プロローグ7
森で出会った少女、名前は「イヴ」
「イヴ」記憶をなくしており、自分が何故この島に来たのかはわからないそうだ。
一つだけわかっていることはこの島の管理人メタトロンが少女の記憶のカギを握っているという事くらいだ。
って、なんでこんな考察してんだ。俺。
今はイヴの記憶どうこうの問題ではなく自分の「生死」問題だ。
森を出られれば俺も少女も間違いなく死ぬ。
その為には・・・
「移動しよう、イヴ」
今にも寝落ちしそうなイヴに俺は移動を提案した。
「ふえ?」
夜が深くなればなるほど「害獣」は活発になる。
それが、俺のこれまでの知恵だった。
だがここはあまりに異常な島だ。
身をこの洞窟で隠していたところで安全であるとは微塵も思えない。
ましてやあの「三つ目の害獣」なら簡単に見つけ襲ってこれる、そんな予感がした。
そうなれば、話は別だ。
一か所に留まって自ら逃げ道を塞ぐよりは行動した方がまし。
これが俺の考えだった。
それにイヴの手持ちから俺は方位磁石を見つけだしていた。
これさえあれば、ぐちゃぐちゃになった方向感覚を取り戻し「寮」に辿り着ける。
まあ、当の本人はこれの使い方は全くわからないようだったが・・・。
俺は眠そうなイヴの体を無理やり起こし「寮」がある北を目指した。
「ハヤトーー、眠いよー」
背中からイヴの文句が絶え間なく続いていた。
眠気からか歩くペースがとんでもなく遅かったイヴを俺はおぶって行動した。が、逆効果だったこもしれない。
「文句があるなら自分で歩くか?」
「ぐぬぬ」
どうやら歩くのだけは勘弁なようだ。
少女が昼間あれだけ走ったのだから無理はない。
しかし、この森の夜は異様さに包まれていた。
昼では2回も害獣と遭遇したのに対して夜はは姿一つも見えやしない。
やはり生態系が他の森とは違うのであろう。
夜が明ける頃には「寮」に辿り着けるかも知れない。
そんな希望が芽生え始めたその時だった。
ーーーーーぐらららららららららららら!!!!!!!!
突如でかい鳴き声がした。
いや、これは鳴き声というより咆哮だ。
「害獣」が威嚇する際に放つ咆哮。
どうやら近くで「人」と「害獣」が戦闘するようだ。
しかし、これだけの大音量の咆哮となると戦闘する「害獣」はかなりでかいサイズなのであろう。
「うわ!」
イヴも眠気がふっとんだのか短い驚きの声を出した。
「とにかく離れよう!」
俺は体の向きを180度回転させたその時だった。
ーーーーシュン!!
体の横を胴長の蛇型の「害獣」が通った。
「え?」
俺は全く反応できず。気づいた時にはあたりは血だらけになっていた。