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【後編】オランダ洞窟の真実 ~徐福と大和朝廷~  作者: 如月妙美


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第七章 現代調査団の派遣と科学的検証

 奏上文の真偽を確認するため、日中共同の学術調査団が組織された。目的地は、問題の「オランダ洞窟」がある南国離島である。調査団長には花城教授が就任し、中国からは劉教授、さらに考古学、人類学、地質学の専門家十五名が参加した。

 しかし、島への調査許可を得ることは容易ではなかった。島の住民代表である村長の宮城氏は、外部調査団の受け入れに強い懸念を示した。

「あの洞窟は我々にとって聖域です。学術調査とはいえ、軽々しく立ち入ることは許されません」

 宮城村長の反対の背景には、昭和初期の軍事調査で多くの犠牲者が出たという苦い記憶があった。また、最近では心霊研究家や好奇心旺盛な観光客が洞窟に近づこうとすることが増え、島民の警戒心は高まっていた。

 花城教授は村長との交渉を重ねた。「我々の目的は、単なる好奇心ではありません。この島の歴史的価値を正しく評価し、適切に保護するためなのです」

 最終的に、以下の条件で調査が許可された。 一、調査期間は一週間に限定 二、島の神女による祈祷と清めの儀式を実施 三、洞窟内の遺物は一切持ち出さない 四、調査結果の公表には島民の同意を要する

 令和五年九月、調査団は島に到着した。台風シーズンを避けたとはいえ、島の気候は本土とは大きく異なっていた。強い陽射し、高い湿度、そして海からの潮風。研究者たちは、二千年前に徐福一行が感じたであろう南国の風土を身をもって体験することになった。

 調査開始前に、島の最高神女である新城のろによる清めの儀式が執り行われた。白い装束に身を包んだ新城のろは、ガジュマルの大木の前で古い言葉による祈りを捧げた。その祈りの中には、明らかに古代中国語の音韻を残す単語が含まれており、調査団の言語学者たちを驚かせた。

「この祈りの言葉は、確実に古代中国語の影響を受けています」

 ハーバード大学のミラー教授が興奮を隠せずに報告した。「特に『アマミキヨ』という言葉は、中国古語の『天水来』の音変化である可能性が極めて高い。また、さらに遡れば、「アヌンナキ(天より来る人々)、すなわち、「天視来世」が語源である可能性さえある。おそらく、秦の始皇帝と徐福はユダヤの秦氏を祖とする親族であり、創造主ENKIのことを知っていたのだろう」

 調査団は最新の機器を持参していた。地中レーダー、水中カメラ、音響測定器、空気成分分析器など、昭和の軍事調査とは比較にならない装備である。しかし、それでも洞窟への接近は慎重に行われた。

 アダン古道を歩きながら、花城教授は奏上文の記述を思い出していた。「アダンの木の根元にヤドカリが集まり…」まさにその通りの光景が目の前に広がっている。ヤドカリたちが砂浜を忙しく駆け回り、ハイビスカスの花が潮風に揺れている。

 洞窟の入り口に到達した時、調査団全員が息を呑んだ。確かに、ここから不気味な音が聞こえてくる。風の音とは明らかに異なる、人工的に変調された音響効果である。

「これは…徐福が設計した音響装置が、二千年経った今でも機能している証拠ですね」

 音響工学の専門家が測定器で分析した結果、洞窟内部の特殊な構造により、自然の風音が増幅・変調されていることが確認された。まさに奏上文に記された「魑魅魍魎の声」の正体だった。


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