閑話フレデリック殿下の失敗。
不定期更新です。
私は、フレデリック・ラングランドこの国の王子に生まれた。可愛い婚約者もいる。自分のした事で、あんな事件が起こるとは思わなかった。
「フレデリック殿下、本当にこの話を進めるつもりですか?」
宰相が聞いてくるが、否定はしない。彼女には協力してもらう。それが、全部にいい結果になるからだ。
「まあね。散々邪魔されてこのままでいい筈ないだろう」
隣国の王女フローリリアが、私の婚約者だ。時間を作り会いに行くと、何時も義兄になるキリアンに邪魔される。交換留学の時に、親しくなったのだが妹の事になると人が変わった様に反対した。
正式に、国を通しての婚約なので、フローリリアが私の物になるのは間違いないが、鬱陶しい。
「しかし、せっかく財務大臣になってもらった、優秀な親子に文句言われませんかね」
大丈夫だろう、故郷で自国の王子に罪を着せられ婚約破棄された。元々、婚約者がいながら他の女に言い寄ったのが原因だろう。財務大臣をしていた彼等に、他の女のプレセント用の費用を王子が出させていたのだから。まあ、残念な性格だったのは本当だったが、嫌がらせと言っても意地の悪い事を言ったり、小さな悪戯で、高飛車な態度ぐらいだろう。
「傷付いた、娘の嫁ぎ先にはいい所だと思うが」
同じ王子でも格が違う。こちらの方が良縁だ。しかも、次期王妃。ラングランド王国の後楯があれば大事にするだろう。記憶をなくした彼女を見た瞬間閃めいた。
キリアンの、好きな女性のタイプになった彼女を、一目見れば構い倒すだろうと。
「そう言われればそうですが、納得されるでしょうか?」
惜しい存在になった、彼女の父親はできる男だ。子息である、ランティスも補佐をしているが二人揃うと仕事の早さが半端ない。混乱していた財政再建に貢献している。資料を彼等親子に見せると、これは、横領されている、こちらは税を誤魔化している、この書類は偽物だな、と鋭い指摘の山だった。
お陰で徴収すると、王国の五年の予算を軽く超えてしまった。それに、徴収した予算の内、半分を王家の予備費に残りを予算必要な場所にお願い致します。と言われてしまった。いざ、と言う時の物が欲しいと心の中で思っていたが、彼等から提案されて驚いたものだ。
「……キリアンが幸せにしてくれるだろう、我が国の後押しがあれば大丈夫だ」
妹離れをして貰わないと、こちらがたまらない。
「後押しですか?キリアン殿下の妹君を、妻になさるのですからおかしくはないですね」
宰相に納得して貰えば話が早くて助かる。
「今度、二人を合わせようと思っている。協力してくれ」
これで、上手くいけばフローリリアとの楽しい時を過ごせる。
「いいですが、王女様には話を通していた方がいいでしょう。そうしておいた方が、トラブルになりませんよ」
二人の幸せの為だ、フローリリアにも協力して貰えばいい。そう軽く考えていたが、読み違えた。数日後、訪れた友人達に噂が流れて来たと。何を考えている!みたいな感じで怒鳴られた。
理由を話してる間に、後からやって来たキリアンに怒鳴られた思ったら、侍女が執務室に飛び込んできた。
「大変です!殿下!お嬢様が、森に捨てられそうです」
は?森に捨てる?いったい何があった?
「何があった?詳しく話してくれ!」
侍女フラウの悲痛な声が響く。
「フローリリア王女様が、お嬢様を浮気相手と勘違いなさいました」
「「「「え?えーっ!」」」」
まずい!ラナに何かあったらランティス親子になんと言えば!
「おい!フレデリック大丈夫か?」
「フローリリア姫に、勘違いの事を教えた方がいいぞ!」
「ランティスに怒鳴られるぞ!」
皆の言う通り、どうにかしなければまずい!急いで部屋に行こうとした時、フローリリアが私の元に来た。
「フレデリック様、この国にいたゴミは捨てましたわ。綺麗に成りましたので安心してください」
にっこり笑って言われた時は、背筋の寒くなる思いがした。フローリリアの、誤解も解かないといけないが、ランティスの妹も助けないと。この後もの凄く苦労した、もう言いたくない思い出だ。