第11話
一週間だけ限定どんどん更新5日目です。
今、何処かの執務室の部屋に作られた小部屋で寛いでいます。悪役令嬢を廃業中の小動物令嬢ラナです。
お茶にお菓子、飲み放題食べ放題です。食べているとじーっと見られてます。
小部屋には、本格的な物が沢山おかれています。
「食べます?」
頷かれました。お菓子を持ってアル様(呼べと命令された)の元に行きます。
「はい、アル様。あーんは?」
言うと、口を開けてくれますので、お菓子を千切って放り込みます。書類を汚さず食べる為に、してくれと頼まれました。
お菓子を、食べながらも書類を書いてますので器用だな、と感心しています。
「ん、美味しい。もう一口頼む」
「はい、どうぞ。あーん」
「ありがとう。美味しかった」
今やっているのは、お茶とお菓子の食べさせ係です。前世学校でやっていた、金魚の餌係を思い出します。餌を浮かべると、口を開けてぱくぱくしていました。何だか似てます。
横を見ると、生暖かい目で他の人達がアル様を見てます。
私は、金魚の餌係だと思って諦めてあげています。
「小部屋に戻ります」
用事が済んだので小部屋でゆっくりします。この執務室は、イケメンのお兄さんばかりです。アルを筆頭に美形の人が多いです。顔で選んでる?と思える人数がこの部屋に入って来ます。
「殿下、この書類に目を通して下さい。早めに処理しないと大変です」
「ああ、分かった。そこに置いていてくれ、これが終わったら見よう」
「殿下、こちらも早めにお願いします」
仕事の切れ間なく働いています。この小部屋で、ゆっくりしお菓子を食べていたら気の毒になりました。小部屋を出てアル様の所に行きました。
「アル様、手伝ってあげようか?」
一応言っておかないと、小動物令嬢の、気の弱い私には耐えられない環境です。
仕事が、できる訳ないですが気持ちだけもらって下さい。
「それでは、私の膝の上に乗って書類を捲ってくれ」
え?膝の上!乗らないとダメなの?アル様に期待した目を向けられてます。私、幼児では…冷や汗が背中を流れて行きます。全部の視線が、私の方に向いて返事を待ってる状態です。はい、と答えるしか道が残ってません。アル様以外の皆さんの顔が…はい、と言うんだー!みたいになってます。言いますから、その顔やめてください!
「えーと、はい…分かりました」
男の人の膝の上に乗ったのは、お父さんくらい?子供頃なら気にしないんだけど。
無駄に顔のいい、アル様の膝の上は遠慮したかった。
顔を、引きつらせながら仕方ないのでアル様の横に行きます。
「頼んだよ。ラナ」
ひょいと持ち上げられ、膝の上に乗せられました。柔らかいと思っていましたが、アル様の膝の上はもの凄く硬かったです。筋肉ですか?お尻が痛くなりそう。
「はい、頑張ります」
見ていると、凄い速さで書類を処理してます。捲るスピードが加速してます。
捲っても捲っても終わらない。アル様には悪いですが飽きました。
体力ない小動物令嬢です。お尻も痛くなりました。
「ありがとう、もういいよ」
手が少し疲れました。毎日やってるアル様は凄いです。今度は口出ししないで、おとなしく小部屋にいようと思います。
お尻が痛かったので、無意識にさすっていたら皆に注目されていました。恥ずかしかったです。
「ラナ様、どうかされましたか?」
アル様のお付きの人に聞かれました。お尻が痛かったと言うのは言えないです。
「なんでもないです。大丈夫です」
首を横に振って否定します。皆がじーっと見てくるので居心地悪いです。そんな事追求されても言えません。勘弁して下さいと、切実に思う私は悪いですか?
やっぱり小部屋に素早く逃げて、隅に隠れました。
ドアの方が、騒がしくなったと思うと勢いよくドアがバーン!と開きました。
「アルフォンス殿下!どう言う事ですの!私を無視して、妃を娶るなんて酷いですわ!」
小部屋の窓から覗くと、グリングリンのドリル頭の令嬢が、仁王立ちでアル様に抗議してました。気の強い令嬢だ。関わり合いにはなりたくない。隠れておこう。頭もお尻(童話を思い出した)見えない様に隠れよう。
「そうですよ!我が姫を断るとは、正気の沙汰とは思えませんね」
姫と呼んでますから、どこかの姫様ですか?ドリル姫(名前がわからないから心の中で、あだ名を付けた)の、お付きの人の声が聞こえます。強気ですが、どうしてそんなに自信があるのかな?
綺麗だけど面倒臭そうな人だと思います。私は関わり合いにはなりたくない。
本当にそう思ったので、静かに隅で隠れている小動物令嬢ラナでした。




