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【第44話】「未開の地」開拓のための魔物の討伐隊④

未開の地への進行を初めて3日目。昼。

ようやく目の前に広がる草原から魔物が消えた。


今朝までは倒しても倒しても森の方から補充が来ていたが、それもなくなった。


(大体ご飯食べている間に元通りだったのに・・・)


俺は2階から未開の地を見下ろしながら確かな手ごたえを感じていた。

という事でようやく作戦が第二段階に移る。


「スタンピードの発生地点はあの山の中腹だ。

 あそこに1つ、ダンジョンがある」


指令室で斥候(せっこう)のレイさんがそう言った。


どうやらいくつかあるうちの1つを特定できたらしい。


「よし、ではそこはアリアたちに行ってもらおう。

 中はすごいことになっていると思う、一気に行こうとせずに慎重にな」


「わかったわ」


剣士アリアさんと魔法使いのララさん、魔法使いのレンズさん、地霊士のジローさん

全員が範囲攻撃ができる構成だそうだ。


それ以外は今まで通り、地上にいる魔物を減らしつつ、次のダンジョンを捜索する。

司令塔のオルガンさん、そしてテレポート要員の俺は本部で待機だ。


俺は1日何回か王都へテレポートし、食料や衛生用品、ポーションなどを補充している。

それ以外は本部に戻ってきた冒険者たちの回復や、汗などをクリーニングで流してやっている。


こういう場所では衛生管理がうまくいっていないと病が流行ることもあるそうで、

最終的には士気も下がるから気を付けいると聞かされた。


後はポーションを王都で急ピッチで製造しているらしいが材料を集めてくる冒険者も最前線(こっち)にいるため

材料がなくなり今日明日で製造ストップ予定ともいわれた。


「俺、ホントアリアでポーション買ってきましょうか?」


「そう言ってくれてありがたいよ。

 そうだな、タイミングとしては王都でのポーション製造が完全に止まって、

 ここの在庫がなくなり始めてからお願いさせてもらおうかな」


「わかりました」



◇◆◇◆◇◆


その日の夜。


「アリア、帰って来たか」


「ええ、無事に攻略が終わって、帰還しました」


「さすがだな。けがはないか?」


「全部治ってるけど、HPポーション(小)とMPポーション(小)を何本か使ったから補充させて貰えればと思うわ」


「もちろんだ。みんなもありがとう、お疲れ様。4人は食事をとってくれ」


山の中腹にあったダンジョンは11階層だったらしい。

そして最下層の先にあった通路を抜けたら、なんと地上に出れたとか。


ただし一方通行タイプだったらしく、地上からはダンジョンへの再入場は出来なかったそうだ。


「すごい勢いで攻略されたんですね」


俺はアリアさんにそう話しかけた。


「私は近づいてきた敵だけを倒していたよ。

 それ以外は土の精霊術を各階層でジローが使ってダンジョンをマッピングして、

 最短ルートを行き、ララとレンズが交互に中級範囲魔法で焼き払っていた」


奥でララさんとレンズさんがにっこりと笑い、

ジローさんがマッピングしたと思われる画用紙帳の1ページを見せてくれた。


「なんだよそれ、迷路じゃねえか」


斥候(せっこう)でララさんの旦那さんのレイさんが、苦々しい顔をしてそう言った。


「ゴールへ一直線で進んだから、魔物はまだ残ってるはずよ」


「まあその辺はここに残る冒険者へのクエストにできるだろ」


「そうだな」


「それで、他のダンジョンって目星ついたのかしら?」


ララさんが旦那のレイさんに話しかける。


「方角はな。

  魔物の流れがあっちから来ていたから、確実にあっちに1個はある」


地図を指さしながらレイさんが説明した。


「ではそろそろ拠点を前に造るか? 草原ゾーンはもう脅威はないだろ?」


「そうだな、拠点づくりに半日だっけ、明日ユージ君に王都へ連れて行ってもらって、

 王様へ報告して職人と結界士を借りてくるか」


「じゃあ明日は範囲は広げず、冒険者達は、その拠点づくりの邪魔をされないように守ってもらう感じ?」


「いや、半々で別けよう、さすがに過剰だろう」


「ここみたいに、ずっと柵を作るんですか?」


気になったので俺も聞いてみる。


「いや、違うよ、この拠点から草原に出て、道をこうまっすぐ伸ばしていって、このあたりかな?

 このあたりだけに、みんなが滞在できるスペースを確保してここだけ柵で囲う。

 そして結界士に結界を張って貰うってところかな」


「あとはみんなでテント張りだね~」


「なるほど」


「あ、ユージ君、今日ダンジョン攻略中に思いついたアイディアがあるからさ、

 クレナイ工房の人に伝えてほしいんだけどいいかな~」


ララさんが遠くから話しかけてきた。


「いいですよ」


「じゃあ、この作戦が終わるまでには手紙書くから、お願いね~」


「わかりました」


「・・・お前戦闘中に余計なこと考えてるとケガするぞ?」


「仕方ないでしょ、思いついちゃったんだから」


「まあ、それで今までもいろいろ改善されてきたからな」


「でしょ?」



◇◆◇◆◇◆


次の日

オルガンさん達を王都へ連れて行き、

俺は出張してくれる飲食店の人たちを2往復で拠点へ連れてきた。


後は朝ごはんが終わったら一度連れて帰り、昼前にまた連れてくる、夜も同じ感じで街に送り届けたらミッション完了だ。

今日は最後に一人で前線に帰るのではなく、オルガンさん達を回収して前線に戻った。


「王様がユージ君のことを欲しがっていたよ」


「マジですか」


「うん、とても礼儀正しいというのも評価されていたね」


「そうなんですか・・・」


「まあ、じっとしていられない、冒険者を体現したような少年だと伝えてあるから」


オルガンさんは苦笑しながらそう言った。


「ん~ フォローありがとうございます」


「いえいえ、どういたしまして」



前線の延長工事は明日から行われることになった。


昼過ぎに冒険者達が配置についてから、俺がテレポートで王都から職人たちを2回に分けて連れてくる。

資材はその人たちの持ち物として一緒に搬入予定だ。



◇◆◇◆◇◆


次の日


予定通りに俺は職人たちを王都から前線に連れてきた。

前線と言っても、拠点ではなく、拠点から半日ほど歩いた原っぱの真ん中だ。

ここに結界発生装置を設置して、テレポートの着地点に設定したのだ。


現在はたくさんの冒険者たちが囲んでて安全地帯となっている。


職人たちは最初おっかなびっくりしていたが、いざ仕事が始まるとそんな様子はなりを潜め、

あっという間に柵が作られていった。


カンカン、カンカン・・・


内側ではすでに何人かの冒険者たちが、職人の邪魔にならないようにテントを張り始めていた。


そして日が沈む前に柵が完成。

俺は1回目のテレポートで3人の職人を王都へ返し、代わりに結界士と結界士専用の護衛兵士2人を連れて前線に舞いもどった。


「ユージ君、すばらしいね」


結界士のおじさんはテレポート先の前線を見回しながらそう言ってくれた。


「ありがとうございます」


「ジーク殿」


すかさず待機していたオルガンさんたちが近寄ってきた。


「おお、昨日ぶりだな、オルガン、彼はすばらしいな」


「ええ、とても助かっているんです」


「ユージ君と俺が組んだら、各地の結界の張り直しもはかどるぞ」


実は僧侶は星の数ほどこの国にもいるが、テレポートを使えるまでのレベルになっている人はほとんどいない。

3人この国の出身者で使える人はいるらしいが、全員別の大陸に行っており依頼には応じてくれないらしい。


「そんなことしたら場所の秘匿のために、

 ユージが表に戻ってこれなくなるじゃないですか」


「え?」


「まあな、こればっかりは仕方がないか。

 ちょうど冒険者を引退する若い僧侶がいればいんだがなぁ」


「いやそれはそれでまた・・・」


「まあ今はいい、では結界を張るぞ。

 初回だから一回全員外に出てくれ」


「よし、みんな一度壁の外に出てくれ、結界を張っていただける!」


その声を聞いてみんなでぞろぞろと外へ出る。

護衛の兵士さん2人は結界士のジークさんの手伝いをしてから、駆け足で外に出てきた。



次の瞬間、多角形の青白い光がジークさんから発生し、壁の位置で止まり、しばらく振動した後にフッと消えた。


「終わり、終わり」


中の方からジークさんの声が聞こえ、護衛の兵士さんが駆け足でジークさんの元へ走っていった。

続いて俺たちも中に入る。


「これで結界が張れたんですね」


「そうだね、数日前から詠唱をして準備をしてくれていたから、現地ではこんなものだよ」


オルガンさんがそう教えてくれた。


「ジークさん、順調ですから、また数日後にお願いすると思います」


「わかった。こちらも準備しておく」


「ではユージ君、お願いするよ」


「はい、では行きますね」


「うむ」


護衛の兵士さんも頷いたのを確認し俺はテレポートで3人を王都へ帰還させた。


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