8話 ゴボウのゴボウ
前回投稿11ヶ月前ってマジ!?!?!?
コンコンコン
「与作かよ。あ、間違えた。どうぞ〜」
「失礼いたします!」
入ってきたのは推定30代後半くらいの、頭からゴボウの生えたゴボウだった。
「本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます!」
「こちらこそありがとうございます。今日はよろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします! では失礼します!」
そう言ってゴボウが椅子に腰掛けようとすると、國丸が「ストップ!」と手でバッテンを作って言った。
面s-3の前では、許可なしで椅子に座ることはタブーなのである。
「土すごいんで座らないでください」
違う理由だった。
「まずは志望動機を教えてください」
「はい、私は頭からゴボウが生えています!」
「え?」
「頭からゴボウが生えているので、御社を志望しました!」
頭を抱える國丸。またか、という顔をしている。
「あの、頭からゴボウ生えてるのっておかしくないですか?」
串刺が手を挙げて言った。
「頭からゴボウが生えているのがおかしいというのは、どういう意味でしょうか」
串刺の額に一瞬青筋が浮かんだ。
「すーっ⋯⋯。あのですね、ゴボウって根っこなんですよ。そういう感じでは生えないと思うんですが」
なんとか怒りを抑えて言い切った。
「あ、それですね! それはよく言われます!」
「ダメじゃねーか」
串刺がボソッと漏らした。
「実は私、こっち向きじゃなくて、こっち向きなんです!」
なにをとち狂ったのか、ゴボウが逆立ちになった。
「これで、こうです」
面接会場の床にゴボウを突き刺して言った。
「なるほど、分かりました」
ペンを走らせる串刺。
「それにしてもゴボウってやっぱ洗ってないとあれですね、ちょっと言いにくいんですけど、強烈ですね〜汚いし」
ロンドが申し訳なさそうに言った。作者は腹が減った。
「面接なんですから、せめて来る前にお風呂に入ってきましょうよ」
「ぐぬぬ⋯⋯」
ロンドの正論に為す術なしのゴボウ。
「あっ!」
ゴボウは何かを閃いたような声を上げ、おもむろに服を脱ぎ始めた。
「「「ちょっ、なにやってるんですかあなた!」」」
アルト、ソプラノ、バリトンの三部合唱が社内に響いた。
「ここ、剥いたら綺麗です」
「絶対にやめてください」
國丸が丁重に断った。
「面接はこれで終わりです。帰れ!!!!!!!!!!!!」
國丸の怒号に怯えながら部屋を出るゴボウ。
「⋯⋯まぁ合格だな」
「そうですね、社長キンピラ好きですし」
「最終回ですしね」
「「「にゃっはっはっはっはっ!」」」
こうして3人はこの部屋で永遠の時を過ごすのであった。
最終回のつもりだったけど、やっぱやめました。やめるのをやめました。なので続きます。一生続きます。なんなら私が死んでも有志の人が続けます。