表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

7話 チョリ〜ッス

 コンコンコン


「どうぞー」


「チョリ〜ッス」


 20代前半といったところだろうか。金髪のチャラチャラした男性が入ってきた。面s-3の苦手なタイプだ。


(わたくし)仮面大学から参りました(ひさ) 死鰤(しぶり)と申します。本日はお時間いただきましてありがとうございます!」


 ツンツンヘアーの金髪にキラキラしたピアス。完全に陽の者だ。面s-3の大嫌いなタイプである。


「⋯⋯いつまで立ってんだよ、座れよ」


「すみませんっ、指示をいただいていなかったものでつい」


 それを聞いたリーダーの國丸(くにまる)タンコロが眉間に皺を寄せた。


「なにお前、俺が悪いって言いたいわけ? 椅子座るくらいいちいち指示出さなきゃダメなの? そんなんで会社入ってからちゃんと働けるの?」


「⋯⋯すみません」


「あとお前、口の利き方がなってねぇな。『すみません』じゃなくて『申し訳ございません』だろ。大学でなに学んで来たんだよ」


 陽キャが嫌いな面s-3はそういう応募者が来ると徹底的にいじめるのだ。読者の皆様にはお見苦しいところをお見せしてしまい本当に申し訳なく思っている。


「んで、お前なんでうちに入りたいわけ? 仕事出来そうに見えねーけど」


 ナンバー2の串刺(くしざし)が聞いた。3人とも本当に陽キャラが嫌いなのだ。彼らは学生時代陽の当たらない場所でひっそりと暮らしてきたので、その頃に培ったジメジメした力を持っているのだ。


「はい、私が御社を志望した理由は19個ありまして⋯⋯」


「多いよ! 嘘つくんじゃねぇ!」


 串刺に理不尽にキレられる応募者。不憫でならない。けど、19個はさすがに嘘だろ。本当だったとして、全部言うつもりだったのかお前。


「志望理由はあなたがた面s-3の皆さんに憧れたためです」


「あぁん? 点数稼ぎのつもりか? 俺たちゃ面接官だぞ? しかも俺たちが死ぬまでうちでは誰もほかに面接官になれないんだぞ? 俺たちに死んでほしいってことだよな?」


 点数稼ぎをしたいがために墓穴を掘ってしまった応募者。ここから挽回なるか。


 コンコンコンコンコンコンコンコンコン


「國ちゃんにちょっと用事あるんだけど、入っていい〜?」


 オタフク社長の声だ。


「いいっすよ」


 面s-3で1番の若手のロンドが答えた。


「お邪魔しま〜す」


「あっ、フクちゃん久死鰤(ひさしぶり)〜! 元気してたぁ〜?」


 応募者が突然社長に話しかけた。


「ちょお前失礼だろ! 社長、お知り合いなんですか?」


「知らない」


「ちょっと忘れちゃったの〜? さっさと思い出して俺の事合格にしてよぉ〜」


「私は生まれた時から今までの記憶を全て完全に覚えているが、君のような男にあった記憶は1ミリも存在していないよ」


 応募者の嘘がバレてしまった。点数稼ぎに社長の知り合いという嘘。もう極刑はまぬがれないだろう。


 國丸がどこかへ電話をかけると、すぐに部屋にサングラスをかけたマッチョの黒服が入ってきた。


「ちょっと、何するんですか! 離してください!」


 暴れる応募者をガッチリ掴んでどこかへ連れていく黒服。


「もちろん不合格な、異論はないな?」


 國丸が2人に確認する。2人はうんと頷いた。


『不採用理由:名前に死が入ってて不吉だから。ていうかそんな命名可能なの?』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ