第二十一話 希望一閃
毒沼なんて……
当たらなければどうということはない!
俺は一か八かの作戦に出た。
正直なところ、
この作戦が失敗したら
俺はここで死を待つのみになるだろう。
だが、逆にこの作戦が成功すれば
もしかしたら何とかなるかもしれない。
ここは深い谷底。
そのため明かりが届かず真っ暗だが、
俺の夜目はしっかり
周囲の様子を捉えている。
見渡す限り毒沼。
それが、俺が落ちたところの姿だ。
俺は沼に落ち、
苦しみながら死ぬ未来を想像して
怖気付きそうになる。
だが、こんなところで死ぬわけには行かない。
せっかくひろった命、
存分に使ってやろう!
俺は骨の山から降り、
毒沼ぎりぎりの所まで行った。
一か八か…どうだ…!?
俺は【石化属性】を纏った小さな球を
指先から出し、
毒沼へ接触させた。
結果は……
成功だ!
【石化属性】が当たった毒沼の一部が石化し、
指でつついてもビクともしない。
完全に石になっている。
俺は生き残るための唯一の策が成功し、
心底ほっとした。
俺の目論見は、
【石化属性】で毒沼を石化させ、
道を作ることだ。
俺が喜んでいると、
遠くの方の暗闇から
小さな光が浮かんだ。
程なくして、
小さかった光が
さらに弱くなるようにして
暗闇に消えていった。
俺は好奇心につられ、
【石化属性】を使い
自身の通る足元だけを石化させ、
先程の光の元へと向かうことにした。
と、その前に、
このままでは出血多量で死んでしまう。
かと言って、
包帯なんて持っているわけがないので、
仕方ないが、
自分の出血している
背中や前足計4箇所を、
【石化属性】で傷口から
溢れ出る血を石で固め、
出血を無理矢理止めた。
初めて自分に対して使った感想だが、
普通に物凄く痛かった。
まさか自分に対して
石化を使うとは思っていなかったが、
助かったのでいいということにしよう。
俺は痛みを感じながらも前進を始めた。
……………………
進んでいる最中、突然目眩がした。
ステータスをこんなところで開けるほど、
俺の精神は図太くないので
原因は詳しくは分からないが、
恐らくだが、魔力が尽きかけたのだと思う。
かれこれ10分ぐらいは直進していると思うが
なかなか毒沼から抜ける気配がない。
恐らくもう少しこの景色が
続くと思われるので、
気を抜かずに進んでいく。
……………………
そして、もうそろそろ魔力の限界が来たのか
魔法が使えなくなってきた俺は
最後の力を振り絞り、
自身を中心とした
半径3mの円状の形に石の床を広げ、
そこで休憩をすることにした。
俺もここに落ちるまでは
こんな今にも沈みそうな毒沼の真ん中で
休憩するなんてことになるとは
思っていなかったが、
まあ、色々あるんだなあと思った。
そして、毒沼の真ん中で
【体力】と【魔力】が回復することを願い、
眠った。
打ち切りは、
今後も余程のことがない限り無いヨ。