第14話
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今、部屋に籠城中の小動物令嬢ラナです。アル様の妹様が窓から覗いています。
すごい美少女です。前世の記憶だけしかない私には、貴族のお嬢様と戦う勇気はないです。
「いじめないと、言ってるでしょう!出て来なさい。特製のケーキを持ってきましたわ」
ケーキ!さっきのお菓子も美味しかったですが…ケーキ…食べたい。よし!アル様が居るから大丈夫。
ドアの鍵を、半分開けると妹様見えます。睨まれています、怖くなってドアの中から挨拶しました。
「こ、こんにちはラナです」
恐る恐る名前だけ言いました。美少女が睨むと迫力あります。こ、怖いです。
「私とお茶しますわよ」
妹様に、引っ張りだされてしまいました。手を握られているので逃げられません。
椅子に一緒に座ります。妹様の侍女らしき人が、ケーキとお茶を私達2人の前に置いてくれました。
「マナ、お兄様にはケーキは要らないわ」
アル様はケーキはもらえないみたいです。可哀想です。
「酷いなミリアリア、兄にはくれないのか?ラナ、一口もらえる?」
命令ですか?私のケーキが〜!あげないとダメですよね。
小動物令嬢の私が、飼い主のアル様に餌をあげるのは変な感じがします。
でも、スポンジ部分だけで果物の所はあげませんよ。フォークですくって一口アル様の口の中に入れます。
「アル様、あーん」
残念です、私のケーキさようなら。
「んっ、美味いラナありがとう」
やっぱり美味しいケーキらしいです。減っちゃった私のケーキ。
「くっ!お兄様狡いですわ!ラナ!私にもください」
え?妹様には目の前に自分の分がありますよ。口を、大きく開けて待ってるので、仕方なくケーキを入れます。私の分が少なくなった。くすん。
「妹様?あーん?」
フォークを、目の前に近付けるとパクっと食べてくれました。
「妹!素敵だわ!ラナお姉様、お返しよ、はい!あーん」
お姉様?違いますよ。妹様がフルーツの乗った美味しい所をフォークですくって私にくれました。
やったー!1番美味しいとこ取りです。頂きます。
「はむ!…もぐもぐ美味しい」
でも、一口が大きかった。美味しいかったけど。口いっぱいに詰め込まれました。
2人の兄妹が、わたしの今後に付いて話していたのに、食べるのに夢中な私には聞こえませんでした。
「ミリアリア、可愛いだろう。仕事がはかどる」
「ふふ、お兄様良かったですわ。これで、私があの侯爵に嫁がなくても構いませんわね」
「ああ、跡取りはラナに生んでもらう予定だ。その前に、私を好きになってくれるように餌付け中だ」
「おーほっほっほっ、協力しますわお兄様。邪魔な令嬢達など私が退場させますわ。心配なさらず、ラナお姉様を確保してくださいね」
「彼女の、父親と兄を説得しなければ妃になってもらえない。それが1番大変だな」
「お兄様、私がラナお姉様のお兄様に嫁ぎますわ。婚約者だった侯爵に、未練タラタラで迫られるよりは良い選択だと思いません?」
ミリアリアには、私が結婚する気がない為に、王家の血が強くなる結婚相手が決まっていた。私を慕ってくれている妹はお兄様の為なら構いませんわ、と言ってくれるできた妹だ。
詳細は知らせていたが、時期ではないと会わせてなかった。強引に押し掛けてきたが、ラナを見て、すぐ気に入ってくれた。
速攻でラナの兄に嫁ぐと決めた妹の判断は間違ってない。あの、侯爵よりいい男だろう。
「苦労を掛けたな、ミリアリアの好きにするが良い」
妹様の侍女マナさんにケーキのお代わりをもらってご機嫌な私は、お兄様の危機には気が付かないまま呑気にお茶してました。




