第二十四話 壁ワン作戦
一体なんなんだこれは。
俺は【強度】1兆の鉱石、
ハレミアナ超鉱石を持ちながら思った。
これはどう考えても普通の域を超えてるよ…な?
俺は今まで鉱石を
鑑定したことなんてなかったし、
見つけることもなかった。
そのため、鉱石の通常の【強度】がどのような
数値になっているのかが分からない。
ただこの鉱石に限って言うならば、
素人でも分かった。
この鉱石は異常だということが。
一体この鉱石がどのようにして出来たのか、
そして、何故こんなものが
スケルトンという弱い魔物が出てくるような
洞窟もといダンジョンにあるのか
意味不明だが、
もう少し調べようにも、
鑑定のLvが低いせいかは知らないが
これ以上は鑑定不能と表示されてしまう。
この鉱石は後々使う時が来るかもしれない。
こんな【強度】を誇るものがあること自体が
俺にとって不可解であり、
恐怖そのものだ。
今回は鉱石という無機物だったからいいが、
これが有機物……
すなわち生物だった時の場合を考えると、
思わず身が竦む。
それ故に、
持っているだけでもいいことが
あるかもしれない。
それこそお守り的なポジションとして。
まあいい…
これに関しては鑑定のLvが上がった時にでも
暇があったら調べてみよう。
気になることはなるべく
放っておきたくないからな。
俺はハレミアナ超鉱石を足に括りつけ、
再び毒沼の断面に沿って歩いていった。
途中で光があったため、
またハレミアナ超鉱石が
埋まっているのかなと思ったが、
調べてみたところ、
発光石という名前の鉱石が埋まっていたらしく、
ハレミアナではなかった。
さらに少し調べたところ、
発光石はその名の通り
自ら発光する鉱石のようだった。
そして、ここが一番不思議に思い、
尚且つ鑑定のLvを早く上げたいと
思ったところだった。
何をそんなに不思議に思ったかというと、
発光石の【強度】は300だったということだ。
それは何かに削られたりして
減ったからそんなに少ないのではなく、
「最大値」が300だったのだ。
それは、
ハレミアナ超鉱石の【強度】が異常を通り越して
バグのレベルに
なってしまっているということだ。
逆にいうと、
発光石の【強度】は極々普通だということだ。
ということでさらに
ハレミアナ超鉱石の謎が深まってしまった。
探究心がうずうずしている。
完全に暴れ馬状態だ。
ひ、ヒヒーン………………
・・・・・
笑えよ。
今のは俺が色んな意味で可哀想だが
そんなことはどうでもいい。
超鉱石について、
本当に気になるところだが、
先に進まないことには鑑定のLv上げも
安全に行うことが出来ないので、
先に進み歩いていく。
そして一番奥の位置までたどり着いた。
目の前にあるのは壁。
壁の上の方を見てみたが、
全くこの壁の高さが掴めない。
恐らくここは谷の端の方なんだろう。
俺は困った。
行き止まりになってしまったのだ。
もう進むところがない。
つまり、外に出られない。
俺は何とかしてここを脱出できないものかと
辺りをウロウロしていた。
そして、
【壁登ればワンチャン脱出出来んじゃね】作戦を
実行することにした。
生憎、上はどのぐらいの高さが
あるかわからないので
どのくらいかかるかは
俺の知るところではないが、
この壁は意外に凹凸が目立つ。
そこでこの略して【壁ワン】の出番だ。
何とか根性で登って見せよう。
俺は作戦を実行し、
思ったより登りやすいことを嬉しく思い、
どんどん上にと進んでいく。
そして、
登り始めて数十分が経過しただろうか、
相変わらず上を見てもつく気配がない。
俺は気にせずどんどん上にと進んでいく。
精神力なら毒沼で散々鍛えられた。
なのでお構い無しだ!
ゴリ押しだ!
そしてさらに進んだ頃、
壁に異変が生じた。
俺がいるところより壁が脆すぎて
どんどん崩れてしまうのだ。
これでは登ることが出来ない。
俺は納得がいかなかったが、
仕方ない。
そして、地面まで後3mの所で
足を滑らせて転倒した。
その時、空中で右後ろ脚で壁を蹴ったらしく
ゴロゴロという音がした。
落ちた時の痛みを感じつつ、
壁の方をみてみた。
だが、壁を見ても
気が付かない。
壁に僅かに穴が空いていて、
その先には道が繋がっていた。
俺はここを進めば外に出られると
信じて希望をその道に託した。
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