夢というにはあまりにも
午前、学校にギリギリで付きそのまま授業を受ける。
あー、とてもいい眠気が…
まあ後で梨花にノートを見せてもらおう。
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気がつくとそこはあまりにも現代とは思えない町並みが広がっていた。
建物は倒れ、あちこちで火が上がり、至るところに黒く焦げた何かが転がっている。
「結依、無事だったんだ!」
近くの瓦礫の山を越えて梨花が近くにやってきた。
「梨花、これは一体…何が起こってるの…?」
「今は説明してる暇がないの…とりあえず向こうへ」
「ちょっ」
私は梨花に手を引かれ近くの山の洞窟に身を隠した。
「ねえ、梨花何が起こってるの!?ここ私たちの住んでる町だよね?何が何が…」
「結依はさ…大切な人を独り占めにしたいって思ったことある…?」
梨花は私の慌ててるのをよそに語り出す。
「私達は愛情深い。でもその愛が行きすぎると愛ゆえに殺す。」
淡々と話す梨花の言葉が何一つとして理解が出来なかった。
「わかんない、わかんかんないよ!愛があるならそこにその人がいるだけで幸せ何じゃないの!?殺したら…死んじゃったらその人ともう話せないんだよ!!」
私の言葉に梨花は少し笑う。
「そっか、結依はわからないか…私もわからなかったんだけどね。何となくわかってきたんだ。」
その時の梨花の顔は私の知っている梨花とは違く感じた。
「好きな人を私の手の中に納めていたいと、他の誰かと話してるのが堪えられない。誰かに触れているのが堪えられない。私の知らないところで私の知らないものを見て聞いて触れて経験するのが堪えられない。」
「そんなの…そんなの間違ってるよ!」
「だから…私は結依を」
梨花が私に手を伸ばしてくる。
「………したい」
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ビクッ
身体がビクッとし目が覚めるとまだ授業中だった。
なんだろう、夢の中の梨花は最後とても悲しそうな顔をしてた気がする。
「おはよう~」
前の席の梨花が小声で挨拶をする。
その挨拶に小声で返し安心する。
梨花はやっぱりあんなこと言うはずがない。
でも夢で見たあの景色…
夢というにはあまりにもリアルだった。
そして夢の出来事ではないように感じた。




