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【第66話】アルク村まで歩く!

次の日


広間には5人の騎士さんが俺を取り囲んでいた。

そのうちの1人は立派なピッケルを、更にもう1人は結界装置を、

そして更にもう一人はちいさなガケを下りるためのハシゴを抱えている。


「それではみんな、気を付けてね」


「はい、では行ってきます」


◇◆◇◆◇◆


俺は前日に作った結界装置にテレポートした。


今日は吹雪はなかったが、海からの風が強い。

ビュウビュウと風の音が聞えている。


さっと騎士さんが散開する。

ロストデッドはまだがけの下にだけ居た。


こちらに気付き手を伸ばしている。

あちらも平常運転のようだ。


「よし、問題ないな。仕事にかかるぞ」


「「「おう!」」」


騎士さん達ががけの上から遠距離攻撃でロストデッドを一掃する。


せん滅されたことを確認後、素早くはしごを設置、みんなですべるように降りていく。

俺もハシゴを抑えてもらいながら降りる。


下に降りてみると他に魔物は居なかった。

風が強いぐらいだ。


「よし、結界装置を置いたぞ」


「はい、では・・・」


俺が魔物除けの結界を張ると、それが呼び水になって約10mほどの強固な結界が展開された。

そして騎士さんがガコリと結界装置の上に雨や土埃除けの屋根をはめ込んだ。



「よし、ここまでは問題ないな。みんな問題はないな?」


「「「はい!」」」


「ではユージ、聖女リナリーをここに」


「はい」


俺はテレポートで一度戻り、聖女リナリーとその護衛を連れてきた。


「立派な神殿ね、これが闇の神殿かぁ・・・」


「聖女リナリー、お願いします」


「ええ」


聖女リナリーが祈りをささげた。


急に耳が聞こえにくくなった。

驚いて周りを見るとみんなが同じようだった。


「つばを飲み込め、そしたら治るぞ」


後ろにいた騎士さんがそう言った。

つばを飲み込んだら治った。


「これでしばらくは結界はないわ。

 でもしばらくしたら結界が復活するから」


「分かりました、おい、レイジ」


「了解」


先に斥候(せっこう)のレイジさんが中に入った。

斥候さんはすぐに出てきた。


「入ってすぐにそれらしい祭壇と、宙に浮かぶ黒い石が見える」


斥候のレイジさんに連れられ数名の騎士さんと一緒に入った。


中は教会のようになっており、長いイスが並んでいる。

木のイスは全く劣化しておらず、現役で人が座れそうな感じだ。


そして10mほど先に祭壇があり、確かに黒い石が浮かんでいた。

大きさは1メートルほどで、しずく型をしていた。


「やってみます」


「頼む」


俺は右肩に手をやりライフルを掴み、実体化させる。

左手を添えてスコープを覗きこみ狙いを定め、撃つ。


タァン!


ガッシャーン!


硬そうな黒い石はあっけなく割れ、大量の破片が散乱した。

砕けた黒い石、真っ黒すぎて水晶に見えないものは床でゆっくりと黒い霧になっている。

ロストデッドと同じ色のモヤだ。


「一応、破壊できましたね」


「やったな。 ・・・さてこれでいいのかな?」


「聖女リナリーを呼ぼう」


すぐに聖女リナリーがやって来てにっこりと笑った。


「よかった。では帰還して報告だな」


騎士さんは床で黒い霧になる黒い石を見つめながらそういった。


◇◆◇◆◇◆


外に出ると騎士さんがこちらに気付いた。


「やりましたね、(とら)えていたロストデッドが消えました」


「おっ、あれでよかったらしいな」


俺は騎士さんから強く肩を叩かれた。


「いてて・・・よかったです、帰還しますか?」


「そうだな、おいみんな作戦は終了だ、帰るぞ!」


「「「はい!」」」


◇◆◇◆◇◆


数日後


ヒナの大陸のあちらこちらへ散らばっていた兵士さん達から、

ロストデッドが完全に消滅したことの報告があった。


ロストデッドによるヒナの大陸の危機は脱したと判断され、

これから国民はもちろん王族、貴族が順次戻ってくるらしい。


人口は3分の1になったからすぐにとはいかないけど復興が始まる。


俺もテレポートで何度かお手伝いすることになった。

南のエリアは船で間に合うが、北エリアへの物資、食料などの搬入と人の移動をサポートした。

ちなみにこれは王様からの直接の依頼だ。


そして復興の準備と同時に、

今回の闇の神殿の情報も各大陸の王族へもたらされた。


◇◆◇◆◇◆


半年後


俺はエリナ姫と、一緒に住んでいるヒナの大陸の王城の離れにあるお屋敷の前で、護衛騎士さん達と対面していた。


「私この国にいても、もう特にやれることがないから、自由にしていいって言われたの」

「まあ、一度ユージの両親にも挨拶しないといけないよねって事で」


数日前にそんなことを言ってきたエリナ姫。

その結果2人でうちの実家に挨拶に行くことになった。


ただし、テレポートは使わないで。


エリナ姫の希望で、俺がここまで歩いてきた道を歩きたいと言ったからだ。


「半年くらいかかるかも」と言ったがそれでもいいとのことだ。

10日に1回、この離れの屋敷に戻ること、何かあったらすぐに戻る事を条件にその許可も下りた。


という事で俺とエリナ姫は今から徒歩でツクシ大陸のアルク村まで行く。


「行こうか」


「うん」


俺とエリナ姫はツクシ大陸のアルク村までの道のりを歩き始めた。


~fin~

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