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1日目、選択

 私はちょっと沈黙した。


 「いや、分かるわ。日本の最高神が何やってんの?って話よね」


 そうですけど、どう切り出せば良いのやら。


 「言い訳最初にするけど、別に引きこもりって訳じゃないからね?こうやってフィギュア製作でちゃんと収入は得てるからね?ただ、今この国とか世界の為に私の力を使う気なんてないってだけだから」


 聞いてもいないのに語りだした。


 「だって最近ほんと嫌になっちゃうもの、規制やら多様性やらだし、どれだけすんごいフィギュア作っても収入は半分くらい国に持っていかれるし、そもそも最近神社の参拝みんな雑すぎるのよ!そんな自分勝手な国に私は手は貸しません!!」


 生々しい・・・拗ねてるってそう言う事。すみません、適当に参拝してるの私です・・・


 「だからやっぱり課金するならアニメよね〜。これだけはみんな力入れて作ってるのがよく分かる。あと同人もほんと素晴らしいわぁ、作品に対する敬意がある人が多い。何事にも敬意を待つこと。これ一番大事な事!」


 神の加護を課金って言ったよこの人・・・どうりでこの国アニメが異様に強い訳だ。まさかの天照の加護がかかってた。


 「あの〜、そろそろ本題入っても良いですか?」


 あの三上君と引けた腰でしか話を切り出せない。結構熱が入ってたもんな。


 「あ、ごめんなさい。1人興奮しちゃって・・・三上君だったわね。目的は分かってる、私の力が欲しいんでしょ?」


 「お力添えを頂きたく・・・今の僕では永零に勝てない」


 「そんな固くならなくてもいいわよ、無論協力してあげるわ。私、結構あなたの事気に入ってるから」


 「え?」


 そうだったのか、って事は三上君の早とちり。


 「今、永零は能力を完全解放してる状態にある。最も手っ取り早いのはあなたもその境地に達する事。けどあなたの能力では不可能」


 「はい、元々男に生まれてる以上、その世界線が無かった自分というのは存在しません」


 「そうね。けど、私の能力が合わさればあなたは全ての力を手にできるわ。セカンダビリティだったっけ?アレの譲渡の方法は知ってるでしょ?」


 「っ!!は、はい」


 一瞬三上君が冷や汗をかいた。何かヤバい事でも言ったのかな?


 「そういえば三日月もあの時を止める能力貰ってたけど、アレ結局どうやったの?」


 「セカンダビリティの一部の譲渡は接吻。つまりはキスだ」


 「キッ・・・え?」


 み、三日月のやつタジタジだったのはまさか!?き、禁断のキッス!!!


 「まぁ、その際にも色々条件はあるわ。要するに何かを愛せるかどうかが重要な要素になる。そこの感情が不安定だと片一方から奪うなんて事にもなってしまう。その中でセカンダビリティを完全にかつどちらの能力を失わずに譲渡する方法が一つだけある。それがまぐわいよ」


 まぐ・・・って、なんだったっけ?なんか同人な響きで聞いたような。


 「そこで三上君、あなたには私の全てをあげるわ」

 

 「い、いきなりですか?無理でしょ?あなただってこの神は嫌ってる筈」


 「えぇ大っ嫌い。けど、三上君はいいのよ。だって・・・めちゃくちゃ私好みのショタだもん!!」


 「「はい?」」


 珍しい、私と三上君が同時に疑問符を出すなんて・・・


 「純恋のやつ、なんていい子知ってるのかしらねぇ。この小さな身体でいて達観した視線、少しつり目でまんまるボブヘア。はぁ、癖に刺さるわぁ」


 「ど、どうも・・・」


 「それと、私の全てをあげるには、まだあなたの知らない事を教えなきゃね。神の力を完全に譲渡するには相手が童貞であり、処女じゃなくちゃいけない。あなたはその点完璧。両方備わってるもの・・・」


 は?


 「え?なんで、僕は確かに諸事情で童貞ですけど、処女は関係ないんじゃ・・・」


 うんうん。


 「関係大有り。あなた、昔から女の子っぽいって言われた事ない?」


 「っ!!?まさかっ!?」


 三上君が目を見開いて固まった。こんな顔の三上君初めて見る。にしても、確かに最初会った時女の子かと思ったし、カレー作りもお母さんだし。


 「神は元より性別なんか存在しない。体に現れてなくてもどこかに反対の性別の要素を持ち合わせてる。永零もそう、だからあの姿へと到達した。私の力があればあなたもあの境地へ到達する事が出来るわ。どうする?やる?」


 ・・・つまり、三上君も性転換しちゃうと?


 「・・・こんなとこで初めてじゃなくなるなんてね・・・まぁ、仕方ない。またいつもみたいに一時的に僕を殺すさ・・・」


 「あ、因みに言っておくけど童貞卒業じゃなくて処女喪失もやらなきゃいけないからね?」


 二人とも固まった。


 「・・・と言うと?」


 「・・・いっ!?まさか!?」


 三上君は何か勘づいた。そして顔が青ざめた。


 「問題、私はどっち?男か、女か・・・」


 「ま、まままままままさかぁ!?お姉さんじゃなくて・・・お、お兄さん!?」


 私は叫んだ。あ、頭がどうにかなりそうだ!!


 「ふふ、半分正解。正解は両方・・・私も性別を持たない存在なのよ。さてと三上君。最後にもう一つ、とーっても重要な事。私の全てを貰い受けるという事は、同時に己の全てをも受け入れなきゃいけない。永零があなたに言ったのはそう言う事」


 「・・・な、なるほど。納得はしたさ、けどさ、流石に僕もこればかりは立ち往生してしまう。これは!流石にない!!」


 三上君は膝から崩れ落ちた。


 「そう?彼女はそうは思ってないみたいよ?」


 「ふたなり女装男子✖️ショタ・・・凄く好物です!!」


 「君は腐女子だった!!てか、それ女装男子って扱いなの!?」


 無論。むしろそっちの方が色々捗る。


 「安心してよ三上君。私は汚いのとか痛いのは好きじゃないから。ここはHENTAIの国よ?あなたをメス堕ちさせる方法はいくらでもある」


 ふぉー!!成る程!あなたがアニメ界隈に祝福をもたらしてくれたお陰で我々オタクたちは潤ってるのか!!ありがたや!


 「すみません。出来たらで良いですけど完堕ちした瞬間写メってくれます?」


 「僕の人権は!?」


 無いかも。


 「勿論よ、あなた良い趣味してるわね〜。後で送ってあげるわ」


 やったー!!ごめんね、正直3次元は範囲外だったんだけど三上君は割と色々なカップリングいけそうだな〜って思ってたもので・・・それと右が左に堕ちる展開は私の最高のシチュエーションなのだ。


 「さてと・・・どうする?今のままでは永零に勝つことは不可能。勝ちたいのなら、あなたのアイデンティティを捨てなくちゃいけない。選択は二つ・・・余・に・その身を捧げるか否かだ・・・三上 礼よ・・・」


 雰囲気変わった・・・真っ赤なオーラが見える・・・肌にビリビリと来る感覚。これが神様の力・・・


 「・・・僕は勝たなくちゃいけないんだ。どうしても・・・分かったよ・・・煮るなり焼くなり好きにしてくれ」


 「良い返答だ・・・さてと、ミツキちゃん。あなたの役割は目撃者だったわね。良かったら見ていく?」


 「いっ!?ちょっと!話が違う!!」

 「良いんですかっ!?」


 私は興奮のあまり承諾しようとしたけど、流石にかわいそうだな・・・もう泣きそうになってる。既に牙の無い子犬にしか見えない・・・こんな三上君を見るのも初めてだ。それで満足しておこう。


 「私は外で待ってる。目撃者と言えども中2なので」


 「うん、流石に中学生には刺激強すぎかもしれないからね。さてと、三上君は奥の部屋に・・・」


 「ひっ!!何この道具たち!!コレで何するんですかぁ!?」

 

 ぱたむ・・・ナニするんだろうなぁ、私は外へ出た。


 近くにコンビニがある、小遣いそんなにないけどそこで時間潰そうかな、あれ?深夜にコンビニは補導対象的にまずいか?


 私は近くをぷらぷら歩く。


 「あれ〜?こんなとこで何してるんだってのー?」


 「はい?え、なんで?」


 なんかコンビニの方からメスガキ出て来たんだけど・・・


 「だって暇じゃーん。それにあんなクソ狭い2段ベッド寝れるかっての〜。にしてもあんたやるじゃーん、深夜に街うろつくたぁ悪だねぇ〜。せんせーにチクろっかなー?」


 「いやそれ、あなたも怒られるんじゃ・・・」


 「あ?うっさいっての。けどまぁうちの教師組、硬ぇやつばっかりだからなぁ〜、それもそっか〜。ニシシ、そうだあんた、暇なら私と遊べよ。こんなど田舎でも夜遊べるとこあんだろ?あんた1人?」


 「いや・・・」


 これ、言うべきか?いや・・・流石に


 「あー、三上の野郎か。こんなボロアパートで何してるっての?ま、詮索はしねーよ。あいつが何しようと永零には勝てないしー」


 良かった。今あそこに凸されたら大変な事に・・・


 「おら、あたしの後ろ乗れよ」


 メスガキが今乗ったのは・・・


 「ま、またバイク!?免許は!?」


 走り屋みたいな、とりあえずパラリラしてそうなバイクだ。


 「は?んなもんある訳ないじゃん。あたし中学生なんだしさぁ」


 あ、この子本当に中学生なんだ。三上君と同じ感じかと、なんかこう、必死で若作りしてる感あったから・・・


 「他の人は?」


 「あたし1人だっての、他の連中よわよわで役に立たないんだよ。おるぁ!!かっ飛ばすぜぇ!!」


 「うおっ!?」


 ぎゃー!スピード違反!蛇行運転!信号無視!交通違反のオンパレード!!


 「こんな運転したら事故る!!」


 「だいじょーぶ!あたしは何してももみ消してくれるからさぁ!!にしてもあんた!!後ろ上手ぇなあ!!」


 後ろって、あぁ、2人乗り事か。それはさっき三上君に乗り方教えて貰ったから・・・


 「あーははは!!知らねー街かっ飛ばすの楽しー!!」


 もう、この子に合わせて乗るしかない。気が済むまで合わせるしか・・・でなきゃ事故って死ぬ。多分いや絶対近所迷惑な騒音撒き散らしてるけど、田舎はたまにこういうのいるからまぁ、ご愛嬌って事でおなしゃーす。





 「ふぅー、走った〜。お、ここ景色綺麗じゃん。で、ここ何処?」


 適当に走ってたら確かに景色が綺麗な場所に来た。適当に走らないでよ・・・


 「えっと・・・姥捨山うばすてやまだって」


 看板にそう書いてある。おっかない名前だなぁ。


 「っはは!!おもしれー!!良い名前してんじゃーん!!」


 「そんな良い名前?」


 「ったり前だっての!だってババア捨てる山だぜ?あたしにおあつらえ向きだっての!!」


 そなの?


 「そういやあんた、チャールズぶっ殺したんだよなぁ」


 「まぁ・・・けど私1人の力じゃない」


 「んな事分かってるっての〜、バカにしてんの?けどさぁ、スカッとしたよなぁ。あたしあいつ嫌いでさぁ、つーか大人はみんな嫌い。よわよわで大した力もねーくせに力を振りかざして来やがってよぉ。あームカつくっての!!」


 急に愚痴りだしちゃった・・・どしよ?


 「力さえありゃ良いんだよ後はよぉ。あたしは力が欲しい・・・けど、この世界は腹が立つほどに力が手に入らねーように出来てんの。大人たちが独り占めしちまうからなぁ。永零も桜蘭も、なんであいつがあんな力を持ってんだっての・・・そうは思わねーか?」


 「え、さぁ・・・」


 私にそんなの分かるわけない。


 「分かんねーよな!あたしも分かんねーもーん!あいつら、まるで力なんか要らねぇみたいな顔しやがってよぉ、腹立つったらありゃしないわ」


 多分それは、そんな力は使いたくないんじゃないかな・・・けど、力がなくちゃ意味はないか・・・


 「あたしは手に入れてやるよ、必ずな!!ってな訳で勝負だ!!」


 「なんでぇ!?」


 いきなり勝負ふっかけられた。てか、なんの勝負?


 「なんだっていいじゃん。とりあえず2戦ともあたしの圧勝だったから・・・」


 あ、風呂もカウント入ってた。


 「うら!!異空間展開!!」

 

 「はっ!?」


 いきなり空が真っ赤に・・・


 「あんた、武器持ってんだろ?桜蘭の野郎が与えたあんたの力だ。それでコイツぶっ殺せっての」




 『うら゛ぁぁぁあああああっっっ!!!』




 この怒りに満ちた声、京都で出会った奴!!


 「っ!!悪魔!!この・・・いきなりやり過ぎだよ!!」


 「はぁ?知らねーっての。別に良いじゃん、ここ誰もいねーんだしさ。じゃ、勝負開始〜」

 

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