愛がある世界
気持ちの良い昼下がり身体がビクッとなって目が覚めた。
「おーい、遠藤。受験生がそんなんで大丈夫か~」
午後の数学の授業中に盛大に眠ってしまっていたようだ。
「す、すみません。」
何か夢を見ていた気がするけどなんだったか…
「結依が居眠りなんて珍し…珍しい?いやよくあったっけ?」
前の席の梨花が小声で話しかけてくる。
「いやいや、私が居眠りとかめったにないでしょ!」
二人で小声で話していると先生に睨まれたので大人しく授業を受けた。
「さてさて、結依さんや帰りますかね~」
授業後梨花が手を差し出してくる。
「ん」
まだ目が覚めきらない私は梨花の手を取り体重を梨花に預け歩き出した。
「いやーいい眺めだね~」
隣の席の友里がよだれを拭う仕草をしながら話しかけてくる。
「ふふふ、梨花の胸は最高だぞ~」
梨花の胸に顔を埋めながら友里を見る。
「まったく、うちのクラスのバカップルは最高だぜ!」
友里が親指を立てるのを見送り教室を出た。
私と梨花は付き合っている。
昔からの知り合い、つまり幼馴染でずっと近くにいて高校に入り自然な流れで付き合い始めた。
ああ、この世界は愛が溢れていてなんて幸せな世界なのだろうか。




