一輪に咲く花姫と一の騎士 ep.1
一輪に咲く花と一の騎士
初恋への余興編
私の名は優三郎。ただの見習い騎士。
私は姫様へ1通の手紙を送ろうとしていた。
一の騎士が書いた愛の手紙である。
だが、私は思いとどまっている。
一の騎士が吐いた言葉が頭をよぎったのだ。
「いまじゃない。その時が必ずくるから。我慢、、」
私は姫様と一の騎士を遠くからいつも見守っていた。
知っているつもりでいた。
けれど何も知らなかった事に気づいたばかりであった。
今度は一の騎士の言葉を信じる事にした。
手紙をそっとしまい込み大事に保管した。
そんな出来事があったせいか、私の心は感化され、少しばかり昔の出来事を思い出していた。
あれは数年前、、、
回想
「私は恋を知らない、、、」
「愛した事も愛された事も、、、」
「友情とは違うものなのかな、、、」
その頃の私はそんな感情を知らないでいた。
とある日、友人である騎士が屋敷に訪れた。
そう、その約1年後に姫様から一の騎士という名を授かる青年だ。
この時はまだただの騎士。
友人はほどなくして言う。
「遠い異国に面白い女性を見つけた。」
「いや、探し当てたんだ!」
私は思う、、、
「いつもやってきては訳の分からない事を。」
そして再度思う、、、
「きっとまた誰かに騙されてるんだ、、、」
友人は騙されやすく、いつも利用され続けていた。
そしていつも傷ついていたのを影から見ていた。
だからなのか、友人は嘘が大嫌いである。
誠実さを求めていた、、、
そんな友人が私に再度問う。
「お前さ、恋してみたら?」
「いいの?何もしらないでこのまま生きていくの。」
「人を好きになった事がない。」
「好かれた事もない。」
「だから分からない、、、」
「えっ?俺もないよ?」
、、、、、、
沈黙が静寂で満たされる
私は一言
「だって、今までお付き合いしてきた女性は?」
「いつも最後は嘘で騙されてきた、この世界は嘘でまみれて汚い。」
「けれど、俺はいつも本気だったよ。」
「そのときの感情は素晴らしいものだ。」
私は友人の話しを聞きながら、黙り考え込む。
すると友人は、、、
「もう、お願いしてきたから、、、」
「楽しみに待っててね!」
「えっ?」
そうであった。友人の行動力はおよそ人の数倍優れていた。
天性のモノだろう。
ただ残念な事に彼はいつも人の意見に耳を傾けない
。
己が正しいと思い込む節がある。
でも何故か決まって神は毎回この男の行動に正解の道標を授けるのであった。
騎士としての職務を、、、富と名誉を、、、端正な容姿を、、、しかし代償に愛情を失って。。。
私は思う。
「神よ、不公平ではないか、、、私にも何か、、、私には代償が多すぎる、、、」
私の不満をよそに友人はそれだけ言い残し去っていったのだった。
そして私は再度思う。
「友人よ、誰に何を頼んだのだ、、、」
「言葉が足りなすぎる、、、」
その数日後、屋敷に再度友人が尋ねてきたのである。
「この前話した面白い異国の少女、、、」
「アコンダスっていうお人なんだ!」
そして再度言う
「アコンダスから友人を紹介させてもらった。」
「オマエの事は既に報告済みだ。了承も得た。後は頑張れ!笑」
そう言い残し去っていった。
私は神に再度問う。
「意味が分からない。」
「勝手に私の人生を左右させてしまうこの男は一体何者なんですか、、、ご慈悲を、、、」
「異国の少女、アコンダス、、、」
「それしか情報がありませんが、、、」
けれど、私は何故か微笑んでいた。
なぜなら、、、、
回想
私は幼少期の頃、歳下の友人しか友達が居なかった。
平凡、勉強と本だけは好きだった。
生意気にも小説を書いて1人で楽しんでいた。
ただ、一度、その小説をコッソリ盗み馬鹿にしてきた同学年のグループがいた。
「お前、気持ちわりぃ。 何これ?」
私は恥ずかしくなり、その小説をぐちゃぐちゃに丸め、ポケットにしまい込み、俯いた。
それから私は小説を書かなくなった時期がある。
周りに人が居ないか疑い深くなった。
今もそうである。
信頼できる人にしか見せない。
けれど本当に周りに人がいないか心配になる時がある。
また馬鹿にされてるんじゃないかと、、、
そして私は夜が好きである、、、
遅ければ遅い時間帯ほど、、、
だって、周りに人が居ない、、、
でも、私は今もペンを握り小説を書いている。
友人は私の小説を毎回面白いと褒めてくれる。
また見たいと、感想をくれる。
だから今も書き続けているのだ。
私の人生に楽しみを与え、良き方向へ導いてくれた人である。
そんな事を思い出し、微笑んだのである。
話しは戻り、、、
「異国の少女から紹介されたお人、、、」
「接し方が分からぬ、、、何をどうすれば、、、」
「まずは挨拶、そして名前、年齢、あとは、、、
わからない、、、」
そうこう悩んでいる間にお相手から連絡が届いた。
この時代には未来呪具スマートフォンなるものが存在し、手紙を、声を、瞬時に相手へ届ける事が出来る魔法の呪具である。
ピロン
1件の通知が届いた。
「初めまして、私はアコンダスの友人、琴の葉と申します。」
「初めまして、私は優三郎と申します。」
「何てお呼びしたら? 」
「それと私、敬語より友人と話すように普通にお話しがしたいです。その方が早く仲良くなれる。」
「優三郎で結構です」
「分かりました。頑張ってみます。」
「、、、敬語だよ?」
こんなやり取りから優三郎と琴の葉は次第に仲惹かれ合い、親密な関係までに発展していくのであった。
そう、それはまるで初恋の余興、、、
甘酸っぱくも切ない、一瞬のひとときを、、、
何も知らない無垢な二人、、、
こんな日がずっと続くと思っていたあの頃、、、
完。




