オニ令嬢は、中身の無い仕事で甘い汁を吸った男爵を問い詰めて、先輩と組んでぶっ飛ばします(日常回B)
「王国からは、石材1万個分のお金が支払われました」
「しかし、石材の商店には、5千個分しか支払われていません」
「この差は、どういうことですか? 男爵様?」
「なにを言いたいのだ! 王国一番の庁舎ができたんだぞ!」
顔を赤らめて反論してくるのは、アネワン男爵です。
…
銀髪の令嬢、私の名前はギンチヨ、帝国の監査員として、グループの各国を回っています。
一緒にいる紺色の髪の美人は、自称正体不明な令嬢、先輩監査員のパール様です。
舎弟のクロは学生なので、自国に残って勉学に励んでいます。少し寂しいです。
いや、まずは、目の前のお仕事です。
…
「庁舎を建設した際、購入すべき石材と、納品された石材の数が合わないと言っているのです!」
「王国では、請求どおり石材1万個分の代金を、建設責任者である男爵様に支払っております」
男爵の受取り書を見せます。
「でも、建設現場に納められた石材は5千個です!」
伝票を見せます。
「この額を、どこに使ったのですか?」
後ろで先輩監査員が見ているので、今日はちょっと厳しめに対応しています。
「当時の作業員たちに、話を聞きました。」
声のトーンを落とし、ゆっくりと話します。
「男爵様から「高価な石材は見える外側に使って、内側には安価な石の粉を詰めろ」と指示されましたと、証言を得ました」
「作業員たちは「そんなハリボテでは、一部の石材が割れたら、ドミノ倒しのように庁舎全体が崩れる」と進言したと、証言を得ました」
「男爵様、石材の壁の一部を取り外して、中を一緒に確かめましょうか?」
男爵の顔から、汗がしたたり落ちます。
「王国一番の、まるでバベルの塔のようにそびえ立つ、素晴らしい庁舎ができたんだぞ!」
男爵が、切れました。
「男爵様? バベルの塔には、神様がキレて、人の思い上がりをこらしめた、そんな意味があることは、ご存じありませんか?」
「王国への架空請求、ならびに建築基準法の違反、この件を報告書に記載します」
「このオニ令嬢が!!!」
ふん、聞き飽きたセリフです。
◇
「今日も、素晴らしい青空ですね」
門を出て、空を見上げます。
「ギン、舎弟と離れて寂しいのはわかるが、肩の力は抜いたほうが良い」
「そんな、寂しいなんてことありません」
でも、舎弟のクロは、いまごろ何をしているのでしょう?
高等部の2年生なんで、職場体験の準備中かな?
好感度を上げたいので、贈り物でもしようかな、、、
いや、手紙がいいのかな、、、
「ギン、聞いているのか、今日中に報告書を作成するんだぞ!」
「えー!」
先輩も、私と同じく遠距離恋愛(片思い)中のくせに!
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