。じゃぁね、()()()()()()


 第三局面 THE THOSE WITH POWER 完

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