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2日目、暴走ハイウェイ・イン長野道

 ブゥォンッッッ!!!


 私は三上君の背中に捕まった。メグ・・・あなたは私とちょっと似てる。嫌な事があればすぐに逃げて、常に周りに攻撃的な目を向けて、自分の思い通りに行かないと他人のせいにする。ちょっと前の私とそっくりだ。


 まぁ今も変わり切れたかと言われたら微妙なとこだけど・・・けど、ちょっとは変われてるんだ。私とメグはきっと波長が合う。私は見届ける・・・逃げるのは許さない!!


 「さぁ、捕まってね!!」


 三上君はエンジンを吹かすと更に何かフロントにあるパネル的なとこのボタンを次々と押した。何かな?このボタンたちは・・・


 「バッテリーオン、スターター始動・・・魔導アシストジェットエンジン始動」




 キュゥォォォ・・・・・ギュィィィィィィッッ!!!!!!




 「うるっさっ!!!!」


 耳が貫かれる!!!何これバイクが出して良い音じゃない!!戦闘機の音だこれ!


 「メガリスさんのバイクも相当速いみたいだし、ちょこまかと動いてヴォイドさんたちも狙いが付けにくい。なら機動力には更なる機動力で対応しなきゃ・・・お、あったまってきた」


 そして三上君がスロットルを捻ると凄まじい轟音を響かせ飛ぶように発進した。


 「んごぉ!!Gがっ!!」


 発進時の勢いで私は後ろに仰け反りそうになるがなんとか耐えた。にしても、早すぎて景色なんか見れたもんじゃない。コレをこんな街中で走らせるなんて三上君の反射神経どうなってんだ?


 「あ、いたいた」


 「っ!?な、なんだってのそのバイク!!戦闘機ぃっ!?くそがっ!!」


 見えてきたと思ったメグも更にスロットルを回して引き離そうとする。あのバイクも相当だ・・・そしてそれを操るメグもやっぱり強いには強い。


 「結構な速さだな・・・そして、後ろからは彼女の護衛か」


 っ!?私がチラッと後ろを振り向くとバイク集団がこっちに迫ってきていた。


 「ミツキさん、双金(コイツ)使って後ろを迎撃してくれる?」


 三上君は私にあの刀の2つ引き金が付いた鞘の先端を渡した。鞘の後部はバイクに繋がれてる。私でもこれは扱えるって事か。


 「了解!!うりゃっ!!!」


 「どがぁっ!!」

 「ごふぁっ!!」


 うわっ!!


 私が撃った電撃が敵のバイクのタイヤに当たって2台巻き込まれ、滑りながらガードレールにぶつかった。


 「だ、大丈夫かな?」


 「怪我やら骨折はするだろうけど、僕がいる限り死人は出さない。だから問答無用でお願い」


 「イエッサー!!」


 私はしっかりとこの鞘を握り直し、後ろから来る敵を迎撃した。にしても、この数何処で待機してたんだ?


 「あ!前からも!!逆走だよ!?」


 「行かせはしねぇ!!」

 「うら!!死にやがれぇ!!」


 「ふん・・・威勢だけは素晴らしいんだから」


 三上君は左手に刀を握った。え、このバイクどうやって動いてんの?三上君はそんな疑問もお構いなしに素早く刀を振る。敵のバイクは綺麗なまでに真っ二つに割れて乗っていた人たちはぽいーんと投げ飛ばされた。


 けど、あまりにも数が多い、そしてこんな街中だ。三上君でもそんなにかっ飛ばせない。どんどん離される・・・


 「このまま街中走り回られるのは厄介だなぁ・・・よし、なら!!」


 三上君は更にスロットルを回す。そしてまたメグに近づいてきた。


 「んぎっ!!なんなん!?そのバイク!!うぉらぁっ!!ニトロぶっ放したる!!」


 メグは何か赤いボタンを押すと更に爆発的に加速した。


 「まだまだ・・・」


 三上君のバイクも引けを取らない速さだ。


 「あーあー!!もぅ!!聞こえるかっての!!ココの連中よわよわでダメダメ!!援護寄越しな!!」


 メグ、誰かと連絡を取ってる?


 「はん!!もうおしまいだぜ三上!!ミッキー!!あばよ!!」


 メグは急カーブして高速のゲートを突き破った。


 三上君も後を追い、高速へ・・・ただ。


 「え、なに速度緩めてるの?」



 『ETCが、使用できます』


 

 律儀に料金の支払いだけは守っていた。そもそも速度違反、危険運転のオンパレードやらかしといて今更な気が・・・


 「さ、ようやく本領発揮できるね。ふんっ!!」


 「ほごぁっ!!」


 昔乗った超加速するジェットコースターよりもきつい・・・けどその分、もう追いついてきた。


 「あーくそ!!さっさと道路封鎖してあいつらぶっ飛ばせっての!!」


 メグは前を走る車たちを避けていく。三上君も華麗に避けてメグを追いかける。


 『ゥウーッ!!!』


 サイレン!?


 「三上君!!警察が!!」


 「うん知ってる。上も見てみてよ、メディアさんまで来てるよ」


 上・・・ぎゃぁ!!私これ全国放送されない!?まったく嗅ぎつけるのがはえーな!!


 『えー、こちら長野市上空です!市街地を暴走していたバイク2台は現在更科ジャンクションを抜け長野道を南方へと走っているのが確認できております!現場の増子味でした!!』


 「どうするの!?」


 「ここは、彼女に感謝だね」


 バババババッッッ!!!!


 別のヘリの音?って、あっ!?


 『なんでしょうかあのヘリは・・・って!!あのヘリ銃持ってる!!』


 ズガガガァンッッッ!!


 新たに現れたヘリはメディアのヘリを攻撃しだした。


 『ちょ!!退避して退避!!もーなんなのよ!!この間の赤い空と言い、武装ヘリと言い!!』


 メディアのヘリは撤退を余儀なくされた。


 「ちょっと!!武装ヘリはヤバくないの!?道山会ってなんなのよ!!」


 「もみ消しならお手のものってとこだね。まぁ、今回はなりふり構わずって感じだけど・・・このままじゃ機動隊の人たちもあの連中に巻き込まれるね、仕方ない・・・」


 三上君は少しスピードを緩めた。


 『そこのバイク止まりなさい!!』


 そして機動隊のバイクと並走する感じに走った。


 「あー、あー、えっと、あなたそれなりに偉い人ですよね?」


 『なに?』


 三上君は何故か機動隊の人と話し始めた。この爆音でどうやって聞き取ってるんだ?


 「だったらこの状況を一言で言うとガイアが攫われた。これの意味分かります?」


 『ガイア!?そいつはコードレッドだぞ!!』


 「そう、今はコードレッドの状況。彼らは彼女を攫うためなら手段は問わない連中だ。このままだと一般人を巻き込む可能性がありますので、あなた方は一般車両の避難と早急な通行止めをお願いします。ガイアは僕に任せて下さい」


 そ、そんなんで通じるのか?


 『・・・了解した!!我々は退避だ!!長野道及び中央道を即座に全面通行止めにするんだ!山梨県警と愛知県警!神奈川県警とも連携を取れ!!』


 通じた!!ほんとガイアの名前ってなんなの!?


 機動隊たちは通行止めに専念するらしい。にしても凄いな、ものの数分で車が一気にいなくなってきた。けど、いなくなるって事は・・・来るよな上から!!


 ズガガガァン!!!ズガガンッッッ!!!


 上空のヘリからこっちに向かって銃弾の雨が降り注いだ。


 「そんな豆鉄砲は効かないよ!!」


 三上君は銃弾を綺麗に弾いた。


 「ひえっ!!マシンガン弾くってどゆこと!?」


 「え?当たる弾丸だけ見極めて横に弾けば簡単に弾けるよ?」


 ・・・・・三上君、ケロッとした顔で言わないで。それよりも!!また後ろに!!


 「くらいやがれ!!!って、あれ!?」


 私は後方へ電撃を撃ち込んだが、向こうも剣を携えて私の攻撃を受け流した。


 「っ、あの人たちは・・・覚醒者か!こんなのまで隠し持ってたなんて・・・道山会、相当闇が深い。けど、覚醒者だけじゃ身体能力高い程度なだけ!僕の後ろに立つのはよくないね!アフターバーナー点火!!」

 




 バゴォォォォォッッッ!!!!


 


 ほぎゃぁぁぁぁっ!!!!


 アフターバーナーって!!なんつーもん付けてんのさ!!こんなのを地上で吹かすから後ろの追手は・・・


 「あっちちち!!」

 「飛んでくー!!」


 エンジンのパワーですっ飛ばされた。


 「追いついたよメガリスさん!!」


 「はぁ!?アホか!!こちとら時速300キロ超えてんだってのに!!なんだそのバイクはよぉ!!?」


 「この子はマッハ3出るんだよ」


 超音速機だったこのバイク・・・てか、今って300キロ超えてる?あの新幹線よりも早いの?


 「さ、もう追いかけっこはおしまいにしようよ。かなり離れて来ちゃったじゃないか」


 「ふざけんじゃねぇ!!やり切ってやる!!逃げ切ってやる!!これがあたしの力だ!!」

 

 メグは更に加速した。まって・・・この先は!!


 「メグ!!スピード落として!!この先ジャンクション!!」


 「知ってるっての!!三上よぉ!そいつは速すぎてこのまま飛ばしゃペチャンコだよなぁ!!けどあたしのテクなら抜けられる!!勝負だ三上!!」


 「岡谷ジャンクションね・・・トンネル抜けたら勝負か」


 三上君も速度を上げた。くぅ!!私は三上君にしがみつくしか出来ない!


 そして一気にトンネルを抜けた。って!!嘘!!


 目の前にはヘリ、そしてそのヘリから出てるのはマシンガンじゃない。


 「ロケットランチャー!?」


 「はっ!!騙されたな三上!!ここは乗り換え地点なんだよ!!コイツに乗っちまえば今度こそあたしの勝ちだ!!空までは追えねぇだろっての!!」


 メグ!!一体何処までやれば気が済むの!?


 「くっ!」

 「撃てぇっ!!」


 三上君は僅かにスロットルを緩めてしまった。速いのはメグだ。メグはさらに加速し、ジャストタイミングで真正面のヘリからロケットランチャーが発射された。


 放たれた弾頭はジャンクションの橋に命中しそして、橋は大きくヒビが入り崩壊し始めた。メグはそのタイミングで空高く飛び上がり、キャロラインごとヘリへと乗り込んで見せた。


 「はんっ!!落ちて死ね!!ばーか!!ざーこ!!」


 「あっはははは!!流石に橋壊してくるのは予想外!!けど!!己の精神から逃げる奴に!!僕は振り切れないよ!!」


 その後の景色はスローモーションにしか見えなかった。気がつけば私たちはヘリの中。その中で唖然としてるメグと余裕の笑みを浮かべていたキャロライン。三上君はキャロラインを私と三上君の間に乗せて、バイクはヘリから飛び出した。


 その後はヘリが燃えてバランスを失い落ちていく。


 「ちょっ!!バイクごと突っ込むなんてあり!?おいパイロット!!とりあえず飛べ!!」


 「無理ですお嬢!!メインローターやられました!!墜落します!!」


 「なっ!!」


 ヘリはそのまま地面にほぼ墜落した。爆発なんかはしなかったが、時間の問題だ。


 三上君はバイクを滑るように着陸させ、道路の端に止めて降りた。私も後に続く。


 ヘリへ向かうと、中からメグが這いつくばりながら出て来ていた。


 「くっ!!」

 ガンッ!!!


 再び逃走を図ろうとしたメグの前に、三上君は刀を突き刺して止めた。そして私はメグの前に立って怒った。


 「メグ!!いい加減にしなさい!!これは流石にやり過ぎだよ!!迷惑なんてレベルじゃない!!三上君がいたからなんとかなったけど!これ一歩間違ってたらいっぱい死んでたかもしれないんだよ!?」


 「るっせぇ!!あたしに指図すんな!!あたしは何をしても許される!他の奴らなんか知った事かっての!!」


 スパァン!!!


 私は気が付けばメグ相手に強烈なビンタをお見舞いしていた。


 「あんた・・・そんなんだから私しか友達いないんでしょうが!!」


 「っ!」


 言ってやった、予想通り図星だ。


 「私思ってたんだけど、私とメグはちょっと似てる。常に私は他と違うとか思って他を見下して、睨んで、何かあれば他人のせいにして・・・けどそれってただ単に周りが羨ましいだけでしょ?


 ただ、私と決定的に違うのはメグ、あなたは私と違って周りに自分の言葉を言えた。言いたいことをハッキリと出来た。正直言うと、私はメグのそういうとこがちょっと羨ましいというか、好きだった」


 「っ・・・」


 「けどさ、今日のコレは行き過ぎ・・・やり過ぎだよ。今ならまだ間に合うから、もうやめにしようよ。林間学校戻って、後はキャンプファイヤーだけなんだから。私は正直やりたくなかったけど、今なら少しは楽しめるんじゃない?」


 「・・・あたしはもう、止められねぇんだよ。言っただろ、あたしは力を手に入れてやるってよぉ!その為なら捨ててやるっての!!何もかもな!!認めてやるよミッキー!三上!あんたはあたしを追い込んだ!!けどなぁ!!最後に勝つのはあたしだ!!異空間展開!!」


 これは、また空が赤く・・・そしてコレは・・・あの病院と、同じ!!


 「やめてメグ!!」


 「勝負と行こうぜ?あたしが直接・・・戦ってやるっての!!」


 メグの姿が徐々に変わっていく・・・あの悪魔を取り込んでいる。大きさはあまり変わらない、けど怒りに満ちたあの悪魔・・・手には出刃包丁のような刃物を持って私たちを睨む。

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