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2日目、大団円キャンプファイヤーフェスティバル

 「細胞の一片まで焼かれて反省しなさい」


 三上君はゆっくりと刀を収めた。


 「全く、バカ息子が・・・悪かったな三上、何もかも俺の落ち度だ。息子を止められず、この戦火をここまでデカくしちまった・・・本当に済まない」


 隆二と呼ばれた人は杖をつきながら三上君の元に向かい、深く頭を下げた。


 「ほんとですよ。なんであなたともあろう人が彼のような、どうしようもない奴を・・・あ、ごめんなさい。この状態だと少し口が悪く・・・」


 「構わねぇよ。あんたはそんな俺の為に己を捨てた。感謝仕切れないくらいだぜ。竜太郎・・・あいつは神崎と同じ孤児でな、出会った時から野心家で、凄まじい向上心の塊のような奴だった。


 ニヒルがいなくなって、しばらくの間記憶を失っていた俺はあいつに俺の全てを教えようとした。が、俺は教育を誤った・・・俺たち道山会は裏側からこの国を守る為の存在、陽の光を影から見守る。俺はそれを心情に生きてきたが、あいつはずっと陽の光に憧れていた。それから同い年である神崎との確執が生まれた。


 神崎は俺たちの望む成長をし、影の存在として名を馳せた。それが更に竜太郎の野心に火を付けちまったんだ。そしてあいつは、俺の知らない間に力を付け、反逆を起こし、全てを支配するってどうしようもない感情に囚われた。あいつもまた、この戦いに巻き込まれた犠牲者なんだよ・・・救う事が出来ない哀れな存在を、俺は生み出してしまった。殺した今言うのもおかしいが、三上・・・あいつの罪、許してやってくれないか?奴の残した罪、後は俺が背負う」


 ・・・罪を犯すのは罪に育てられたから。全ては繋がっていたから、あいつはあそこまで堕ちて、そして三上君に今日、断罪された。分からないな・・・どうして、どうしてこうなるまでに止める事が出来なかったのか。軽音、チャールズ、そして竜太郎。どうしてみんな、罪を犯してでも欲しがるんだろう。


 三上君は多分、答えを知ってる・・・けど、なんだろう。聞くのは間違ってる気がする。その答えは聞いても理解できないと思う。そっか、前に言ってた聞いても理解が出来ないってこういう事なのか。


 知るにはまだ私は何も観てはいないし、経験をしていない。そして答えは見えるものじゃない。考えて、感じる事。それが連なっていつか行動に移る・・・その行動をしているのが、今の三上君なのかもしれない。


 「うん。でもその罪は私も背負う。私の目指した世界は、あーいう奴もいる世界、いても良い世界なんだ。そしてその中で奪って奪われて、そこから考えて足掻く。僕はその中にある度し難い程の理不尽をなんとかしたいんだ。

 

 「同感だ。ニヒルも俺もずっとそこを探していた・・・けど、中々答えは出ないもんだな」


 「多分、一生出ないのかもしれない。それでも、この歪な世界だからこそ見えるもの、出会えるものがいる。そしてそれは、完全な平和では到底味わえない讃美歌のような美しさがそこにはある」


 三上君は、私とメグを見て呟いた。


 「だな・・・俺の孫に、こんな友達が出来るなんて想像出来なかったぜ」

 

 「じいちゃん・・・ちょっとひどいっての。ちゃんと友達作ってんだから良いだろうが」


 「メグ、怪我はもう大丈夫なの?」


 「あたしを舐めんなってのミッキー。死にかけはしたが、あたしも覚醒者の力を持つ端くれだ。それよりも、あ、ありがとうな・・・こんなあたしと、友達になってくれてよ・・・」


 顔真っ赤・・・改めて見ると、結構可愛らしい所もあるもんだな。


 「じゃ、そろそろ戻ろっか。麗沢さん、リザヴェノフさん、アリアさん。ありがとうございます」


 「HAHAHA!!出番は無くとも仕事はこなす!!まさかこのような所で拙者に出番が来るとは感謝の極み!!しかしながら三上殿、今回はその途轍もない変身を目の当たりにした故に使用はしなかったが、次拙者の出番が来る時は、是非とも拙者に映える変身シーンを入れて欲しいものでござる!!」


 「それ、私に言われても・・・作者に言ってあげて」


 作者?あぁ、メタか。


 「うむ、では拙者は・・・」

 

 「ねー弾!!長野と言えばお蕎麦!!私お蕎麦が食べたいわ弾!!特盛10段のざる蕎麦!」

 「少し行った所に上諏訪温泉と呼ばれる温泉地があるみたいですわね。わたくしそこに行きたいですわ麗沢様」


 「ノー!!!」


 あの2人は・・・彼女?なんつー羨まけしからん奴だ。あの合計4つのばっかでかい谷間に挟まれたいのは私もだと言うのに・・・


 「相変わらずハーレム主人公してるね彼は。さてと、そろそろ戻ろうか」


 「あ、うん。あっ、それより三上君・・・その姿は結局なんなの?」


 私はこの肌色の面積が広い三上君の衣装について質問した。


 「うん?これは刀に天照の力を全て与える事で、神器ってのに変わるんだけど、それがあまりの高熱で完全物質のこの刀ですら焼け焦げて・・・」

  

 「いや、能力じゃなくて服」


 私が描き直したら三上君はポカンとした。


 「・・・服?え、特に何も変わっ・・・て?ないと・・・な、ななななな!!!?なんじゃこりゃ!!!!」


 あ、もしかして全然気がついてなかったの?三上君は慌てて色々手で隠した。


 「あっ!!あらら!?隠そうとした胸が溢れそうになる!!えっと、どうしまえば・・・」


 けど、隠すのは逆効果っぽい。


 「あー、羨ましいっての。なんでみんなあたしよりもおっぺぇでけぇんだよ。乳女って呼ぶぞこら」


 「確かにエロいなその格好。誰が作ったんだ?」


 「私よ」


 「「「うわっ!?」」」


 私とメグと隆二は同時にびっくりした。いつのまにか天照がそばにいた。


 「天照さん?これはどう言う・・・」


 「だって、衣装ごと変えなきゃ燃え尽きてすっぽんぽんよ?私の羽衣の一部を使って作ったの」


 「だからって、なんでこんな・・・」


 「強くて可愛くて、そしてえっちである。この三要素が日本と言う国で戦う上で必要不可欠な要素よ。衣装作りしてるあなたの友達もそうじゃない、彼女素晴らしい感性してるわ。今度同業者として挨拶がてら合作依頼しようかしら」


 (ぶぇっくしっ!!)

 あのコスプレ製作お姉さんのくしゃみが聞こえて気がする。


 「いやいや・・・もういいや元に戻ろう」


 三上君は変身を解除した。刀はまた白く戻りコートを羽織った姿へとなる。空もまた夜へと戻った。

 

 「あ、戻っちゃった」


 「けど・・・女性の性別からはもう、戻れないか・・・」


 ただ、性別は女の子のままな模様。


 「どうするの?これから、女の子として生きるなら協力出来る事はするけど」


 流石にいきなり女性の生活をしろって可哀想だよな。


 「・・・思うんだけど、この時代は多様性って言うじゃない?」


 「え?」


 「なんとか隠して男として生きられないかな〜・・・」


 に、逃げ道探してた・・・


 「三上君、まだ調教が足りなかったかしら?もっとメスを染み込ませたほうがいい?いくらその身体が永遠の処女になるのだとしても、あなたはもう女。その事実は特異点では変えられない。受け入れなさい」


 「やだ!僕は・・・生き抜いてみせるぞ。例え肉体が女性になっても心までは屈しない!!」


 「はぁ、勝手にしなさい。後始末はやっておくわ。あなたたちは林間学校の締めを楽しんで来なさいな」


 うーん、どうしたもんか。


 「あ、そうだ。天照さん、ちょっと提案が」


 私はふと思いついた事があってヒソヒソと天照さんに提案してみた。


 (ゴニョゴニョ・・・)

 「・・・ふふ、素晴らしいわ。流石は我が同志ね」


 「ん?なんの話〜?帰るなら帰るっての〜」


 「その通りですわ。わたくし、学級委員長として火の神役を仰せつかっておりますのよ?衣装も変えなければなりませんから、もたもたしていると滞りなく進行が出来なくなってしまいますことよ?」


 そう、そこなんだよ。キャンプファイヤーの火の神についてだ。


 「実はキャンプファイヤーをさ・・・」


 私とメグキャロライン、そして天照。三上君を省いて少々作戦会議。


 「な、なに?なんかすごく嫌な予感が・・・」


 「きゃっはははは!!!何それサイコーだっての!!」

 

 「オーホッホッホッ!!!輝夜さん!!それは妙案!!褒めて差し上げますわ!!」


 私の提案を聞いたメグもキャロラインも大笑い。


 「そういうわけで、天照さん。早急に・・・」


 「えぇ、友達の願いとして聞き入れたわ」


 「ひっ・・・助けてー!!女の子怖い!!」






 こうして私たちは宿泊施設まで戻った。


 どうやら軽音司会の元、キャンプファイヤーを予定通り進めてるらしい。あれだけやり合ったのに凄いな・・・


 「この少年自然の家にも再び夜の帳が下りてきました。みなさん、昼間のあの喧騒を忘れ、今この夜の後音に耳を傾けてみて下さい。この恵まれた自然の中、今一度、豊かな心を取り戻し、友情を深めていきましょう。では、キャンプファイヤーを始めます」


 遠き山に日は落ちてが鳴ってる。


 私たちはその中にこっそり途中参加した。周りが暗いからすんなりと溶け込めた。


 「それでは、火の神の入場です。皆様、拍手で・・・あ、あれ?」


 軽音は急に動揺した。


 「き、キャロラインさん?間に合ってるのは良いんだけど、火の神役はあなたでしょ?」


 「つい先ほど棄権致しましたわ。何故ならもっと相応しい人物がいらしたもの」


 バルルゥゥウンッ!!!ドゥルンッ!!

 パラリラ♫パラリラ♪


 「ヒャッハー!!おうおうおう!!随分としみったれてんなぁ、キャンプファイヤーってのはよぉ!!あたしが本物見せてやるっての!!」


 事もあろうかメグがバイクに乗ってキャンプファイヤーの会場に凸してきた。


 「いっ!?や、やり過ぎ・・・」


 「アイヤー!!また乱闘開始ネ!?」


 「あん!?安心しなよチャイナ!!言っただろっての!本物のキャンプファイヤー見せてやるってよぉ!!炎つったら祭りだろうが!なにしみったれた感じで命に感謝だのなんだの言ってんだっての!!キャンプファイヤーってのは友情育むが結局の目的なんだろ?ならフェスが1番ダチ作れんだろうがっての!!つーわけで!!真の火の神も見せてやんよ!!来やがれってのー!!!」


 カチーン・・・・


 金属のようなものが地面に叩きつけられる音がした。


 「特異点制御限定解除・・・これよりあらゆる概念効果を自身にのみ適応する」


 「な、なんだ?急に明るく・・・」

 「綺麗で不思議な空〜・・・」

 「暑くもないし、なんかすごくあったかい・・・なにこの感じ〜」


 「あ、あれは!?」

  

 新庄が指差した先に彼女は佇んでいた。真っ黒な刀の先端に優しげな炎を灯し、ゆっくりとそして煌びやで厳かな足運びでやってきた。花魁?


 「え、えーと・・・た、太古の昔・・・我々人間はとても弱く、暗がりの中怯えて暮らしていました・・・しかし、人間は火と出会い、それを操る術を手にし、道具を作り家を建て、やがて人間はとても強くなり、暗がりに怯える事もなくなり平和に暮らすことが可能となりました。しかし火は、争いの動画にも使われる事も事実です。火は正しく使いましょう・・・あれ、色々抜いちゃった?」


 本来はもっと台詞があった。しかし軽音は今の三上君の美しさに気を取られてそれどころではなくなったようだ。


 そう、私が提案したのは正にこれ。この姿の三上君は火の神どころか太陽の神。そして炎を灯す刀。相応しいのは彼女しかいない。


 因みに衣装はあの戦闘形態はあまりにえっちなので、天照さんの本物の羽衣を借りて纏ってる。そしたらなんだろ・・・ガチで神々しくなった。


 「あれ誰だろう?」

 「すんごい綺麗・・・山道中の子?」


 「いや、お嬢意外にあんな美少女は・・・そもそも俺ら女含めて全員ガサツな奴ばっかりだぜ?」

 

 「まさか・・・三上か?」


 みんなして誰だろう談義してた時、新庄が答えを当てた。


 「マッ!?」

 「うっそだろ・・・」

  

 東郷と霧島が口をポカンと開けた。

 

 「あー!!さくらんぼ先生の脳が壊れた!!」

 「みみ、みみみみかみ・・・みみみかみみみみ」


 この美しさ、女性にとことん弱いさくらんぼ先生はこのザマである。


 しー・・・


 三上君は口に指を当てて静かにとジェスチャーを送ると、三上君は舞いを踊りながらみんなの周りを周る。切先の炎が美しく揺らめく舞い。

 

 「点火」

 

 そして同時に周りのトーチとキャンプファイヤーに同時に火が付いた。


 「な、なんだ!?」

 「す、すげー!!」


 「さぁ、踊ろう」


 さ、流石・・・チラッと前に自作自演二重スパイやったとか訳の分からない事言ってたけど、この完全になりきってる姿。さっきまで泣きそうな顔で嫌がってた人とは思えない、完璧な踊り、と言うより舞いだ。


 それでいて、さっさとこの状況を脱すべく全ての中心を自分に一旦向かせて、途中のつまらん下りを一気にすっ飛ばした。


 「おっしゃぁ!!第二部開幕じゃぁ!!」


 こっから先はメグの担当。予定はマイムマイムだのなんだののレクリエーションの予定だったが、メグがどっかからロックバンド連れてきてフェスが始まった。


 「ちょちょちょ!!予定と全然違うんですけど!?」


 さくらんぼ先生が林間学校の冊子を眺めて困惑してる。


 「ほぉー。なるほどのぉ、予定の大幅変更をしつつもこの林間学校の本筋を突き詰める。我が校の生徒はしっかりしておる」


 「校長ー!!!」


 校長は相変わらずのーてんきだった。


 「グレイシア先生!!何か言ってください!!」


 「・・・楽しければ良いと思うから」


 「この人もダメだぁぁっ!!」


 今の天正第二中、まともな感性でいたらダメだと思う。それくらいに大きく変わった。

  

 いつのまにか三上君はいなくなり、みんなしてキャンプファイヤーフェスは大盛り上がり。


 「京也くーん!!一緒に踊ろー!!」

 「・・・まぁ、どうでもいいや」


 東郷と霧島は、まぁなんとかなるか。


 「ミッちゃーん!!」

 「ミツキちゃーん!!」

 「おうミッキー!!こっち来ーい!!」


 私ってこんな引っ張りだこなポジションだったか?


 「あれ?三上は何処に・・・」


 新庄、三上探してるのか?そりゃ何がどうなってあーなったのか気になるか。


 「っしゃぁ山道中応援団の出番じゃぁうらぁ!!」


 「天正第二中応援団の皆さん、応援合戦と行きますわ」


 「キャロラインさん!!天正第二に応援団はいませんよ!?」


 「なら今作りなさい!!合唱部とチアリーディング部とかでなんとかなるでしょう!?」


 キャロラインは、何してるんだろ・・・応援合戦始まった。


 まぁ、なんだかんだこの林間学校最後のイベントはみんなはしゃいで大騒ぎ、無事仲良く終われたのだった。


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