第二十三話 出鱈目鉱石
俺はその地面を見つけた瞬間、
毒沼で死ななくて済むという
安心感に襲われた。
全く…
進んでも進んでも全然辿り着かないし、
ずっと毒沼にいる訳だから
同じ景色ばっかりで、
どっちが前なのか後ろなのか
よく分からなくなるし、
飛んだ目にあったものだ。
一種の無限ループに近いものを感じたぞ。
怖すぎる。
もしかして、
ステータス見たら
精神耐性的なもの上がってるんじゃないか?
そう言えば、
ここに落ちてからというもの
自分の体力を見たら少なすぎて
ビビったりでもしたら
動きに制限がかかって
余計に精神すり減らされるということで
ステータス見てなかったんだよな。
毒沼も抜けたし、
気になるから後で見てみよう。
しかし、なんでいきなり毒沼から抜けたんだ?
まるで毒沼の水位の方が
今、足がついているこの地面より
高かったかのように
毒沼の上から降りたので、
かなり不思議に思った。
精神的疲労から少し解放された俺は、
夜目が再び効くようになってきたので
暗闇の中、
自分が来た毒沼の方向を見てみた。
そこで見たものは驚かされるものだった。
なんと、
毒沼の端が断面のように切れていたのだ。
そして、その先にあるのが
今足を付いている地面。
今にも毒沼の水が
こちらに流れ込んできそうな状態になっている。
しかも、それが一部分だったら
驚きもそこまでなかったと思うが、
奥に仄かな光が続いて点在しており
それがずっと奥まで続いている。
その仄かな明かりの下にあるのが毒沼の断面。
その距離およそ100m以上は
余裕で越えている。
つまり、
毒沼が何かに切られたように
断面として100m以上続いているのだ。
オマケに水が流れ込んでこない。
魔法でもかけられているのだろうか。
全く持って謎である。
びっくりしながら、
奥に続く光を辿って歩いてみる。
その光は俺の左手にある
毒沼を薄気味悪く照らしており、
その光っている正体は
一体なんなんだろうと気になり
それを触って見た。
するとその物体は、
夜空に浮かぶ幾億の星を反射したように
キラキラと光りだし、
その正体が顕になった。
その正体とは、
緑がかった鉱石であり、
ものすごく透明度が高く、
俺が触れた時に光の元が
中にあるのがわかった。
俺はその鉱石に興味と感動を覚え、
お守り替わりに持つのも
いいかもしれないと思い、
その鉱石を掘り出してみることにした。
傷をつけないように、
鉱石の周りだけを
ゆっくりと爪で削り出していく。
ガンッ!…ガンッ!
石を削る音が谷底に響き渡る。
俺は気にせず作業を進める。
途中、
これまで毒沼を渡って来た疲労が祟ったのか、
意識が飛びそうになったが
何とかとどまる。
これが終わったらとっとと出口を見つけて、
この洞窟からおさらばしよう。
この洞窟には最悪な思い出しかないな。
まあレベル上げには良さそうなことはわかるが。
そして、石を取り除き
やっと鉱石を手に入れた。
鉱石にも石が少しついていたので、
鉱石に傷がつかないように
しっかりと注意をしつつ、
削り取っていく。
その作業が終わったあと、
俺はその鉱石を鑑定してみた。
《鑑定》
________________________________________
【名称】ハレミアナ超鉱石
【強度】1000000000000/
1000000000000
鑑定不能
________________________________________
ファ!?
嘘だろ、出鱈目かよ。
イチジュウヒャクセンマン……ナニコレ…。
キョウド…イッチョウ…デタラメジャナイカ…
ポケー…………。
俺はびっくりしすぎて
谷底で一人、
ツッコミを入れてしまった。
悲しかった。
誰か笑えよ。
ポケー……。(アホの図)