プロローグ
書籍化がポシャった作者ですw
このままお蔵入りさせるには心残りがありすぎるのでセルフリメイクして執筆していきます。
感想、コメントなど頂けましたら幸いです
「はぁ……休日って1日が早いよなぁ。絶対24時間じゃないよな」
独り言を呟きながらコンビニ袋を片手に足を進めている男がいる。
彼の名前は「宮野大和」救急救命士として日々働いている独身貴族だ。
「当番の日はあんなに24時間が長いのにな。出動多くて熟睡できないし……アタシのお肌はもうボロボロよ」
などとくだらない事を考えるほど、いつもと同じ変わり映えのない休日。明日からの仕事への憂鬱を感じながらボーっと歩いていると、チリッと嫌な予感に意識が引き戻される。救急救命士である彼の職業柄かその第六感はなかなかバカに出来ない。これで何度救われたか。
今までのダルそうな何処か抜けた表情から一変。
鋭い目つきで辺りを見回すと
『俺の他には前から歩いてくる母娘、後ろには何もなし。気のせいか……って! あの車! あの距離で止まれるスピードじゃねぇぞ!』
気付いた瞬間に身体が勝手に母娘を助けようと動く。それは日々人を助けてきた大和からすれば当然の動きだった。
スローモーションのように感じる世界の中、頭のどこかでは『やべぇ……これがゾーンか! とうとう俺も高みに!!』などと締まらない事を考えてしまう。彼はそんな少し残念な男だ。
突き飛ばされた母親の驚愕した顔、胸に隠すように抱いた女の子のキョトンとした顔、携帯片手にやっと気付いたのか焦った顔のドライバー、全てを把握した瞬間、けたたましいブレーキ音と共にドゴッ!! と鈍い音を自分の耳で聞きながら意識が黒く染まっていく。
狼狽しているドライバー、泣き叫ぶ母娘、野次馬の喧騒を聞きながら『2人とも無事か……良かった……』それを最後に大和路さはプツっと意識を手放したのだった。