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逃亡者ジェイク

 ジェイクは町の中を逃げ回っていた。行く先々に兵士の姿があった。サランが人手を増やしてジェイクを探していたからだ。もう町のあちこちにサランの手が回っていた。


「いたぞ!」


ついにジェイクは追っ手に見つかり、また走って逃げた。彼はここでつかまるわけにいかなかった。自分の無実を証明して、アメリア王女の誤解を解くまでは・・・。

 彼は何とか追っ手を振り切り、ある小さな小屋に身を潜めた。


(夜になればここを脱出する。それまで見つからぬように隠れていなければ・・・)


ジェイクは息を殺して外をうかがっていた。

 しばらくして追っ手の影がなくなり、ほっとしたジェイクはふと目を閉じた。するとあの日の出来事が脳裏に浮かび上がった。


     ―――――――――――――――――――――――――


 雨の降る暗い夜だった。その日は風も出ており、不気味な音を立てていた。執務室で仕事を終え、通路に出たところだった。廊下の隅に不審な影を見つけた。その影は宮殿の奥に入っていった。


(侵入者か!)


ジェイクはその影を追っていった。するとそれは奥の広間に入った。ジェイクもその後を追って広間に入った。そこは明かりもなく薄暗かったが、その影は確かに剣を抜いて女王の部屋に近づこうとしていた。


「何者だ!」


ジェイクが声をかけた。するとその影は振り返ってジェイクに斬りかかってきた。ジェイクはすぐに自らの剣を抜いてそれを受け止めた。顔を見ようとしたが、暗い部屋でははっきり見えなかった。ジェイクは剣で押し返そうとした時、頭に鈍く強烈な痛みを覚えた。後ろから何者かに力いっぱい殴られたようだった。


「うっ!」


声を上げてジェイクは倒れた。そして意識が遠のく中、ジェイクは何者かが女王の部屋の入っていくのをおぼろげに見た。


―――――――――――――――――


 ジェイクは目を開けた。目を閉じるといつもその時の光景が頭に浮かんでいた。


「一体、奴は誰なのか!そいつを見つけなければ・・・」


ジェイクはため息をついた。その時、奥の方で視線を感じた。


(追っ手か!)


ジェイクが振り向くとそこにはみすぼらしい服装をした老人がいた。白髪と白いひげが手入れもされず伸び放題となっていた。老人はじっとジェイクを見ていた。


「ここはお前の住まいなんだな。邪魔してすまぬ。人に追われている。しばらく身を隠させてくれ。」


ジェイクの言葉に老人はうなずくと、そのまま向こうを向いて横になった。ジェイクは外の様子をうかがった。もう前の道に人の姿はなく、暗くなってきていた。


(今なら見つからずにここから出られる。)


ジェイクはそう判断して、


「すまなかった。今、出て行く。」


と声をかけて小屋から出て行った。その後すぐに老人は身を起こした。そして懐から水晶玉を取り出し、中をじっと見つめた。


「可哀そうにのう・・・」


老人はそう呟いた。

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