第二十話 絶望渦中
骨
………………
ここは何処だ。
俺は確か…
あの化け物スケルトンに
谷底に吹き飛ばされて……
死んだんだよな。
……
ははは…全く…
まだ何もしてなかっただろ…
つまんないとこで死んだなあ…俺…
せっかく、第二の命を貰ったのになあ…
俺の目から、
自然と涙がこぼれる。
俺は、後悔と無念を抱え込んだ。
……………………
そして少し落ち着いた頃、
俺は違和感に気がついた。
それは俺が死んだにしては、
あまりに不可解で
おかしな違和感だった。
なんでこんなに
身体中が痛いんだ?
死んだはずなら身体の感覚なんて
ない…筈だよな…?
不思議に思った俺は、
ひとまず上体を起こそうと
力を入れてみた。
いッ……!
身体に追加で激痛が走る。
そして呼び起こされる、
末端までの全ての感覚。
最初に感じたのは、
俺の背中の妙な暖かさだった。
なんだ?
不思議に思った俺は
短い手を出して、
背中を触ってみる。
ビチャ…
手に不可解な感触を覚えつつも、
違和感を確かめるべく
目の前に手を広げてみる。
目の前に広がるのは
真っ赤。
完全な血の色だ。
それを見た瞬間、
自分の心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
そして思い出した。
化け物スケルトンに落とされた後のことを。
俺は死んでなどいなかったのだ。
身体と俺自身が勝手にそう思い、
空中で気絶しただけ。
さらに俺の今のこの状況は、
明らかにおかしいことも同時に理解した。
何がおかしいかというと、
何故、
あれ程深い谷底に落とされたにも関わらず、
俺は生きているんだという事だ。
答えはすぐに出た。
それは、俺の落ちたところには
俺が最初に蹴散らしまくった
スケルトン軍団の死体が山のように
積み重なっており、
その死体がおそらく毒であろう沼を埋め、
さらに落下時の衝撃を和らげたという
何とも運が良すぎる助かり方をしたから。
という事だった。
全くもって、
骨達に感謝である。
ありがとう。骨々。
君たちの事は忘れないよ。
さてと、
身体は相変わらず痛むし
出血はまだ止まっていないみたいだが、
ここに居続けるのはかなり不味い。
何しろ辺りが毒沼なのだ。
先程、近くの小さい岩を見たが、
ここに住んでいたであろう
生物の死体は
毒による損傷がかなりあるのを確認した。
恐らくこれは猛毒。
触ったら死ぬレベルの毒だ。
さらに言うと、
俺がいるこの骨山が沈んだりでもしたら
俺は一瞬で死に至るだろう。
それだけはなんとしても避けたい。
何とか奇跡的に助かったこの命を
無駄にしたくないし、
そんな真似は絶対にしない。
確固たる思いで
俺は毒沼エリアから脱出すべく、
辺りを見渡した。
だが、そう簡単に
見つかるはずがなかった。
このままでは沈んで死んでしまう。
焦った俺は、
この状況から抜け出せる策を
考えて、考えて、考えた。
そして、見つけた。
一か八かだがやるっきゃない…!
骨、ありがとう。
打ち切りを逃れたのは君たちのお陰だよ。
(計画通り)