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【第08話】冒険者登録②

「ユージさん、お待たせしました」


「いえ」


受付けのお姉さんと俺は、ちょうど受付けと売店の真ん中あたりで落ち合った。


「ではこちらへどうぞ」


最初に受付けをしてくれたカウンターへ戻る。

カウンターの上には


「応対中

空いているカウンターへどうぞ」


という札が置かれていた。


お姉さんがカウンターの裏側からやってきて、その札をとって、机の下に移動した。


「こちらがユージさんの証明書になります、どうぞ」


そういってお姉さんが1枚のカードを渡してきた。


カードの左上にはひも通し用の穴、

そのすぐ下、左には大きくDと書かれていて、その右側に以下の3つが書かれていた。

ユージ☆

そうりょ

ツクシ王都ギルド


「通常は登録したばかりだとFランクからのスタートなんだけど、

 どこか大きな道場や塾の推薦状だったり、今回みたいにランクの高い魔物の魔石を提出して貰ったらそれに合ったランクで登録されるの」


「てことは、2段上ってことですかね」


「そうね」


「この名前の横にある☆は何ですか?」


名前の横に、少し薄く☆マークが記載されていた。


「☆はギフト持ちの意味ね。いろんな優遇や免除なんかに使われることが多いんだけど、

 例えば危険な場所に入るためのランクが足りてなかったときに、☆があると入れてもらえたりとか。

 でも、有事の際、例えば強い魔物が出たときに、協力をお願いすることもあるから、そこは義務みたいなものになっちゃうんだけど・・・」


こんな子供に、と申し訳なさそうな顔をする。


「大丈夫です、戦う力だったら、お手伝いくらいならできると思うので」


「まあ」


「この☆で優遇してくれるのって、お店とかは関係ないですよね」


「うん、それはないわね、それをわかっているのもギルドの職員か、兵士さんぐらいよ。

 あ、ギルドと言えば、通常自分のランクの1つ上までしか受けられないんだけど、

 ☆がある場合は2つ上の依頼まで受けられるようにもなるわ」


「適正がギフト分上がっているのに、対応できるってことですね」


「そうそう。ユージ君は賢いわね。

 ギフト持ちの子はそうなのかしら」


「ギフト持ちの子でも、問題児はいるわよ~」


「そうなの?」


隣のカウンターで暇をしていた受付けのお姉さんが話に入ってきた。


「ほら、氷を使うあの男の子よ」


「ああ、ギルドにあんまり来ない子ね」


「報告とか、仲間に全部やらせてて来ないの。まあ態度が最悪だからその方がいいんだけどね」


「へぇ・・・あ、ごめんなさい」


「あら、ごめんなさい、続きどうぞ」


そういって隣のお姉さんは顔をひっこめた。

ふと、お姉さんたちの後ろを見ると、眉を寄せた男性の職員さんが二人をじろじろと見ていた。


ちょっとした情報が入手出来たので俺としては良かったけど、

このままどうでもいい話が始まったら困っていただろうから、男性職員さんには感謝の念を送る。


「こほん。

 まずは魔石の提出ありがとうございました。

 関係の結果、邪猿童子(じゃえんどうじ)の魔石で間違いないことが確認できました」


お姉さんは10cm×15cmの革のトレイに載せた魔石をこちらへすっと差し出してきた。


邪猿童子(じゃえんどうじ)の魔石4つと、ギフト持ちということで

 今回Dランクにさせて頂きました。」


「ありがとうございます」


「冒険者登録が完了しましたので、この魔石はこちらで買い取ることも可能ですが、どうしますか?」


「買取お願いします」


「はい。では魔石1つ辺り12,000ゼニーで、合計48,000ゼニーですね」


(4万8千ゼニー!?)


お姉さんは魔石が乗った革のトレイをすっと自分側に戻し、代わりにお金が乗ったトレイをこちらに差し出した。


お金は紙幣だった。

1万ゼニー札4枚と、5千ゼニー札1枚と、千ゼニー札3枚だ。


(こんな大金、前に親父が生活費を母さんに渡すときに見たぐらいだ)


「あ、ありがとうございます」


俺はお金を受け取ってお財布に入れようとする。


「あ、大きなお金なんだけど、持ち歩くのが怖かったらギルドカードに入金することもできるからね」


お姉さんは机の上に置かれていた鏡で後ろから見てくる男性職員が居なくなったのを確認して、言葉を崩してそう言ってきた。


「あ、それお願いします」


その話は聞いたことがあった。

落とすかもしれないから、余分なお金はギルドカードに入金しておいた方がいい。


「あと、ギルド内の売店と、王都にある大きなお店だったらお金を引き出さなくても、ギルドカードのままでお支払いもできるから便利よ」


俺はお姉さんと相談し3千ゼニーを財布にしまい、残りを入金することにした。


「じゃあ、4万5千ゼニーを入金します。 ・・・主任!」


そういうと後ろからさっきとは違う男性職員さんがやってきた。


「4万5千ゼニーを入金します。」


「わかりました」


お姉さんはカウンターの上にあった魔道具をいじり始めた。

カウンターの上に置かれたままだった俺のギルドカードを取り、機械の上に乗せる。


目の前の液晶に以下の表示が現れた。


-------------------------------

残高:0

-------------------------------


お姉さんが反対側にあるダイヤルをくるくるとまわして、45,000となったところで止めた。


「主任」


「はい、大丈夫です」


「ユージさん、こちら、お間違えはないでしょうか」


-------------------------------

残高:0

入金:45,000

-------------------------------


「大丈夫です」


こちら側にある液晶に表示された金額を見て俺も答える。


「では入金と」


チンっと小気味の良い音がして、液晶の数字が変わった。


-------------------------------

残高:45,000

-------------------------------


主任は数字を見て頷いてからカウンターの後ろに帰っていった。



「はい、手続きは以上よ。

 最後にギルドの規則を口頭で説明する部分があるから、もう少しだけお時間いいかしら?」


「大丈夫です」


お姉さんは冊子(さっし)を開いてこちらに差し出してきて、赤ペンでアンダーラインを引いたりしながら

重要な部分の説明をしてくれた。


基本的にはまじめにやっていれば何の問題もないような、子供に聞かせるような内容だった。


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