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【第46話】「未開の地」開拓のための魔物の討伐隊⑥

俺は、初めて巨人の森で、巨大な昆虫型の魔物を倒した時のことを思いだしていた。


「あの時は確か・・・」


格闘家のレオンが、

ういうい~お前やれんのか~?やってみろよ~

みたいなノリで無理やり俺に攻撃をさせて・・・で、俺は特に何も考えるヒマも与えられずに攻撃をして、

1撃で倒せたことでホッとしたところもあって・・・あんまり印象に残っていない!


そのうち乗り越えられただろうけど、

あの時レオン達が居なかったら、少し時間がかかっていたかもしれない。


(まあ、今回の問題はその先にいるっていう巨人達なんだけどね)


問題は、Bランク冒険者のレイさんの心も折れていた事だ。

観察眼も一級の斥候(せっこう)のレイさんは、

遠くから見ただけで太刀打ちができないって一瞬で分からされたのだ。


(こうなったら、もうこの作戦がどうなるかわからないな)


「ユージ君、商店の人たちを送ってほしい」


「・・・あ、了解です」


思考から現実に戻ってくると、いつの間にか片付けが終わって商店街の人が並んで待っていた。


「お、お待たせしました」


「ユージ君、大丈夫かい?なんか、いろいろあったみたいだけど元気出しなよ?」


「ありがとうございます、大丈夫ですよ」


「明日も朝から食事作ってくるから、よろしくな」


「はい、助かります」


「元気出せよ、ユージ少年」


そういってサンドイッチ屋のおじさんも肩を叩いて来た。

俺はこの人たちに完全に顔も名前も憶えられてしまった。


俺は気を取り直し、おじさん達をテレポートで王都へ送った。



◇◆◇◆◇◆


ぎゅわ~ん・・・ぼしゅ!


「っとっと。おお帰ってきた帰ってきた」

「うん、無事帰還」

「いや~空気が違うねぇ」


慣れたものだ。

何気に一番テレポートに適応しているのがこの3人かも知れない。


「じゃあ、また明日ここでな」

「じゃあね、まいど~」

「じゃあな」


「はい、明日もよろしくお願いします」


3人を見送っていると、後ろから誰かが近づいて来た。

振り返ると受付嬢のココさんだった。


「ココさんお疲れ様です」


「ユージ君もお疲れ様。今オルガンさん達、個室で待ってるから、こっちへ来て」


「あ、分かりました」


俺はココさんに案内されてギルドの奥にある個室に入る。

中にはオルガンさん、レイさん、豪華なバッチ・・・のギルド長が眉間にしわを寄せて座っていた。


「おお、ユージか」


レイさんが眉間のしわを解いて話しかけてきた。

朝とは打って変り、いつも通りだ。

もう持ち直したのか?Bランクって・・・すごい?


「お疲れ様です、今商店の人を送ってきたところです」


「ご苦労様、問題はなかったかな?」


「冒険者の皆さん・・・って俺たちもそうなんですけど」


「いいよ、伝わるから」


オルガンさんは笑いながらそう言った。


「はい、彼らの要望で、今1つ拠点を戻った所にいます」


「そうなのか・・・まあそれで安心できるならって所か」


「巨人は普通、あの森からは出ない。

 ・・・まあ、伝承によると出る描写が時々あるから困るんだがな」


ギルド長が困ったように情報を添える。


「巨人の森から出るんですか?」


「伝承によるとな。

 巨人は森から去った、とか、怒った巨人達が森から出て王国を破壊しつくした、とかそんな感じだ」


レイさんはやれやれという表情をして教えてくれた。


「なるほど・・・やばいですね」


「そうだな、じきに戻ってきた冒険者達からの話で、

 巨人の話でもちきりになるだろうな。

 そうしたらこの王都から人がハルベンに流れて行って・・・か~」


(・・・ん?)


俺はあることに気づいて訂正を入れた。


「冒険者の皆さんが怖がっているのは巨人ではなくて、

 でっかい昆虫型の魔物にですけど」


「ん? あ、そうか」


「そうだったな」


「なんだ?そうなのか?」


オルガンさんがギルド長に当時の説明をした。


「なんだ、巨人にビビって前線を下げたのかと思ったわ」とギルド長。



「・・・作戦は終わりなんですか?」


「ああ、これ以上は進まないことになった。

 ちゃんと成果も出ているしな。

 今後は見つけたダンジョンまでの道を整備したり、巨人の森へ行かないように柵を建てたりって感じだな」


「村を作るんですね」


俺はテーブルに置かれた地図を見てそういった。


「そうだ。ほら、なんて言ったっけ、あの洞窟を超えて行った先にあるあの町・・・」


「ラティスの村ですか?」


「そうそう、それだ。あんな感じの要塞みたいな村を作る」


「おお~」


「何がおお~だよ」


レイさんが苦笑してそういった。


「いや、懐かしくて。

 村と言いつつ要塞、村人0人の村ですね」


「そうなるね、がんばってくださいね、ギルド長」


「うぬぬ・・・どう人員を配置すればいいんだ・・・」


「そこはばちっと決めなくてもいいだろ、交代とかさ」


レイさんが適当な感じでギルド長にアドバイスを送る。


「まあ、そうだな。事情を説明してから希望者を聞いて・・・って、そうだユージ、少しだけ話いいか?」


「いいですよ」


「実はな・・・・」



◇◆◇◆◇◆


俺はギルド長から話を聞いて、指名依頼を受けた。


これの成功報酬は、ランクBへの昇格の確約だ。

後はお金ももらえるらしいけど、額はこれから決まるらしい。


俺はランクBだけでも儲けものだと思い依頼を受けると伝えた。

俺からしたらとても簡単な依頼だったからだ。


「さて、ではそろそろ我々も前線に戻ろうか」


「だな」


オルガンさんがそういい、レイさんも椅子から立ち上がる。

レイさん、完全に立ち直っている。強い。


「ではギルド長失礼します」


「うむ、ご苦労」


『テレポート!』



◇◆◇◆◇◆


ぎゅわ~ん・・・ぼしゅ!


「とと・・・」


オルガンさんがたたらを踏む。


「さてさて、俺のテントはどこだ~?」


とレイさんが周りを見回す。


「レイ!」


「ララか!」


「ユージ君、お兄さまもおかえりなさい」


「ただいまアリア」


「・・・お? もしかしてみんな起きていたのか?」


「そうよ、今後についてみんな気になってるんだから・・・」


未開の地の拠点の1つに戻ってきてみたら、冒険者全員が起きていた。

オルガンさんは少し考えてから口を開いた。


「みんな、王様と話をして来たよ。

 今回の作戦はこれで終わりだ、明日の朝、帰ろう」


ざわり、どより。


「えっ終わりなのか?」

「帰れるのか・・・」

「よかった・・・」


いろんなところから安どの声が聞えた。


「あと一応言っておくけど、あの虫型の魔物は、あの森を出ないから安心してくれ」


そういうと、2回目のざわめきが起きた。


「そうなのか!」

「まあ普通に考えてそうだとは思ったけど、それが聞けて良かったよ」

「安心だな」


冒険者達にすこし笑顔が戻った。


「えっとオルガンさん、今回俺たちが見つけたあのダンジョンはどうなるんですか? 山とかにあった」


冒険者の1人が手を上げながらオルガンさんに質問をした。


「もちろん、スタンピードが起きないように管理しないとねって話にはなってるよ」


「俺、あのダンジョンまでだったら来れます」


「本当かい?」


「俺もあそこまでなら」

「ちょっと王都からは遠すぎるけどな・・・」


「ありがとう、実は、あのいくつかあるダンジョンのちょうど真ん中りに、

 ダンジョンアタックをやる人向けに、便利な冒険者用の村を作ろうって話も出ているんだ」


「村を新しく作るのか」

「ギルドも来るのか?」


「うんギルドも来るし、武器防具、道具屋も来る。

 あのダンジョンを攻略してくれる人は貴重だからね。

 そういえば、ご飯も王都にくらべると少し安くしないとなって、ギルド長が言ってたよ」


「おお」

「王都より安くなるのか・・・」


「うん、節約しながらお金を貯めたいならチャンスになるかも。

 ただ、まだいろいろ調べることがあって時間はかかるんだけど、

 安全なことが分かったら、あっという間だと思うよ」


「おお~」

「それいいな」

「今のダンジョン飽きてたんだよ」


なかなかいい反応だ。

ベテランのオルガンさんがいい感じの説明をしたのも後押ししてる。


ちなみに、巨人問題だが、実はそれはほぼ解決している。

これは王家からの情報だったのだが、巨人は花を踏まないらしい。


「巨人は花を踏まない」


え?と思ったけど、これは確定情報らしい。

理由は不明だが、昔から複数の場所で花畑を前に躊躇して引き返す姿が目撃されているらしい。

なので、あの森から丘くらいまで、おおよそ歩きで半日ほどの間に

大量の野生でも生きられる、いろんな季節に咲く花の苗を植えまくるという計画が決定している。


オルガンさんの「時間がかかる」は、苗を植え終わって根が定着したことを確認する期間でもある。

ちなみに俺が運搬役として、国とギルドから依頼を受けた。

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