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第21話

久しぶりです。生きてます。リアルが忙しくなかなか更新できてませんが、のんびりな更新でも良い方はお付き合いください。

昨日、いじめる宣言を受けた小動物令嬢ラナです。意識一般人、身体は記憶が無くなる前の動きは覚えている様ですが、本物の令嬢と渡り会える気がしません。


今、変な場所にいます。執務室の窓から見える、木になった赤い実が美味しそうで、ついつい誘われるように部屋を抜け出した私が悪いんです。攫われました。厳重そうな部屋からどーやって?と思いますよね?ちょうどアル様達が、用事で部屋を出ている隙に窓から抜け出しました。木登り得意なんです。小動物ですから〜。


目が覚めた現在、暗い洞窟?部屋?みたいな場所にいます。


「嬢ちゃん、なんでこんな所に来たんだ?」薄暗い場所から声が聞こえました。


振り向くとクマみたいに、大きいヒゲぼうぼうのおじさんが居ます。この部屋に前から居る住人ですか?怖い感じはしないし小動物センサーにも反応なしです。あ!怖くないと思ったら、この人田舎にいるお父さんの親戚の人に似てる。もちろん前の記憶の親戚です。


「何でかなぁ?いじめる?」


首を傾げてそう言うと、クマなおじさんが溜息を吐きました。小動物な私には本当にわからないんですよ。

目隠しされた後、執務室に押し掛けて来た令嬢の声が聞こえた気がしたんだけど。すぐ魔法で眠らされて……その後は?


「弱い者いじめはしない。それに、此処は城の地下牢だぞ。普通、罪人以外は来ないはずなんだがな?」


「えっ!ここは地下牢ですか!城の標準装備物件ですよね〜」


本当だと怖いはずだけど、癒されクマ的おじさんに緊張感なんて抜けてくよー!よくある隠し部屋に地下牢でほのぼのしてる。秘密を隠すのに最適な場所に私のような小動物令嬢とクマなおじさん。そんな呑気な事を考えていると、横でクマなおじさんが笑い出しました。


「あっはははー!度胸のある嬢ちゃんだな。俺はバンデット、ここに2年いるぞ」


2年も⁉︎凄い!度胸?微塵もないですよ〜。私小動物です!すみっこが似合うんです!クマなおじさんも大変でしたね。いじめないとも言ってもらったし……しばらくは大丈夫ですよね?ね!

でも……クマなおじさんはどうして2年も?


「バンデットさんは、どうしてここに?」


悪そうに見えない人が、こんな所に閉じ込められてるのはおかしいですよね。脱出方法ないですか?

抜け出せる方法があるなら聞いておきたいですよね。無理なのかな〜?早く戻らないとアル様に怒られそうです。お腹が空いてきました。やっぱり、ポケットの非常食は役に立ちますよ。


「偶々立ち聞きした内容が物騒で、仲間が居ないか探られている最中だ」


2年経っても出してもらえないのー!命があるだけいいのかな?

ポケットの非常食を食べながら聞いていると……ほよ?。

キュウグルグルギュー!!グルグルグワァー!凄い音がしたよ!


「えっ⁉︎どこから!怪獣⁉︎」


「……すまん。俺の腹の音だ」


恥ずかしそうなクマなおじさんが居ます。


「……非常食たべる?どうぞ」


音の正体は怪獣でなく、クマなおじさんのお腹でした。この地下牢で、満足に美味しい物食べられませんよね。小動物令嬢な私は、常にベストな栄養状態をキープしておきたいのです。

しかし!自分ばっかり食べてて恥ずかしい。持ってた非常食の中で、1番美味しくカロリーのありそうな、クリームサンドを差し出しました。

私には大きいと感じる物でも、クマなおじさんには小さく見えるサンドを涙を流しながら食べてる

ここの食事事情は厳しそうです。は!もしかして痩せる!痩せる前に脱出しなくちゃ!


「…う、美味い久しぶりの、うっ、うっ、甘いお菓子だ」


涙が口に入るとしょっぱいと……あれ?お菓子の甘味で余計に甘く感じるの?塩って偉大だ〜。ご飯が美味しくなさそうだから、早くここから脱出したい。アル様来てくれないかな〜。私がそんな事を考えてる最中、アル様達は居なくなった私を連れ戻す準備をしていました。



「ラナが居ない!どうしてだ!」


「済みません殿下!ドアからはラナ様は出ていません」


ドアの前にいた騎士達が頭を下げ殿下に謝っている。


「どこから消えた?心配だ!仕方ない、鈴を発動させるか」


「鈴?ですか?殿下」


お付きの騎士が聞いてきた。


「チーリスの時も隠れんぼが好きで、いつも逃げ出していたんだよ。探すのに苦労したから場所が分かる鈴を付けていた」


「……暑苦しい愛情が嫌で逃げ出していたのでは?」


「ん?何か言ったか?」


「いいえ、何でもありません。居場所が分かるのでしたら行きましょう殿下」


「チーリスの時も、迎えに行かないと何時までも帰って来なかった。早く小部屋に戻して、今度は抜け出せないようにしなくては」


「……やっぱり暑苦しいのが原因なのか」


「居なくなった訳が分かったのか?」


「いいえ。鈴をラナ様がよく嫌がりませんでしたね」


「ははは、ラナには教えてないよ。持ち物全(すべ)てに仕込んであるからね」


「……」


聞いていた周りの人間全てが、殿下の暑苦しい愛情に引いていた。本人は気付いていないがチーリスが逃げ出していたのも、わかる気がするとお付きの者全員が心の中で思ってた。

そんな事実を知らないラナは、呑気に牢の中でクマなおじさんと一緒にいました。


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