第6話
前半荷物整理終わりました。残業がなければもう一話更新したいですね。他の物もどれか更新できればいいなぁ〜。(希望)
変な事に巻き込まれてるらしい。元悪役令嬢、現在小動物令嬢ラナです。やっと部屋の中が静かになりました。不穏な言葉を残して、王子様達が出て行きましたが不安です。あの言葉が本当なら、厄介な人達が来る事になると思うと嫌になります。
「ラナ様、もう誰もいませんので出てきて椅子にお座りください」
メイドのフラウさんが新しい味のお菓子とお茶を用意してくれています。優秀なメイドさんです。流石、あの王子様の薦めるできたメイドさんだと思います。
でも、前世感の強い私は、メイドさんには何時までたっても慣れないです。普通の生活をしてたら、メイドさんと関わる事なんてセレブなお金持ちしかいないと思ってますから、今の状況は凄く心苦しいです。
「ありがとう、フラウさん」
「ラナ様、私はメイドですので、フラウとお呼び下さい」
「え?呼び捨ては無理!フラウさんと呼びたいです」
年上の人を呼び捨ては、前世の記憶しかない私には無理です。親から、怒られた記憶が蘇ります!
「分かりました。ラナ様の希望ですので好きな様にお呼び下さい」
許してもらえました。ひとまず安心です。美味しいお菓子と、お茶を飲みながらゆっくりしています。一人は静かでいいです、フラウさんはいますが気配がないので気になりません。
まったりしていると、急にドアが開いて美少女が入って来ました。
「私の婚約者を、誘惑したのは貴女かしら?」
冷たい眼差しが突き刺さります。こ、こわい!
「……」
言われた言葉が理解できません。小動物令嬢の私は、本当に怖くて椅子の後ろにすぐ隠れました。この美少女が誰なのか謎です。記憶のない私には、分からないので困ってしまいました。
「ラナ様、フレデリック殿下の婚約者でフローリリア王女様です」
フラウさんが教えてくれました。ええ⁉︎あの王子様の婚約者ーっ!腹黒王子様に騙されてる美少女?……もしかして誘惑って王子様を?やめてください!そんな恐ろしい事言うのは!ぶるぶる震えて隅っこから出たくなくなります。
「もう一度聞くわ!私の婚約者に手を出そうとしたのね」
地獄の底から響く様な声が聞こえました。椅子の陰から、高速で首を横に振ります。あ、目の前がぐるぐる回ってますが、一言言うのは忘れません。
「い、いじめる?」
首を振りすぎて痛くなり、涙を零しながら何時ものポーズで言いました。
「ふふふ、私は誤魔化されませんわよ!カスカス!不埒な女を森にでも捨てて来て!」
冷たい声が聞こえました。誤解です!と叫びたいですが怖くて声が出ません。よく襲われそうになったら、大きな声で助けを呼べば良いと前世で誰かが言ってましたが、本当に怖い時は声って出ませんよね。
「はい!王女様お任せください」
ひえ〜っ!こ、怖い!王女様が睨んでる。椅子の後ろから見えた王女様は、滅茶苦茶怖いです。森に捨てられるの?え?本当に王女様付き騎士がこっちに来るよ!来ないでーっ!冗談だよね?嘘だよね?
「いやあーっ!離して!降ろして!」
騎士に捕まり、手足をバタバタして動かして抵抗しました。降ろしてくれたと思ったら、芋虫みたいにマントでぐるぐる巻きにされ口も塞がれた!助けが呼べないよーっ!
「王女様!おやめください!フレデリック殿下の預かり物です」
フラウさんが、言ってくれましたが聞いてもらえない様です。でも、フラウさん!物って、私って預かり物だったのですか?残念な事にメイドのフラウさんでは、身分の高い王女様に勝てるはずありませんでした。森捨てが決まりました。
「私は、フレデリック殿下の婚約者ですわ。ですから人の者に手を出そうとした人を許す必要はなくてよ」
そう言われた私は、騎士に芋虫のまま担がれて連れて行かれています。揺さぶられて気分が悪くなりそうです。……森に捨てられるのか、私ってやっぱり運ないわーっ!お父様、お兄様、家族としての記憶はありませんが、ご迷惑をおかけしました。元悪役令嬢だった私への罰ですね。さようならお元気で、声は出せませんが心の中で謝ります。