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【第62話】ヒナの大陸では

ユージが居なくなってから数日後、私たちは(ふもと)の拠点へ戻ってきた。


私は王城まで待つつもりだったけど、

トップが全員が揃っている今、すぐにでもはっきりさせた方がいいと言われ

下山してすぐだったけど、主要なメンバーに集まってもらっている。


室内には私エリナと、賢者ジン、各騎士団の隊長、副隊長が居る。


「『神託(しんたく)』」


聖女リナリーがスキルを発動し、体が黄金色に発光した。


しばらくすると顔をゆがめたり、驚いたりし始めた。


「え? じゃあ・・・ええっ!?」


みんなでその様子を黙って見守った。


その後も口を閉じたり、更に驚いて声を出すというのを何度か繰り返した。


「はあ・・・ありがとうございました」


そういって目を閉じたままの聖女。

体から光が消えてからもそのままじっとしていたがやがて大きなため息をついた。


「はあ・・・」


「あの・・・・なんと?」


耐え切れず私が聖女リナリーへ言葉を掛けたその時。


コンコン!


「・・・誰だ?」


ドアに近い副隊長のロッドがドアまで行き話を聞く。


「本当か!? くっそ・・・」


「それでは他に何か情報が入りましたらお知らせします」


「分かった」


バタン



「ロッド、どうした?」


「大変です、ロストデッドが、ヒナの大陸のあらゆる場所から出現していると報告が」


「え?」


「なんだと?」


「はぁ・・・」


聖女リナリーがため息を吐きながら目を開けた。


「何か知ってるの?」


堪らず聖女リナリーに少し強めの口調で聞く。


「怒らないで。

 まずはえっと、どうやらユージ君のギフトで、出現場所を1か所にしてたみたい」


「どういうことですか?」


「上位存在の1人がね、このヒナの大陸でのイレギュラーな魔物を予測して、

 ユージ君のギフトの一部の力を使って、出現場所をヒナの大陸の100ある場所から、北の山奥の1か所に固定したらしいわ。

 そのおかげで逃げ延びれた人も多かったでしょ?

 特にこの大陸には、クリスタルの神殿があるから何とか全滅を防ぐ必要があったらしいわ」


「つまりユージのせいじゃないって事?」


「うん、ユージ君のせいじゃないわね」


「よかった・・・」


「「ううむ・・・」」


そのやり取りを見た隊長、副隊長が唸る。


「一応、ロストデッドのリポップを止める方法も聞けたよ。

 北の山の更に奥に闇の神殿があるらしいんだけど、

 そこが再稼働してしまったみたいだから、そこをなんとかすればいいみたい」


「・・・分かったわ。

 とにかく今は北にある闇の神殿を破壊することが優先」


「そうね、はあ、またあの道のりを行くのかぁ・・・」


◇◆◇◆◇◆


数日後


「エリナ姫、ちょっと厳しいですね」


「どうして?」


騎士団長が部下からの報告をまとめて作戦会議で発表をした。


「谷を越えてすぐの断崖絶壁のガケを上る必要があるんですが、

 岩が細かいブロック状になっていて、体重を掛けた部分だけがボロボロに崩れるんです」


そう言ってハンカチを机の上で解くと、5mmほどの正方形の石が沢山入っていた。

これがその時の石という事のようだ。


「それは・・・では迂回する必要があるの?」


「いえ、雪が深くて迂回もできません。天然の落とし穴のようになっていて、

 雪の下に穴が開いているところがあって、落ちた騎士の救助だけでかなりの時間を使ってしまいました」


「とりあえずは全員無事なのね?」


「はい」


「木の板で道を作るとか、山に土魔法で穴を掘りトンネルを掘るかなどの案を斥候(せっこう)が出しています。

 どちらにしろこのままでは進めないですね」


「そう・・・」


「「「・・・」」」


「まあ資材の搬入もありますから、一度みんなで確認して話をしましょう。

 で、エリナ姫だけではなくユージ君が帰ってきたらみんなで謝りましょうね」


沈黙を破る様に聖女リナリーがそういって話をまとめった。


「はい」


「ですね」


「うん・・・」


「じゃあ次は夕方に」


みんなが出ていき、聖女リナリーと2人となる。


「エリナ姫。

 早いとこ闇の神殿を壊さないとヒナの大陸がまたロストデッドでいっぱいになっちゃいますよ」


「そうね、もう時間がない」


「そう、最初から時間がない。

 でもいいこともあるでしょ?」


「・・・ええ、北の山からだけだったロストデッドのリポップが、ヒナの大陸全体になってるから、

 各所でのロストデッドの湧きがかなりゆっくり」


「そう。だったらもう行くしかないでしょ」


「そうね、早く片を付けて、ユージを探さなきゃ」


「そうよ、頑張りましょ」


「ええ」

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