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ラヴドゥール島侵攻作戦 エアクイーン対ウロボロス その2

 キャンディ

  「あいつが・・・ちいせぇ」


 キャンディは辛うじて肉眼で視認出来るほどにまで縮んだウロボロスを見つけた。その姿はもはやほとんどただの人間と変わらないが、こめかみから伸びた2本の角の、その背中には鱗質な翼と尾を持っていた。


 『これが、私たちの研究の成果・・・私たちなりのセグンドエスタードマキシマよ。私の使命は誰一人この先へ通さない事。この命果てるまで、その任務を遂行する!!』


 ウロボロスは2本の角の間にエネルギーを集中させ、赤い閃光を放出した。


 エルメス

  「回避!!」

   

 エアクイーン隊は一気に回避行動を取り、赤い閃光を退けた。その閃光は遠くの海上で巨大な爆発を発生させた。


 キャンディ

  「うへ!なんつー威力だよ!つか!あの爆発は津波発生しかねないぜ!?」


 キャンディはあの爆発の先の展開を予測した。きのこ雲をも作り出す爆発だ。下手をすれば大津波が発生し、この艦隊を呑み込みかねない。


 『案ずるな、海は妾の棲家。あの程度の津波は妾が押さえ込もう。それよりも妾の家を壊しよったあの輩をさっさと始末してこい。妾は直接戦いに向かえぬからイライラしておるのだ』


 艦隊から聞こえた声はウンディーネの声だ。


 エルメス

  「分かってるわ、そんな時間はかけないわよ」


 『ならば良い。そうだ、三上から一つ連絡だ。エルメス、今お主の視界がかなり狭まっておるであろう?』


 エルメス

  「まぁね」

  

 エルメスの機体は火山灰を浴びてほとんど何も見えない状態だ。


 『一人援護を向かわせる』


 キャンディ

  「援護?誰を」


 『あやつ、もう飛び立ったわ』


 その時、エアクイーン隊の前を超高速の何かが飛び上がった。


 ダック

  「わーお!!びっくりしたぁ〜。何一体?」


 『すまんのぉ、居ても立っても居られないってなってな?』


 次に無線から聞こえたのはサラマンダーの声だ。


 エルメス

  「サラマンダー!?あんたは待機って話じゃ!!」


 『儂ではない、儂の場合羽ばたく風で気流を乱してしまうからのぉ。お主らとの連携は苦手なんじゃ。そもそも儂は連携下手じゃ』


 ウジ虫

  「って事は、あの子?」


 ウージーは飛び立ったのが誰か気がついた。


 「サラだよー!!」


 上空には大きな翼を持つドラゴンが飛んでいた。


 エルメス

  「サラちゃん!?おっきくなったわねぇ!!」


 エルメスは親戚のおばちゃんみたいな感想を述べた。


 「えへへ〜、サラお手伝いするよ!エルメスおねえちゃん!!」


 エルメス

  「あれ?急に視界が明るく!?って、サラちゃん!?何持ってきてんの!?」


 「ケ◯ヒャーってやつだって。三上おねえちゃんがこれで洗ってきてって」


 サラの手元には高圧洗浄機が握られていた。


 ウジ虫

  「火山灰って、それでなんとかなるもんなの?」


 ティー

  「さぁ・・・」


 キャンディ

  「んな事よりも、これで視界は確保されんだ。ほら見ろよ、ウロボロスの奴次の攻撃の準備入ってんぜ?ってよりも待っててくれたなありゃ」


 『えぇ、準備は完了した?ならそろそろ・・・攻撃に移るわ!』


 ウロボロスは手を前に突き出すと、指の先からエネルギーの弾を乱射した。


 ダック

  「ちっ!!ミニガンより連射速度速ぇっちぃのぉ!!」


 ティー

  「だが、この空中戦の攻撃手段は限られた。メインウェポンはあの赤い高火力レーザー、サブウェポンにショットレーザー。彼女の武器はその二つ武器にしているみたいだ」


 キャンディ

  「そうやって聞いたら、相手はドラゴンってよりも敵戦闘機って思えるな・・・熱くなってきたぜ。ボリボリッ!!』


 キャンディは飴を口に放り込んで噛み砕き、マスクを装着し直した。


 キャンディ

  「エルメス!!オレが先制を仕掛ける!!エアクイーン2!!フォックス2!!」


 キャンディからミサイルが放たれる。しかし、凄まじい速さで動くウロボロスにかわされた。


 『こんなのが効くと思う?』


 キャンディ

  「当たればな、このセミアクティブレーダーホーミングはただの当たれば爆発する代物じゃねぇんだ。対マザービースト用の火力マシマシ貫通タカメ。あんたわざわざ避けたのは危険性を察知したからだろ?教えてやんぜウロボロスさんよ、オレ等をただの戦闘機飛行隊って思うと痛い目見るぜ?」


 『そうね、そこは永零様も評価してらっしゃった・・・そして弱点も指摘してくれたわ。あなたたちの強さは連携、一機さえ墜とせば崩れ去る・・・狙うべきは!!』


 キャンディ

  「っ!!ウジ虫!!逃げろ!」


 ウジ虫

  「っ!!!」


 ウロボロスはウージーに狙いを定め高速で接近した。

 

 ガッ!!


 ウージーの尾翼にウロボロスの爪の傷が付いた。


 『噂通りの逃げ上手・・・けど、次は堕とす』


 ウジ虫

  「ひぇぇっ!!ティー!!攻撃手段まだあるじゃん!!爪って言う最終兵器がさぁ!!」


 ティー

  「あー、申し訳ない」


 ダック

  「まー堕ちてないからいいじゃない♡言っちゃえば、敵の兵装はレーザー、ショット、爪の三つ。わたしたちもぉ、新炸裂弾頭、個人ミサイル、マシンガンポッドの三つじゃん?おそろじゃない?」


 ウジ虫

  「だから俺!ミサイル積んでないってぇ!!キャンディ〜!助けてー!!」


 ウージーはべそかきながらキャンディに助けを求めた。


 キャンディ

  「うるせぇな、堕ちてねぇんならそれで良い。今ので墜とせなかった事を後悔しなウロボロス。あんたは逃げ続けな、後はオレ等が撃ち落とす」


 キャンディはウロボロスの後ろを取った。


 ピーーーーーーーーッッ!!


 キャンディの機体からミサイルロック音が響き続ける。


 『後ろを取った、ロックオンもした。なのに何故撃たない?もうすぐ追いつくわよ?』


 キャンディ

  「ウロボロスさんよ、ウジ虫の逃げ足舐めんなよ?攻撃してみろよ、オレはその瞬間を逃さない。あんたの急所めがけて撃ち込んでやるよ」


 『なら・・・』


 ウロボロスは再び角にエネルギーが溜まり始める。


 ウジ虫

  「いやー!!またアレだー!!」


 ウージーまるでハエのように撹乱飛行をする。普通ならそんな動きをすれば失神するのは必須だが、ウージーにとって失神するよりも恐怖が勝り、意地でも意識を保って逃げ惑う。

  

 そしてそれを全く同じ機動でウロボロスとキャンディは追従した。

 

 『終わりよ』 

 

 エルメス

  「フォックス2!!フォックス2!」


 『っっ!!!』


 突如、ウージーの機体によって遮られた視界の影からエルメスが現れウロボロスにミサイルを撃ち込んだ。


 見事角にミサイルが当たり、ウロボロスはレーザーを撃つが、それは思いっきり空の彼方へ消えた。


 キャンディ

  「そうそう言ってなかった、撃ち込むのはオレじゃねぇよ?さぁ追い討ちだぜ」

  

 ティー

  「マイクロミサイル!」


 今度はキャンディの後ろからティーが飛び上がり、無数の小さなミサイルがウロボロス目掛けて発射された。


 『こざかしい真似!!』


 ウロボロスは無数のミサイルをその爪で薙ぎ払った。無数の爆発が上空で炸裂する。


 ダック

  「あんたぁ、命令に忠実んは別にえぇけんどよぉ、すがり過ぎるっつぅんはちと違ぇとちゃうんか?永零の奴があんたに何を見せたか知らんけんどよぉ、言えるんはあんたには考える力がねぇことじゃけぇ。てめぇはてめぇを持っちゃいねぇ。そんな奴にこのエアクイーン隊が負けると思っちょるなら・・・馬鹿もええとこじゃきぃのぉ!!!バンカーバスター!!」


 ダックは爆発の隙間を潜り抜け、ウロボロスの目の前に現れ、地表貫通ミサイルをモロにウロボロスへ撃ち込んだ。そしてそのミサイルはウロボロスの鱗を削っていく。

 

 『なに、このミサイル!!?』


 ウロボロスのどてっ腹に穴を開け、ミサイルはそのまま炸裂した。


 ティー

  「今度こそ終わりだ」


 『こんな・・・こんなあっけない終わり方なんて・・・認めない!何も結果を残せないなんて!!!』


 ウロボロスはボロボロの姿で墜落していく。


 エルメス

  「あなたは強かった。けど、今日この日の為にあなたは何をした?私たちは努力した。あなたはただ永零の力のみを信仰し、与えられるままの事しかしなかった。そのセグンドエスタードも、あなたの努力の結晶なんかじゃない。だからあなたは勝てないの」


 『・・・永零様は何も間違えない!私は!!!』


 ウロボロスは最後の力を振り絞って角に最大威力のエネルギーを溜める。


 ウジ虫

  「これ、これやばいやつ!!」


 キャンディ

  「だな、空一面焼き尽くす気か?あの馬鹿」


 『私は大空の支配者、何人たりともこの空を通す事は・・・許さない!!』


 ウロボロスは極太のエネルギー波を放った。しかし、


 「だーめ!!おねえちゃんあぶないよそんなの!!」


 『な・・・にっ!?』


 ウロボロスの破壊エネルギーは下にいる艦隊の総合火力を超えるものだ。しかし、ウロボロスの目の前に現れたサラの指一本で防がれてしまった。


 エルメス

  「あーそうそう、サラちゃんもめっちゃ努力したんだって」


 『努力だけで・・・ここまでなるなんて、あり得ない。あり得ないわ!こんな事!!』


 エルメス

  「あぁ、有り得ないかもね、けど時代はそうやって進化してきた。分かるか?永零はこの世界は十分進化した世界だって言った。けど、私たちはまだまだここまで進化出来た。それでも尚まだ足りないし、もっと知らなきゃいけないこと。知りたい事が多過ぎるのよ」


 キャンディ

  「菓子一つにしたってそうだ。まだまだ菓子ってのは進化するぜ?こっちの世界に来て改めて思った」


 ウジ虫

  「お、俺も最近そう思う。逃げてばっかの生活だったけど最近思うんだ。俺、逃げてるつもりでずっと追いかけてたって。こ、こんな言葉なんてあなたにとっちゃなんにも響かないだろうけど、この世界は醜くない、綺麗だ。その綺麗をまだ味わいたいから俺は、みんなの背中追いかけてる・・・と、思う」


 ダック

  「ウジ虫ちゃん、もうちょっと自信持って良いのよぉ〜。わたしだってぇ、キャンディちゃんと同じで〜、もっとも〜っとスイーツを食べたいもん♡その為ならなんだってするのが儂じゃぼけ」


 ティー

  「私から言えるのは、上に同じです。人間の好奇心を止めるには・・・まだまだ早過ぎる」


 『っ!!!』


 エアクイーン隊は気がつけばウロボロスを取り囲むように陣形を作っていた。


 エアクイーン隊

  「「「「「フォックス・・・2!!!」」」」」


 次々とウロボロスにミサイルが当たる。


 エルメス

  「サラちゃん!!止めを!!」


 「うん!!」


 サラは5本の指先に炎のエネルギーを溜め始める。


 『これが・・・努力の・・差?私は・・・』


 「あ・・・」


 サラは気がついた、ウロボロスは抗う事を止めた事に。


 けど、その分サラは更に力を溜める。


 「最後に受け取って!!これ!今のわたしの!!最高のちから!!」


 『えぇ、受け取るわ・・・』


 サラは最大威力の炎を手から放出した。


 ウロボロスは、跡形も無く消し飛んだ。

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