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かくも美しきヒトの世は

どこまでも穢れなき蒼

作者: 牛方巴

どこまでも穢れなき人間など、この世にいるのだろうか


この時期、この歳になると、皆がドロドロしてくる。

心の中にある何かを上手く出すことが出来ないせいで何かが大きくなっていき、それがドロドロを生み出している。

僕は、クラスメイトの万引きや、いじめの現場を何度も見た。みられていないやつは、大体ひきこもり。でなきゃ勉強馬鹿。



でも、君は違った。


君は、万引きなんてしなかった。いじめも、ゆすりもしなかった。引きこもりでも、勉強バカでもなかった。それができない体でも性格でもなかったのに、しなかった。


きっと君には、みんなにある何かがなかったんだろう。

他のものは、何一つ不足していなかったから。


僕と君は、常に行動を共にしていた。だから、君が別の場所で何かをしていたということは、まずありえない。


ある日、いつも通り僕が君を迎えに行くと、もう君はいなかった。

他に一緒に帰る相手もいないので、僕は遠回りをして帰ることにした。


いつもは通らない球場裏公園に差し掛かった時、誰かの声が聞こえた。


それは、苦しそうな声だった。それに、何かを殴る音が重なる。


「もう…うっ…や、めてくれ…ぐはぁっ」


僕は、陰に隠れていた。そこで、音を聞いていた。

助けることもせず、ただ自分だけは被害を受けないように。



しばらくして、音が止んだ。

殴られていたやつは、逃げ出したようだ。

僕は、相変わらず隠れていた。


「あ、ありがとう…ございました…」


まだまだ青い夏の空に消え入りそうな声が聞こえてきた。


「いいよ…見苦しかったし…」


その声

その一言が、僕をその場に釘付けにした

聞きなれた声

どこにも穢れのない声





人間は、どこかに穢れを持っている

いいことをしたとしても、その裏には穢れがある。犠牲がある


何の罪のない空は

どこまでも穢れなく蒼かった

分かりにくい部分があったかもしれません

どうしてもそういう分になりやすくて

その辺はご勘弁ください

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