第20話
明けましておめでとうございます。旧年中はお付き合いくださりありがとうございました。不定期更新ですが宜しかったらお付き合いください。
今日も、だらだらした生活をしています小動物令嬢ラナです。快適な環境に慣らされつつ、拒否できないお菓子や食べ物たちが私を誘惑してきます。
「ラナ、ほら珍しくお菓子が手に入ったよ。おいで」
美味しい匂いを嗅いでフラフラ〜と、今日もアル様の誘惑に負けています。大人しく膝の上に乗り抱っこされながらお菓子をはぐはぐ頂いてます。今日も無駄に脂肪摂取に勤しんでます。
「……んぐっ!」
「あんまり急いで食べなくても、誰も取らないから安心して食べるといい」
アル様が心配してくれてます。美味しすぎて、大きく口の中に詰め込んだのが悪かったみたいです。いざ!と言う時の為の脂肪蓄積に余念のない小動物です。冬になる前の冬眠前にお腹いっぱい(ちょっぴりぷにぷに)にします。
「んっ、んっ、はぐはぐ、ごっくん」
「ラナ、物を入れたまま喋るとダメだよ」
注意されました。でも、うまうまなので止まらないのです。この甘〜い誘惑に逆らう事はできないです。
「はい」
食べ終えて降りようとした時、バァアアアーン!音が聞こえて振り向くと執務室の扉が勢いよく開きました。綺麗な令嬢が身体を震わせながら私を睨んでます!こわ!
「何ですの!貴女!アルフォンス殿下の上から退きなさい!」
誰ですか?退くのは構わないです。小部屋に移動します。関わりたくないタイプの令嬢です。今の私の常識では太刀打ちできません。
「フローラル様!お止めください!アルフォンス殿下すみません!ご迷惑をお掛けしました」
お付きの騎士らしき人が令嬢を諌めています。私は素早く小部屋に逃げて窓から見てます。逃げ足も速い小動物です。
「私この物体に負けましたの!諦め切れませんわ!」
私が顔をだしてる窓を指差しされたので、物体とは私の事みたいです。負けたとは?私が綺麗な令嬢に敵う所があると思えませんが?聞いておかないと!
「いじめる?」
窓に張り付いたまま、首を横に傾げました。
「おーほっほっほっー!虐めてあげますわ!」
どうも、好戦的な令嬢みたいです。出来れば知り合いにはなりたくないです。顔を真っ青にしたお付きの騎士が令嬢に落ち着かせようと頑張ってます。
「フローラル様、落ち着いてください。アルフォンス殿下の御前でございます」
はっ!としている令嬢の顔が一瞬強張りましたが元に直ぐ戻りました。早業に感心します。
「アルフォンス殿下、御前をお騒がせしました事を謝罪いたします」
深々と頭を下げて上げようとしない騎士に、アル様のため息が聞こえました。
「謝罪は受け取ろう。だが、抗議はさせてもらう。早く連れて帰ってくれないか」
うわ〜!アル様の冷たい声が響きます。令嬢を見ると涙目になっています。
「わ、私諦めませんわ!」
捨ぜりふを残して執務室を出て行きました。お付きの人が頭をもう一度下げて去って行きます。誰だか分かりませんが、私を敵認定するのだけは止めてください!気が小さい小動物です。




