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そこに愛があった  作者: 野村夜長
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ちょっとした歪み



朝、1階から包丁の音が聞こえてくる。



1階に降りると姉の四季が台所に立っている。


「あれ、姉ちゃんが朝食作ってるの珍しいね~」


「まあたまには可愛い妹のために朝食を作ってやろうと思ってな。」


姉がとても似合わない言葉を述べるがその手付きはとても鮮やかだ。

姉は大学生で朝は遅くこの時間に起きていること自体が異常なのに朝食まで…

明日、死ぬのか?



「いや死なねえよ」

姉が読心背後ツッコミという高度な技を繰り出すのと同時に朝食を机に並べた。


「ほら、朝食食べるぞ~」


無駄に豪華な朝食が食卓に並ぶ。

この姉はどうしてこうスペックが高いのか…



『続いては悲しい事件が起こりました。』



姉がテレビをつけるとニュースが流れた。

どうやら殺人事件が起こりその動機は相手を独り占めしたいと思ったため殺したという理由だったらしい。



「おーおーすげぇ理由だな。」


姉がお茶を飲みながら言う。


「きっと大変なことになるな~」



このときは、姉の言葉もこの犯人の動機も理解することは出来なかった。



「そうか、その様子だと結依はまだ何もわかってないんだな」


「ん?どういうこと?」


四季の意味深な発言がとても気になった。

まだ?何も?なんだその含みがある言い方は。


「まあしょうがないか。色々あったもんな。」


「さっきからなんの話を…」


「それより早くしないと電車乗り遅れるぞ?」


「あ!」


時計を見ると家を出る時間ギリギリであった。

四季に話題を剃らされた感じがしてとても気にくわないが今は急がなくては。


慌てて着替え家を出た。





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