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引きこもり令嬢〜妹も私の荷物ですが、何か?〜  作者: 雪鐘


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15/17

決めました。

「……オクタヴィア嬢、もう一度、よろしいでしょうか?」

「……!」


 カーマイン様の熱の篭った視線が自分の不安がる視線とぶつかった。

 どきりと跳ねる心臓は何かの合図のようで、同時に何かを覚悟しなければならない気に駆られる。

 来る。

 そう分かったから、肌はピリピリと何かを訴えた。


「私――カーマイン・デルモントはオクタヴィア・アトレイシア嬢との結婚を希望します。その為ならば、貴女が望むすべてを叶えます。貴女が欲する全てを捧げます。私と、結婚してくださいませんか?」

「……っ、……わ、私の我儘を聞いてくださるなら、受けますわ」


 予想通りのプロポーズは、予想を超えて籠った愛の言葉に眩暈がしそうになって。

 でも、これ以上断ると私の心が本当に壊れてしまうんじゃないか、という気さえしてしまった。

 目が合えば動悸がするし、触れればどうにかなってしまうんじゃないだろうか。

 そう思ってしまうくらい、今の私は恋に溺れてしまっている。

 

「――ッ、あの、オクタヴィア嬢……いえ、えっと……」

「?」


 カーマイン様の顔が伸びて、頬が吊り上がる。

 嬉しかった、でいいのかしら?

 

「えっと……早速、ですと節操がないでしょうか。その、ヴィア、とお呼びしても?」

「ヴィア?……あっ、愛称ですかっ?」


 手で顔の下半分を隠すカーマイン様は照れながら、俯き加減の上目遣いでじっと私を視線に捕らえた。

 何を言いたかったのか理解してしまって、つい私まで顔が熱くなってしまう。

 ずっと熱いこれ以上熱くなると私はどうなってしまうのかしら?

 いざ呼ばれると……私も愛称で呼ばなくてはならないように感じた。


「えっと、じゃあ……か、カーミーで如何でしょう?」

「――っ」


 ひねり出した愛称を口にすると、カーマイン様は胸の辺りを強く握りしめて蹲ってしまった。

 だめだったかしら。

 それとも何か持病があった?

 心配になって「ごめんなさい、カーマイン様」と声をかけると……再び顔を起き上がらせる。


「いえ、カーミーで」

「え?」

「カーミーと呼んでください。愛しています」

「んなっ」


 愛称は悪くなかったみたい。

 悪くなかったみたいだけど、どうして二の句に愛の言葉を囁くのだろう。

 私が絶句してだめになりそうだ。


「ゴホン!その、どうせなら、こう、触れてみたいのですが……本当に節操無しになってしまいそうなので、今日はやめておきます。ヴィア、次は挨拶として正式に訪問させていただいても?」

「も、勿論ですわ……!お、お待ちしておりますっ」


 テーブルを挟んでいるのに真横に居るような距離を感じてしまう。

 この距離ですら心臓の音が響いてしまうんじゃないか、と心配になるくらい胸は高鳴って。

 次会う日が、楽しみになってしまった。

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― 新着の感想 ―
急に甘酸っぱくなりましたねw 初心なやりとりにこちらも身もだえてしまいそうですw
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