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【第39話】2回目のパーティで18歳を迎える

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Cランクの剣士、フック

Cランクの剣士、ビーツ

Cランクの魔法使い、リリ

Cランクの僧侶のユージ

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「「「誕生日おめでとう」」」


「ありがとうございます」


1月になり、俺は18歳になった。

俺の誕生日はリリさんによって把握されていたため、パーティのみんなからお祝いをして貰っていた。


とあるレストランの一角を貸し切って、たくさんのおいしそうな料理が並んでいる。

みんなで楽しく食事をした。


さて、1月ともなると寒さが激化して外ではまともな狩りが出来なくなるので、

俺たちは稼ぎは減るもののダンジョンへと行くようになっていた。


最初に俺とフックがダンジョン前まで行き、場所を覚えたらテレポートで帰り、

MPポーションを飲んでからそこへみんなでとんぼ返りといった感じでいろいろ巡り、

先週からは

西エリアの冒険者ギルドから馬車乗り継ぎで1時間半ほどの場所にある

鍾乳洞(しょうにゅうどう)のダンジョンで落ち着いたところだ。


少し寒いが風はないし、マントで十分だ。

あと、鍾乳洞は少し寒いのと足場が悪いというところで人が少ないのもいい。


料理を食べ終え、まったりとした空気の中、剣士のビーツと、魔法使いのリリが立ち上がった。


プレゼントはさっき貰った。ハンカチ。

今度は何だろうと思って、横にいるフックを見ると、まさかという顔をしていた。


「あの、俺たち結婚しようと思ってます」

「この王都を離れて、ビーツの生まれた町に行ってみようと思ってるの」


二人は手をつないでそんなことを言った。


「だあ・・・まあそうだろうな」


フックはちょっと嘆くようにそう言った。


ん?

つまり?


「外が寒くなって狩りも停滞してきて、

 みんなの熱も下がって来たこのタイミングがいいかなって思ったの」


「俺ら2人、このパーティから抜けて、冒険者もやめようと思ってます」


「えっ」


「だよなぁ・・・」


驚く俺と、何とか声をひねり出すフック。


(はあああ???)


「ごめんね」


「いや、仕方ないさ。幸せになれよ」


「おめでとうございます」


俺もフックに(なら)って祝福をする。

というかこの2人、そういうそぶり全くなかったんだけど。


「ありがとう。2人はどうするの?」


(え?)


「俺はそうだな、お前らと以外では全然想像つかないよ・・・傭兵団にでも入れて貰うか」


「それだと出会いなくない?」


「まあそれは冒険者やってても同じだろ」


そういってフックは背もたれに背を付けた。

別れることは確定なのに気軽な感じの会話が当然のように進んでいく。


「ユージ君はどうするの?」


「俺も何も考えられないです・・・

 ああ、でも、テレポートも覚えたので、一回実家に帰って顔見せてもいいかなと」


実は少し前から考えていた事を、今思いついたかのように喋ってみた。


「それはいいと思うよ」とビーツ。


「うんうん」


「あの、いつからパーティ解散なんですか?」


俺は立ったままの2人と、イスにうなだれている1人へ、今最大の疑問をぶつけた。


「そりゃユージ、今日だろ」


フックがそう言い、二人を見ると申し訳なさそうな顔をした。


(えええっ、マジで?)


「ユージ、いや、こうなったら俺たちはあの二人を笑顔で送り出すしか出来ねぇ」


「は、はい」


二人でニカッと笑う。


「あはは、ありがとう」


「ありがとう2人とも、すごく楽しかった、一生忘れないわ」


二人はそう言って、そのまま出て行った。

俺はあまりの出来事に言葉を失った。


「いやぁ・・・まじかぁ・・・」


フックはだらしなく椅子の背もたれにもたれたままそう言った。


「え? ていうか、これでお別れなんですか?」


「お別れだ。全部終わり」


「えええ・・・」


「・・・あのなユージ、冒険者の引退には大きく2つある。

 ケガで惜しまれつつ辞めるやつ、そして今みたいに結婚なんかで円満に辞めるやつだ。

 更にその後の仲間同士の関係性にも2種類ある」


フックはジロリと俺を見た。

時々このジロリをフックはするので怖くはない。


「今後も良き友人としてっていうパターン。

 そして今みたいに、今後は他人でっていうパターンだ」


「は? え、他人!?」


「そうだ。

 まあもちろん街中で偶然であったら挨拶くらいはするだろうけど、それ以上は関わりを持ちたくないって事だろうな」


「はあ? ええ!? 結構仲良かったですよね??」


「いや、普通だろ」


「あれ」


「まあ、終わりだななんにせよ。

 ユージ、俺も楽しかったよ」


フックが握手を求めてきたので俺は姿勢を正しそれに応じた。


「・・・俺らは稼ぎすぎた。

 だからあいつらは危険を冒す必要がなくなり、

 これからは稼いだお金を少しづつ消費しながら、普通の仕事をして生きていくんだろう」


「・・・なるほど」


そう言えばビーツがこの前、俺たちは日で1か月分稼げている、みたいな話をしていたな。

でもそれで、今後は他人ってどういうことだよ。


「もしかして、フックさんが二人に何かしたんですか?」


「知るか。少なくとも俺はリリには何もしてないぞ。純粋に嫌いだったんじゃないか?」


「うわ、じゃあもう止めましょうこの話」


「くっそーだんだん腹が立ってきた・・・」


「お開きです、・・・というか俺たちもお開きですかね?」


「・・・2人で会っても仕方ないだろ、悲しみしかない」


「ううう。そうですね・・・」


「俺は傭兵団に入るよ、Bになってればいい役職に就けただろうけど仕方がない」


「あ、だったら一回冒険者ギルドへ行ってみませんか?

 そこでBにすぐなれそうか聞いて、なれそうならもう少し冒険者やるって手もありますし」


「ん~ いやいいよ。

 俺もお金はいっぱいあるから、今更面倒な指揮官とかやらずに

 下っ端戦闘員でやっていくから」


そういってフックはふらりと立ち上がる。


「ユージ、お前は見込みのあるやつだよ。

 がんばれよ」


「・・・はい、今までありがとうございました」


「ん。ではな」


「さようなら」


「ああ」


俺はその場から動けず目だけでフックを見送った。


ゴツゴツと、フックが歩くブーツの音が遠ざかり、その先でドアが開き、そして閉まる音が聞えた。


(・・・はあ~?)

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