第六話 人でなし
前回、《無駄死に男》の逆襲がありましたね。
あの説明文はテストに出るので、
しっかり覚えておくように!
今回から主人公が狂いだします。
主人公は人間には甘いつもりです。
うぅ…はっ!?…気絶していたのか、俺は。
それにしても、あの称号は一体…?
はぁ……
まあ、どうせ今はいくら調べようが分からないだろう。ただでさえ自分が何処にいるのかすら正確に掴めてないんだから。
あ!そうだ…そういえば、気絶してからどのくらい経ったんだろう?
確か、俺が蜘蛛を食べた時、まだ太陽が上がっていたはずだが……
…………
うん。完全に夕方ですね。本当にありがとうございました。
ってこれかなり不味くない?寝床も何も準備してないよ?しかもなんかお腹すいてきたし。
あれ?あれは……
ちっさい蜘蛛だァー!ご馳走だー!
俺は一時的に隠れていた倒木の下から飛び出し、気が付かれないように、蜘蛛の元へとゆっくりと近づいた。
そして、ご馳走に手を出そうとした瞬間、
突如、脳内で危険信号が発せられ、俺は即座に後ろに飛んだ。
今の感覚は一体!?
〈ヒュン!!〉
なんだ今の白いの!?
今、俺の前を横切った奴!どっちいった!?
突然現れた「ソレ」に命の危険を感じながらも、敢えて観察をした。
俺は注意深く、辺りを見渡す。
すると、
〈ヒュン!!〉
左からか!?
俺は直ぐに後ろに跳んだ。
今度は、観察をしていたおかげで「ソレ」がどこから来るか大体予想がついた。
なんだ?…アイツは…
たった今、俺の左側から突進?して来た「ソレ」が、目の前を通り過ぎて行く所をハッキリとこの目が捉えた。
アイツは…白いイノシシ?
いや、羽根が付いていたな…
そう。俺がこの目で捉えたのは、
地面スレスレを滑空した翼付き白イノシシの姿だった。
なんなんだ?あの白猪はなんで俺を狙ってる?
〈ヒュン!!〉
うぉっ!あっぶねー…
ダメだ!考えるのは後だ!今俺は明らかに不利。おまけに相手が何処から来てるのかすら、この生い茂ったジャングルの中じゃあ察知する事は不可能ときている。
いっその事、このジャングルを出るか?
…いやダメだ。相手が待ってくれる訳ないし、第一、このジャングルは広すぎる。出れるのかすら怪しいもんだ。もし仮に出られたとしても、そこが平地だったら身を隠す場所がなくてアウトだ。
じゃあどうするんだ…
!!…馬鹿でも分かることを思い付いたぞ…
っとその前に、白猪は何処行った?
……!!
〈ヒュン!!〉
痛!ちくしょう、微妙に掠っちまった。
中途半端に避けたからだな。
まあそれは今はどうでもいい。今から行う攻略は、ミスったら一巻の終わりだからな。
どっちにしろ、今このステータスで出来る事なんてたかが知れてる。此処で死んだら、所詮その程度だったってことだよ。
攻略の前提として、
基本的に、あの白猪は1回突進した後に次の突進が来るまでのクールタイムが長い。
それは多分観察していた限り、突進のスピードが速い事に原因があるんだと思う。
スピードを上げるために、まずは、上空まであの翼で飛ぶ。そしてその後、上空から地上までスピードを付けて地面スレスレを通って行く。
そこを狙うんだ。
この作戦は成功するだろう。
でも、それは白猪がバカで、尚且つあるスキルをこいつが持っていない場合だ。
……それも恐らく大丈夫だとは思うんだがな〜。
だってせっかく猪で、立派な牙持ってて、攻撃のレパートリー多そうなのに、わざわざ突進の一択。
これ、バカだと思うよ?
少なくとも、トカゲ君はそう思うな。
じゃあ、攻略開始だ!
まずは、1回突進が来るのを観察して待つとしますか。おお、上に上がってってるなぁ。
頑張るねぇ、凸さん。
さあ来た!
また左からですか、芸がないなあ!猪さん!
俺は後方に跳び、ある物を使った。
一瞬だが、ちゃんと機能してくれよ?
〈ヒュン!!〉
《鑑定》!
そして、翼付き白猪のステータスが表示された。
ちなみにここに「あるスキル」が表示されていたら、この作戦は完全に失敗するだろうと思っている。
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【名前】
【種族】レッサーホワイトウィングボア
【レベル】3/20
【ランク】F
【体力】30/30【魔力】0/0
【状態】激怒
【物理攻撃力】24
【物理防御力】13
【魔法攻撃力】0
【魔法防御力】6
【状態攻撃力】0
【状態防御力】3
【素早さ】38
【使用可能魔法】なし
【スキル】
《体当たりLv.2》《捕食Lv.2》
《突進Lv.5》 《飛行Lv.2》
【称号】
《突進を好む者》
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ふぅ…良かった、俺があったらダメだと案じていたスキルはこの中にはない。そして、あるスキルの鑑定をした。
……うん。完璧だね。
あとやっぱり怒ってる。なんで怒ってるんだ?なんか悪いことしたか?俺。これからも悪い事はしないように善処する予定だぞ?
それじゃあ次の行動に移るとしよう。
実は、次で白猪の命は潰えることになるだろう。
行動は至って簡単、俺は頑丈で幹が太い木の前に居るだけだ。後は白猪が俺に突進して来るのを待つだけ。
ん?この木の周りは他の木が木が生い茂っていないな。しかもこの木やけに大きいし。もしかして周りの木から栄養を取ってるとか?まあいいや、そろそろ来るだろう。
〈ヒュー!!!〉
おお、物凄い勢いでこっちに滑空突進してきてるな。これは予想以上だ。もしかしたら違う意味でやばいかもしれないな……
〈ヒュー!!!!!!〉
よし来た!
ここで俺は死ぬ気じゃないんでね!
あばよ、白猪野郎!
俺は白猪が向きを変えられないほど近づくのを見た瞬間に、思いっ切り右側に跳んだ。
そして、
直後、物凄い音が俺の隣で鳴った…
バァァァァァン!!!!!!
音の鳴った方向を見ると、そこには…
「自身の」スキル《突進Lv.5》を、
自身の【物理攻撃力】より数倍以上の【強度】を誇る、大木に放ち自滅した生物だった物が、
グチャグチャになって、
木に叩きつけられていた。
それは「何処」が「何処」だったのかも
分からず、
ただ、そこには中身だった物が外側に、
外側にあったものが、粉々になり、
叩きつけられていた。
そして、俺は心の中で言った。
よしっ!討伐完了!
いやぁ、こいつが馬鹿で良かったー…
危うく死にかけたじゃないか!
全く苦労をかけさせてくれるなあ、
この【経験値】は。
『望月司の【レベル】が
1から5に上がりました。』
【進化が可能です。進化先を選べます。】
『《惨殺Lv.1》を獲得しました。』
『《惨殺Lv.2》を獲得しました。』
『《惨殺Lv.3》を獲得しました。』
『【称号】《拷問官》を獲得しました。
進化先に反映します。』
『【称号】《人でなし》を獲得しました。
進化先に反映します。』
全く。不名誉な称号だな。
俺は極々普通の事を言っただけじゃないか!
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彼の「性格」は元々こうであり、
他人から問題にされた彼の「性格」は、
『人でなし』と、呼ばれていた。
Q:誰かに誓ったあれは嘘だったのか…?
A:今回のが主人公の性格です。
そして、 今回のが主人公にとっての
「人間らしさ」です。
Q:あんな主人公、共感出来ない!
萌えを出せ!萌えを!
A:そうですね。流石今この段階では
私でも無理です。
萌えはもう少し先に出す予定ですので、
御安心を!
そういえば、買っておいた綾鷹を
全部飲み終えてしまい、悲しかったです。
どうでもよ過ぎって思った方、ブクマお願いします。