第16話
不定期更新です。旅行準備でテンション上がって来ました。
執務室でケーキを堪能していた私は吃驚しました。騒いでた方が、ごり押しで扉を開けて執務室に入って来たんです。妹様が侯爵様と言ってましたが、本当ですか?
「アルフォンス殿下!本当ですか?何故!私と姫の婚約を取り消すと!」
え?これが元の妹様の婚約者!弱い小動物な私なら逃げ出していたのかも。お爺さんですよ〜!妹様の様な優しい人が政略結婚ですか?破棄できて良かったですね。
「政略結婚させる必要が無くなったのでね。私が妃を娶ると決めた」
アル様、お嫁さんをもらうのですね。おめでとうございます。隅っこから祝福させて頂きます。
「……そ…んな……馬鹿な。妃はあれ程娶らないと、言っていたではありませんか!!」
驚いて興奮してる侯爵様、絶望って顔してます。初婚ですか?まさかね。お爺さんですから絶対2度目?
「愛しい存在に出会ったのだ。逃がしたくないのでね」
こっち見ないでください!勘違いされますよ!お妃様候補とは仲良くしてください。間違っても巻き込まないでください。嫌ですよ。人違いは!
「その娘ですか?殿下を誑かした女狐ですね!」
女狐!そんな大それた者ではないです。私は小動物ですよ!そんなに大きくないです。精精リスかハムスターです!
「……いじめる?」
怖い目で睨まれて涙が出そうです。
「まあ!侯爵様。お姉様をいじめてはいけませんわ。お兄様の逆鱗に触れれば、どうなっても知りませんわよ」
妹様の冷たい視線が、侯爵様に向けられてます。憐れみに満ちた目で見ています。
「殿下の逆鱗?」
不思議そうにする侯爵様。私の後ろから寒気を感じるのですが気のせいだと……私には振り返る勇気は無いです。
「……女狐?誰の事ですか?私には心当たりがないのですが。彼女を侮辱なさる積りではないでしょうね。侯爵」
静かに、そして怒気を含んだ声に漏らしそうになったのは内緒です。魔王降臨?
「ひっ!で、で、で、で、殿下!失礼しました!」
怒気に当てられた侯爵様が、転げる様に帰って行かれました。後ろを見なくて良かった。小動物の私だったら息が止まってそう。
「ふーっ全く、あれが血族だとは情けなくなるな」
溜息を吐きながら、親族になる侯爵に呆れているみたいですね。
「お姉様、大丈夫ですか?2度とあの様な人物を側には近付かせませんわ」
優しい妹様が抱きしめてくれました。安心します。
「心配するな。今度から、危険人物を通さぬ様にしておこう」
アル様が優しく微笑んでくれました。うっ、眩しい!キラキラの笑顔は凶器に似てますよね。危険人物の1人がアル様では?小動物令嬢の私には太刀打ちできません!誰か助けてください。




