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悪魔が集いて罪嗤う

 「はぁ・・・はぁ・・・まだまだぁ!!」


 「諦めが悪いのは決して悪い事ではないがな、そろそろ身の程をわきまえたまえ」


 「ぁあ?てめーこそわきまえなよおっさん。人の友達に手出しておいて、ただで帰れると思ってんの?そこ動くんじゃねーぞ、ぶっ殺してやるからさあ!!」


 東郷はチャールズに向かって撃った。が、弾丸はチャールズの前で掻き消えた。


 「それがわきまえていないと言うのだ。例えこの悪魔を殲滅出来るほどの戦力を持っていたとしても私がいるのだ。確かに、君らにここまで戦えるとは思わなかったよ。悪魔の運用はビーストより簡単で管理も楽だが、ビーストよりも動きは単調で破壊力に劣る、殺害にのみ特化した代物だ。やはりビーストと悪魔、両方が使用できねばな、ククク」


 チャールズは顎に手を当て、肩を震わせながら笑う。

 

 「なるほど・・・君のそして永零の研究成果は、その程度という訳か」


 三上君も似た感じでニヤリと笑う。


 「理解できぬ者がほざくな」


 「理解はしてるさ。僕だって君と同じく科学者だよ?僕なりに色々考察してるんだ。そして君らに勝つ方法を模索してる。だからこの戦いも僕はここで観て、彼女たちに任せてるのさ」


 「ほぅ、この私を観察していたと・・・それは良い事だ。私から学ぶが良い。だが」


 「がはっ!」


 な、なに?突然三上君の腹に穴が空いた・・・


 「その成果を出力出来ればの話だがね。ん?なに・・・?」


 な、なに?三上君が消えた・・・


 「へー、これが君の実力・・・うん。想定内!リリアさんたちだけで勝てそうだね!」


 三上君は普通にチャールズの隣に元気に立っていた。


 「その力・・・そうか、貴様本物ではないな?セカンダビリティの能力か」


 「惜しいね。どれも本物の僕だ。けど、君が倒したのは別の世界線の僕、君は別世界の僕に干渉出来ないから、倒せないんだ」


 ・・・何を言ってらっしゃる?とりあえず分かるのは、ラスボスがよくやるそいつは俺の分身だ。的な事をやったって事だよね。ほんと何者なの?三上君って?


 「君は本当に頭にくるね・・・仕方ない、このままでは時間を超える可能性が出て来たのは事実だ。私が直接ここの連中を葬ろう・・・」


 チャールズは着ていたスーツのジャケットを脱いで、ネクタイを緩めた。その時だ。突然悪魔共は動きをピタッと止めた。


 「三日月?時止めた?」


 「いや、俺は何もしてねーぞ?」


 「ボール顔面に当てても何もしないよー?」


 三日月の友達何やってんの?結構な勢いで蹴ったボールが悪魔に当たって跳ね返ってきたボールをまたぶつかるって事をやってる。上手いなぁ・・・


 「なーんか嫌な予感・・・」


 「同感です。あの男の事ですから、腹の立つ事をする気満々みたいですね」


 一方東郷とリリアは真っ直ぐチャールズを見つめていた。


 「知っているかね?悪魔の正体を・・・アレはかつて意志を持ち、異なる世界の神として君臨していた。だが、我々の世界との最終戦争、引き分けとされているがそれは大きな間違いだ。我々は勝利し、その神を手に入れた。四体の神の持っていた自我は消え、分散し、生と死の狭間の異空間で幾千もの姿へと分離した・・・」


 「まさか・・・四神のみんなは・・・」


 リリアが冷や汗を流している。私でもそうなる、こいつら・・・とんでもない事をやらかした。腹立つなんてレベルじゃねーぞ。


 「そうだ。四神こそが悪魔の正体で、成れの果て・・・そして、我が力となったのだ!一つになりし四神の力・・・試させてもらうぞ!!」


 病院内で突風が吹き荒れた。


 「わっ!!な、なに!!な、なに?」


 私から出た感想は一言、気持ち悪ッ!!チャールズはあのピエロの悪魔たちを取り込んだ。細くて長い、にへらと笑う異形の怪物。


 「あなたは・・・本当な人間なんですか?」


 リリアがチャールズに質問した。


 「くくく、私が人間かだと?おかしなことを聞くなぁ我が娘よ。人間を支配できるのは人間を超えた存在のみだ。お前は私のこれよりはるかに強い力を持つ素質があるのだ。力に身を捧げるのだリリア。お前は神とも呼べる力を得る事が出来る!!」


 「・・・成る程、つまり人間ではないのですね。わたくし、少し悩んでいたんですよ。あなたが人間の誇りを忘れていなかったのなら私は戦えません。ですがあなたは人間を辞めた・・・殺人は罪ですけど、害虫の駆除は別に、罪でもなんでもないよね!!」


 リリアはガントレットを構えた。一方チャールズは腕を広げると、腕が触手に変貌し壁に張り付く。あいつ、この病院を潰す気か?


 「っ!!ミツキ弟とその友達!!病室にいる患者逃して!!」


 東郷、判断が早いな・・・私が思った瞬間に動いてた。


 「あ、あぁっ!!」

 「りょーかーい!!」


 「特に308号室の軽音ちゃんは歩けないから!チャンさんもいるけど協力したげて!!」


 そうだ・・・さっきまでと違って、この異空間が広がった病院内には普通に看護師やら患者もいる。それらを守りながらの戦いになる。条件はこっちが圧倒的に不利・・・どうすれば。


 「ぶっ殺せばいいのです。あの男が人質を取る前に・・・癪ですけど、わたくし一人であの男を倒すのは骨が折れそうです。しかし、お二人の協力があれば倒せる・・・ミツキさん、ららさん、援護お願い出来ますか?」


 リリア・・・この子はそんな余計な事考えてない。咄嗟の判断に身を委ねてる。私はもう一度構え直した。来るぞ・・・


 「って!!目!?」


 チャールズはこっちを見たと思ったらその目から光線を放ってきた。私はなんとか避ける。光線が当たった所からは煙が上がった。


 「目からビームって、なんつー古典的な・・・」


 「効率が良いのだよ、視線を合わせた場所への攻撃というのはな」


 確かに、目を向けたら攻撃出来るってめちゃくちゃ効率良いな。そして、その視線を動かされたら・・・


 「うわわ!!」

 「ひー!!」


 案の定、私たちは逃げるしかなくなる。


 「ちょこまかとすばしっこい奴らだ・・・ん?」


 「バリアー!!」


 私たちの前に立ったリリアがガントレットを前にかざすと、腕の部分が開いてバリアみたいのが形成された。そのバリアで目のビームがかき消される。


 「そんなへなちょこ攻撃、わたくしには通じませんよ。この腕、あなたたちと戦う用に新規で作り直したんですから。フレックスアーム Ver.Buster。この名前の意味・・・教えて差し上げます!!」


 「なに!?」


 リリアはガントレットを閉じて今度は、一気にチャールズに飛びかかり、頭を掴んだ。


 「てりゃぁぁぁぁっっっ!!!!」


 「っっ!!!!ぬおっ!?」


 リリアは壁に張り付いていた腕ごとチャールズを引き剥がし、投げ捨てた。


 「わお・・・」

 

 なんつーパワーだ。チャールズは壁にぶつかり崩れ落ちる。


 「ふむ・・・以前とは比べ物にならない程と言ったとこか。くくく、実に面白くなってきた。クァーカッカッカッ!!!ソイツはアダムスの技術者だな!?良い腕だ!!ならば、私も腕で挑もう!!」




 「「キモッ!!!!」」




 私と東郷は同時に叫んだ。チャールズが一歩踏み出すとまた侵食が始まった。そして壁、地面、天井360度見渡す限り腕が生えてきた。


 「この無数の腕に潰されるがいい!!クカカカッッッ!!」


 今度は腕で殴りつけるか!なら、避けて切り落とせ!!


 「うわあああああっっ!!おりゃぁぁっ!!」


 私はとりあえずめちゃくちゃに剣を振り回す。けど、この剣勝手に動いてくれる気がする。なんと言うか、私の意思を汲み取ってこの剣が攻撃や防御をするって感じ。不思議だ・・・


 ズガンッ!!ズガンッ!!ズガンッ!!


 「無限弾ってたまんねーなこりゃ!!ヒャッハー!!消し飛びやがれー!!」


 あ、東郷がトリガーハッピー起こしてる。まぁ、当たる度に腕がもげるような一発が放たれてるからな。楽しいのかな?


 「ちっ・・・その武器、神器の一つとディエゴ アンダーソンのMS500Tか。どうりで貴様らに攻撃力があるわけだ・・・」


 「そしてもう一つ、兄、ディエゴ アンダーソンの武器はここにもう一つあります!!」


 リリアはガントレットの手に巨大な波打った刀身の剣を呼び出した。デッカ・・・身長以上あるんじゃないか?


 「この腕とこの武器、この組み合わせはどうですか!?」


 リリアはその剣を持ち、縦横無尽に駆け巡る。そして次々と腕を切り落とした。


 「中々の威力、ならば!!」

 

 チャールズは地面に散乱した台車や椅子等を持ちだした。そしてそれらを使い私たちに攻撃を繰り出す。


 「重たっ!!」


 私はなんとか攻撃を防ぐけど一撃が重たい。まともに喰らった

即死だ。ここは避けるしかない。


 「ミツキ!!ちょっと!」


 その時、私は東郷に呼ばれた。


 「なに?」


 「私たちじゃ流石にアイツ本体をやるのは難しい。悔しいけど腕一本でもかなりしんどい。まともにやりあえるのはあの子くらいね」

 

 「正直、私もそう思う」


 「けど、二人一組なら腕くらいはなんとかなると思わない?」


 「どう言う事?」


 二人一組?


 「鈍いわね、つまりは連携よ。あんたとコンビ組むなんて最悪だけど、一応は私の部活メニューについて来てはいる。それが出来るならあんた、私に合わせれるでしょ?本体はまだだけど、あの腕の行動パターンは読めた。あれだけの腕を同時に動かすには、1人の脳みそじゃ程度が知れてる。


 本体はあの子に任せて私たちはあの腕の侵食を止める。それが最善策よ。分かった?」


 た、頼もしい・・・これほどまでに東郷ららという人物が頼もしいと思った瞬間はない。


 「分かった!」


 「じゃ、武器交代ね。あんたほんと武器の扱いがなっちゃいないんだから。なに?その剣の振り方見てられないわ。寄越しなさい。近接武器の手本見せてあげるから。それとこの銃の撃ち方見てたでしょ?扱えなかったら、腕立て伏せ200回やらせるから」


 どひーっ!!こんな時にもスパルタ!?けど、言ってる事は確か。扱い方は東郷の方が上手い。私はまだまだ。けど、一緒にやってくれるっていうのなら・・・ついて行く事は出来る!!


 「っな訳で・・・左に避けろ!」


 私が左によけると腕によう攻撃が飛んできた。ここだ。撃ち抜け!!


 ドゴォォンッ!!!ドガンッ!!


 この威力・・・前の時とまるで違う、まるで電撃が纏われた弾丸だ。貫通力、破壊力。全部が一気に跳ね上がった。東郷なにか仕込んだ?


 「あん?なによ?にしても、いまのは良かったわ。私の動きが参考になったのね!」


 東郷は何か仕込んだ感じじゃないな。




 『繋がれ・・・それがお前の力になる・・・』



 「え?」


 「何してんの!!ぼさっとしたら死ぬわよ!?」


 「あっ、イエッサ!!」


 今のは、何だったんだ?桜蘭さん?いや、そんな事より集中!!


 「くはは!中々やるではないか!!」


 「逆にあんたはこんなもんなの!?拍子抜けもいいとこね!こんなんじゃ傷一つ付けられずに勝っちゃうわよ!?」


 「一々減らず口を叩く・・・東郷ららだったか?貴様は口の聞き方を覚えた方がいい。人を逆撫でさせると、真っ先に死ぬことになる!!」


 「いっ!!」


 豪速球で鉄パイプが東郷めがけて飛んできた。


 「あなたは・・・病院の物を・・・大切にしなさーい!!」


 ただ、その投げられた鉄パイプはリリアに捕まれキャッチアンドリリース。綺麗に投げ返されてチャールズに突き刺さる。そこに更に追い討ちをかけるように突き刺した上から剣を刺す。


 「ぬぅ!!この程度が私に効くと思うな!!」


 「・・・君こそ、この程度で彼女たちに勝てると思わない事だね。悪魔の力、どんなものかと観てたけど、東郷さんの言う通り拍子抜けもいいとこ。チャールズさん、本気でやらないと本当に彼女たちに負けるよ?僕の知る限り悪魔の性能はこんなもんじゃない筈。本来僕の手に負えないくらいに強い。けど、君はその力をその身に宿してもこの程度でしか戦えない。理由は分かるかな?」


 三上くんはにこっと笑いながらチャールズを煽る。


 「貴様、私を本気にさせたいと?」


 「僕はこう見えて科学者の端くれでもあるんだよ?君みたいな実験動物の最高性能を観てみたいに決まってるじゃないか。何を馬鹿な事言ってるんだよチャールズさん!あはは!!」


 ・・・三上君って、時折口悪いと言うか、サイコパスを感じる時がある。


 「けど、君じゃ実験動物にもなりはしなさそうだ・・・君は科学者としても、権力者としても、戦士としても半人前以下・・・そんな君に一つ予言をあげる。君は、彼女らに傷一つ付ける事が出来ずに死ぬ」


 おいおい、その言い方・・・チャールズ本気でブチ切れないか?


 「ほぅ、私がこいつらになす術なく敗北すると?クァーカッカッカッ!!!お前の思い上がりも甚だしいなぁ!!三上礼!!貴様は私が何故ここに足を運んでいたか知らない訳ではあるまい!!」


 「知ってるよ。荻山軽音さんの記憶調査及び記憶の復活。そして抹殺・・・永零と桜蘭君は手を取り合ってる関係ではあるけど、必ずしも全ての目的が一致してるとは思ってない。さしずめ、永零からの命令は記憶ごと殺された者の復活のデータ採集が目的でしょ?」


 「ならば、今彼女がどうなっているのかな?」


 「っ!?三日月!!ネーちゃん!!」

 「ミツキさん!!」


 チャールズの一言に私は動揺したが、三上君の一声でそれは止まった。


 「三日月君とネーチャンさんは君より強い事は知ってるでしょ?こんな奴らに負ける理由が分からないな。ミツキさんは真っ直ぐ、チャールズさんに集中して」


 そうだ。私でもなんとかなる相手だぞ?癪だけど私より陽キャなあいつが、負ける姿なんか想像出来ない。


 「けど、私たちにはこの子と三上君がいるけどさ、向こうは誰もいないわよ?」


 東郷の意見一理ある。こっちはリリアのとんでもパワーでなんとかなってるけどあっちは誰も、三日月の友達もぽやんとしてたし、外は外でまだ色々大変そうだし・・・


 「大丈夫・・・僕を信じて」


 三上君のこの言葉には、絶対的な自身と安心感があった。

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