2日目、勝負!!
『オマエノ罪ハナンダァァァ!!!』
うるさ・・・この怒り心頭な悪魔は、前に新幹線の中で現れた奴と同じだ。ニヤリと笑うあのピエロは動きに単調さがあったけど、こいつは感情剥き出しにして暴れ回る感じ・・・
私は銃を抜いた。
「お、ソイツが桜蘭の銃ってか。いいな〜、あたしもソレ欲しいっての〜。けど、そんなもん持ってても意味ねーし、やっぱ要らなーい」
あげないけど・・・そもそも普通に戦えば私が勝てる訳ないんだから良いじゃない。さて、そんな事よりも・・・
『ゔらぁぁっ!!!』
「あぶなっ!!」
いきなり全力で殴ってきた。地面が割れてる・・・直撃してたら死んでた。怖・・・
「きゃっははは!!あぶねー!あぶねー!おら悪魔!なにちんたら攻撃してるっての!もっと暴れろよなぁー!おまえももっとやれんだろ?
こんのメスガキ、上から目線で・・・目にものを見せてやる!!
ゴールデンウィーク明けてからここまで、東郷の地獄の部活をやってきた私だ!そして・・・悪魔の一体くらいなら!私でも戦えたんだ!!
今回の敵は一体のみ!!
「でりゃぁぁっ!!!」
ズガガガァンッッ!!!
「んっ!?」
私は大振りな悪魔の隙を突いて脳天に何発も撃ち込んだ。悪魔はピタッと動きを止めてそのまま倒れた。そして空はまた満天の星空へと戻る。
「ふぅ・・・な、なんとかなった・・・」
終わった瞬間汗が吹き出した。先にこれ来てたら戦えなかったかも・・・
「あっははははは!!!良いじゃんお前!!気に入ったっての!!あたし負けちまったじゃーん!」
「へ?」
なんか凄い嬉しそう・・・なんで?負けたんだよ?
「よっし!!お前これからあたしの相棒な!っつー訳だ。名前くらい聞いてやるっての」
「か、輝夜 ミツキ」
「ミツキねぇ、洒落てんの〜。ミッキーって呼ぶわ。ミッキーはんじゃはあたしの事、メグって呼びな!けってー!!」
え、これどう反応したら良いのかな?
「おら、そろそろ帰るっての。寝ねぇと明日寝不足になっちまうだろうが」
「けど三上君が・・・」
「ぁあ?んなもん放っとけっての!」
うーん、何となくだけどこれ・・・私懐かれた?私は三上君をほったらかしのまま宿泊施設へ戻る。みんな流石に寝てるなぁ、こっそり入って・・・ごめん、熟睡。
・
・
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翌朝
プーッ!!!!
「ほぎゃっ!?」
耳元でラッパが鳴らされた。
「あんたは寝坊するから真っ先に起きろ。てか、なんかみんな既に起きてんだけど」
ほんとだ。因みに今の音は東郷が隠し持って使ってる突撃ラッパ。何処に隠し持ってたんだ?それよりも朝6時起床なのにまだ5時半じゃないか、私はスマホの時計を確認・・・って、あれ?
『天野 照子さんから画像が送信されました』
『見て見て!!流石は特異点の支配者!!凄いことになった!!』
・・・あ、あの人本当に送ってきたぁ!!そうだ!!三上君・・・
「げっそり・・・」
この世の地獄を見た顔してる・・・けど、性転換は起こってない・・・って事は、おっふ!!私はそっちでもいけます!!
け、けどこの写真見るのが怖い・・・家帰ってじっくりと見よう。てな訳で保存だけしとこ。
私はとりあえず身支度を整える。そして6時半外に集合だ。
「お、ミッキーおっはよー!ってのー!」
外に出るや否や、メスガ・・・メグが元気に出迎えた。
「み、ミッキー!?何さネミッちゃん!!いつのまに仲良くなったノー!?」
さぁ、どう説明したら良いのか・・・
「ひぃっ!?」
背後から猛烈な殺気!!恐る恐る振り返ると軽音が私をニッコニコで見つめて来る。そして私の耳元で口が開かれた。
「ミツキちゃん、昨日何かあって夜出てくのは見逃したけど、何してたの?三上君は死にそうだし、あの子は元気だし・・・まさか、夜2人でタンデムなんかしてたんじゃないよね?」
「し、してない!してない!!」
「2人っきりで綺麗な夜景を見に行ったとかしてないよね?」
「やってない!!やってない!!」
「私の腕のプラズマキャノン、やりようによってはお仕置きビリビリ棒にもなるからね?今度は痛いだけじゃなくて、快楽に変わるかもしれないわよ?」
吹っ切れても軽音は軽音だぁ!!
「・・・まぁいいわ。それよりも心配なのは三上君、そっちは聞かせて貰うわ」
「こ、これも言いづらいんだけど・・・」
「言わなきゃお仕置き」
軽音は手をワキワキさせる。
「か、かくかくしかじか・・・」
昨日行われたであろう行為について話し。
「・・・成る程ね。ならミツキちゃん、一つ提案」
「はい?」
「写真、後で送って」
そっちも行けましたか・・・
「おい、いつまでくっついてんだっての!!ミッキーはあたしの相棒だぞごら!」
「あらぁ?昨日まで気にも止めてなかった癖によく言うわ。そもそもミツキちゃんは私のクラスメイトよ?」
「あ?知るかっての!!てめーはミッキーのなんなんだっての!!」
「ミツキちゃんは・・・私の女よ」
・・・言い切りおったよこのバイセクシャル。しかもかなり堂々と・・・吹っ切れ過ぎだろ。
「は、はぁぁ!?い、意味わかんないっての!!こ、今回の所は見逃してやるから!!次は覚悟しとけっての!!」
メグは顔を真っ赤にして小物のセリフを吐いて逃げるようにどっかに行った。あの子もしかして、かなりピュア?
「ふっ、青臭いガキが・・・私と張り合うには100年早いわ。さて、みんな騒がしくしてごめんね?ラジオ体操しーましょ!!」
軽音は振り返るといつも見せる優しい笑顔になった。
分かりやすい性格になった分。余計にヤバい部分が見えるようになった気がする・・・はぁ、この林間学校、私が帰る頃には色々失う気がしてきた・・・
さてと、2日目の行程は起床からのラジオ体操、からの自炊朝食、からの施設内牧場での酪農体験、なんか牛の乳搾りとかバター作りやるらしい。なんでもその日に低温殺菌した牛乳貰えるんだとさ。
そこまでは良いんだけど昼からだよ、なんだこれ、バス移動からの寺で精進料理昼ごはんからの坐禅体験だとさ。その後宿泊施設戻って、林間学校絶対必須イベントのキャンプファイヤー。どういうスケジュールじゃ、絶対坐禅で寝る自信がある。
というわけで、まずは自炊朝食。なんかカートンドッグってを作るんだって。ホットドッグをなんかアルミホイルで包んで空の牛乳パックに突っ込んで燃やすんだとさ。
「うら!どっちが早く作れるか勝負するっての!!」
そしてちょっかいかけてくるメグ。なんか慣れてきた・・・特にチャールズみたいにヤバい感じしないし。
それにしても勝負って言ったってあんた・・・どっちの牛乳パックが燃え尽きるのが早いのか競うって地味すぎやしないか?けど・・・
「っしゃぁ!!俺の方が早い〜」
「ぁあ!?あたしの方が早かったっての!!」
新庄はノリが良くて案外盛り上がってるっぽい。こんな感じで何事もなければ良いんだけどな・・・妙に違和感感じるのは気のせいか?敵が目の前にいるのに平和過ぎる気がする。
「ふぁぁ・・・山芋でもトッピングしよっかなぁ・・・ネバネバ、あぁ・・・ヌメヌメが・・・」
三上君は死んだ顔してるけどアレンジ加えようとしてるし・・・てかなんで山芋?
私はシンプルイズベスト、ふつーのホットドッグスタイルで。
「あ!ミッキー一口ちょーだーい!あたしのも一口やるよ!」
持ってかれ・・・って!!
「もがっ!!辛っ!!!」
口に思いっきり突っ込まれた。
「あたし特製!チョリソーにサルサアンドハラペーニョにデスソーストッピングだっての!!」
口が!!燃える!!辛党かよ!!
「私の特製!!クアトロフォルマッジ風ドッグ!!はちみつの甘さよ!喰らいなさい!」
「あ、あまーい!!」
なんで軽音も私に食べさせるのさ!!
「はぁぁ・・・ソーセージを頬張るミツキちゃん、素敵だわぁ」
軽音は私の姿を見て顔を赤らめた。
「グレイシア先生、取り返しのつかなくなる前に止めてやるべきじゃねーですか?」
霧島が後ろの方でグレイシア先生に告げてる。
「私は面白い方が良いと思うから・・・霧島君も食べる?そこらへんにいた虫挟んでみたから・・・大丈夫、この子は美味しい子」
・・・・・霧島が白目剥いた。
?
グレイシア先生は相変わらずだ。なんなんだこのカオスな朝ご飯。というか、誰がアレンジオッケー出したんだ?てか!みんな何こっそりアレンジしてんの!?
キャロラインのはトリュフに金粉とか乗ってるし・・・ネーちゃんはソーセージじゃなくて春巻挟んでるし、東郷に至っては・・・
「むっしゃー!!米軍仕様まっず!!」
レーション食ってる。せめてドッグ作れよ!!
「ははは、みんな仲良く出来てるみたいじゃな〜」
初登場の校長はこの始末!!仕方ない!!次行くぞ!酪農体験だ!!
ってなわけで、牧場・・・
「うら!どっちが大量に絞れるか勝負だっての!!っつーかくっさぁ!!!」
またか!!場面が変わったと思ったら最初からやり直し!!そりゃ牛舎は臭いだろ!!
「っしゃあ!!俺の勝ち!!」
「あん!?あたしの方が多いだろ!!」
もはやデジャヴ!!
「乳搾り・・・搾る、あぁ、また搾られる・・・」
三上君マジで何処まで堕ちてきたんだ!?全然回復しないけど!!天照さんほんと大丈夫だよね!?
「・・・ミツキ、俺からお前に話しかけんのってどうかと思うが・・・コレ、なんなんだ?」
「さ、さぁ・・・私も分からなくなってきた」
終いには霧島が私に話しかける始末だぞ?すまん、今あんたのお陰で私はまともでいられる気がする。こんなとこで感謝する事になるとは・・・あ、そうだこの低温殺菌牛乳なるものを飲もう。
「ぷはー!!」
牛乳は美味しかった。
さて、次・・・
「坐禅対決だっての!!」
「負けねーからな!!」
寺では静かにせい。ってかよ、坐禅も合同でやるんかい。イベント被りすぎだろ。