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緋色の乾坤  作者: 蒼エル
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第8話 トリプルルーム

即座に反応し、クイーンが隠れた穴に玉を投げ込む。投げ込んだのは煙玉だ。穴同士は中で繋がっている。つまり、穴の場所が全て丸わかりという訳だ。巧妙に隠されてはいるが、穴は3つ……いや、4つか。白煙の立ちのぼる数で穴の場所はわかった。次はラプトルだ。


「簡易の罠を展開するこの玉を使うね」

粘り気のある網がラプトルの動きを拘束する。クモの巣にかかった獲物のように動きを留める便利な道具だ。クモの巣とは違い、長時間拘束することはできないが。


「そろそろクイーンが出てくる頃か」

先程の煙には虫が嫌がる成分が含まれているらしい。蟻は嗅覚が鋭いらしく、煙を嫌がる。面倒な穴になど入らなくても自ら出てきてもらえば苦もなく倒せるだろう。


「きぃっ! きぃっ!」

「そこかっ」

クイーンがでてきたのは2番目に近い巣穴の入り口だった。即座に肉薄し、首元目掛けて剣を振り下ろす。ガンと重い音がして、胴体と首を泣き別れさせることは叶わない。防具でもつけているかのように硬い。刃が通らない。絶好の機会だ、この気を逃す訳にはいかない!


「ぐぎっ! ぐぎぃ!」

なんとかこちらに向き酸液を吐き出そうとしているのか、顔をこちらに向けようとするが、私の剣に阻まれている。このまま首を落とせなければラプトルも復帰し、事態はどんどん悪化していくだろう。ここでやるしかない。斬るしかない。


「はぁぁぁぁっ!」

そうだ。電撃が走ったかのように閃きが降ってくる。押してダメなら引いてみればいい。剣は少し傷んでしまうだろうが……。


剣をノコギリのように前後に引いて、クイーンの首に剣を呑み込ませていく。よし、このままいけば首を斬れる。もう少し、もう少しだ。あとほんの少しという所でラプトルが網からの脱出に成功して、こちらに襲いかかってくる。斬れ、斬れ、斬れ、斬れ!


「キュオ!」

ラプトルが蹴りを繰り出そうと空中にその身を投げ出したのと同時にクイーンの首が落ちる。息着く暇もなく襲ってきているラプトルに対処するため、返す刀でラプトルの首を落とす。無駄な動きは省いて、最小限の動作で、相手の力を利用して剣を置いておくだけのような感覚。ラプトルが自ら置いてある剣に飛び込んでくるようにすら見えるだろう。


「これで残るはアナコンダだけか」

地響きのする方へ目を向ける。もう音がすぐそばまで迫ってきている。深呼吸一度して、呼吸を整え気合いを入れ直す。よし。アナコンダさえ倒すことができれば試練を1つクリアしたことになるだろう。

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