第三十四話 死にたくないので進化しますpart2
これからの行動についてだが、
この世界における現時点での自分の場所と
周りの状況を確認できた以上、
俺は帝国では無く王国に向かうべきだと考える。
理由は2つある。
1つ目は、
巨大森林の方が大砂漠よりも
生きていくのに環境が良さそうからだ。
今は洞窟にいるため熱を感じないが、
恐らく外に出たら暑さが
まずいことになるだろう。
それを考えても大砂漠は生きにくいし、
そんな暑い環境の中、
俺の食料が生息している感じがしない。
むしろサソリなんかに毒盛られて
死にそうな予感しかしない。
そんな死に方真っ平御免だ。
そして2つ目は、
王国の方が情報を得やすいと思うからだ。
先程の話からすると、
人間族だけよりそれ以外の種族がいる王国の方が女の子に聞いた感じ帝国と違い
閉鎖的では無いし、
人口が多い感じがするので
こっちがいいと考える。
何故、人から情報を得られるとは到底思えない
外見をしている俺が
それを理由にするかと言うと、
俺は近い将来、
人に化けて生活できるかもしれない。
そんな馬鹿なと思うかもしれないが、
竜が人に化けるという設定のお話はある。
もしかしたら、
進化が進むうちにスキルとして
覚えられるかもしれない。
まあ、人に化けたとしても
俺は人と深く関わる気は無いが。
兎に角、
そんな淡い期待を込めたのがこの理由だ。
それでだ、いざ今から行くにしても
まずやることがある。
それは何かと言うと、進化だ。
これはずっとやろうとは思っていたが
あの女の子には会うし、
安全なところにもつかないし、
正直言ってダンジョンに入ってから
今の今まで安心して休むところなんて
全然なかった。
だから人が入ってこなくて
安全なここにいる今がチャンスだ。
唯一心配なのが進化の最中
もし女の子がこちらを見た時の事だが、
それは道中で少し暈したが説明済みだ。
何故暈したかと言うと、
進化のこともスキルと同様に
女の子に伝えることが出来なかったからだ。
まるで何かの制限がかけられたように
その言葉が喋れなくなるのだ。
まあ特に困った事も起きてないし、
気にはしていないが。
ということで、
俺はステータスオープンと念じた。
口で言わなかったのは
女の子に聞こえると説明が面倒くさいからだ。
俺はウィンドウに目を向ける。
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【名前】望月司
【種族】ベビースモールレッサーイビルリザード
【レベル】15/15
【ランク】E
【体力】8/120【魔力】2/180
【状態】飢餓Ⅱ 疲労Ⅱ 瀕死Ⅱ
【物理攻撃力】180UP
【物理防御力】480UP
【魔法攻撃力】140
【魔法防御力】85
【状態攻撃力】390
【状態防御力】260
【素早さ】130UP
【使用可能魔法】
《闇属性:下級二位魔法》
《石化属性:下級三位魔法》
【スキル】《鑑定Lv.6》
《精神耐性Lv.8》《絶望耐性Lv.5》
《負荷耐性Lv.6》《石化耐性Lv.6》
《飢餓耐性Lv.9》UP《恐怖耐性Lv.3》
《疲労耐性Lv.2》NEW
《闇耐性Lv.5》
《石牙Lv.4》《石爪Lv.4》
《闇牙Lv.1》《闇爪Lv.1》
《体当たりLv.6》
《捕食Lv.5》《惨殺Lv.4》《隠蔽Lv.5》
《暗殺Lv.4》《人間族キラーLv.1》NEW
《魔力操作Lv.4》《魔力変化Lv.5》
《ルミドレナ帝国国用語Lv.3》UP
【進化が可能です。進化先を選べます。】
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俺は物騒なスキルがあるのを確認しつつも、
【物理防御力】がアホみたいに上がっているのが気になって仕方なかった。
というか今までレベルが上がってないのに
各ステータスが上昇していた事に
気がついていなかった。
いや、気がついてはいたが
なぜ上がっていたのかは知らなかった。
レベルアップに関係なくステータスが
上昇した事にびっくりしたが、
それよりも何故、
こんなにも上昇したのか気になった俺は、
【物理防御力】に鑑定をかけてみた。
すると、UPした時の状況が書かれていた。
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【物理防御力】480UP
非常に高い場所からの落下によって
引き起こされた物理的ダメージによる
ステータス上昇。
ステータス反映:非常に遅い
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なるほど。
王スケルトンにぶっ飛ばされて
落っこちた時のダメージが
そのまま上昇に繋がったのか。
それでステータスに発現するのが「非常に遅い」
からさっきステータス開いた時に
反映されてなかったのか…
俺はついでに《人間族キラー》にも
鑑定をかけてみた。
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《人間族キラーLv.1》
人間族を攻撃する時、
自身が起こす全ての敵対的攻撃による
ダメージに対して補正がかかる。
Lvによる補正がかかる。
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これは嬉しいのか嬉しくないのか…
反応に困るスキルだな…
まあ今後人間族が攻撃したときの
反撃や攻撃に使えそうでいいと思うが。
それにしても【体力】が
本当にまずいことになっているな。
かすり傷受けただけで死ぬんじゃないか?
これは本当に早く進化してしまわないと
まずいと思った。
進化さえしてしまえば【体力】と【魔力】も
全回復するからだ。
俺はウィンドウの概要の一番下をみて安心した。
進化できると書いてあったからだ。
でも同時にどんな進化先が出てくるのか
恐ろしくもあった。
何しろ人間を殺したからだ。
ステータスからは分からないが、
多分また不名誉な称号が
追加されていることだろう。
頭の中に響くアナウンスも集中出来る状態
でないと聞こえなかったりするし、
称号に関しては何が追加されていても
不思議ではない。
だが、同じリザードの中でも
コロコロと系統を変えるのも、
あまり良くないことだろう。
なかなか強くなれない上に、
いいものがあるとは限らないからだ。
それに、【闇属性】を手に入れたことから
今の系統はかなり強いものではないかと思う。
なので俺の中ではもう何に進化するか
決まっていた。
俺は進化先の一覧を表示するように念じた。
進化するものは変わらないが、
そのウィンドウに俺は意外な進化先を見つけて
普通にびっくりした。