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まじかるBANANA  作者: エイ
1/7

君との出逢い①

後悔している。

あの時、時間がないからって見て見ぬふりをした自分に。


『まだ、居てくれるよね?』


はやる気持ちを抑えきれずに、小雨が降る中を駆け足で向かう。


『あの子きっと怯えている。大丈夫、すぐに行くから。お願い待ってて』


誰かの為にこんなに必死になるのは、何年ぶりだっけ?

ううん、もしかしたら初めてかもしれない。


心臓がドキドキして、足は絡まりそうで気持ちだけがはやまっていた。


あの角を曲がったら、もうすぐそこに着く。




「ハァハァ…」

胸に手を当てて、あがった息を整える。


目の前には、遊具がほとんどない殺風景な公園。左隅端の整えられてない植木に目をやる。


驚かさないように、ゆっくり静かに近づく。


そこには、小さなダンボールが一つ、植木で少し隠れるようにポツンと置かれていた。


植木と蓋が屋根のようになっていて、ダンボールは小雨でも濡れていないように見える。


驚かさないように、そっと静かに開ける。


「遅くなってごめんね」

小さく呟いて、覗き込んだ。


ダンボールの中には、淡いピンク色のタオルが敷かれていた。


「あれ?いない……。どこ?」


慌てて、辺りを見渡し、植木の茂みをかき分ける。


「お~い。どこ?どこ行ったの?」


どうして、いつまでもいると思ったんだろ?

あれから、何時間経った?

誰かに拾われた?


もしかして、カラス……


嫌な予感がよぎる。


「ニャ~。ニャ~」

小さく猫の鳴き声をしてみる。

返事はない。

リュックから、スマホを取り出して『 母猫、子猫 、呼ぶ』を検索してYouTubeで流す。


静かに、耳を澄ませる。


小雨の音とYouTubeから流れる猫の鳴き声しか聞こえてこない。


馬鹿だ私。

なんで、あの時すぐに連れて行かなかったんだろう。



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