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【第25話】さらば!ラティスの村

依頼を受けて約束の3日目が経過した。


俺はドローンの空中からの高速索敵を使い驚異的な速度で魔物を狩り続けた。

ツタ登りも特殊工作員かという速度になった。


その結果、無事に依頼完了となった。


また、ホーリーライトという魔物にだけダメージが入る魔法も習得した。

銃と同じ効果だ。


「ユージ君、君は魔物を見つける才能でもあるのかな?」


受付けのおじさんが魔石を隣の買取カウンターのお兄さんに渡した後、

俺にそう話しかけてきた。


「ああ、才能ではなくて・・・」


「それもギフトか?」


「一応、はい」


「すごいギフトだな」


そうかもしれません、とでも言っておけばよかったのに、

走り回った疲れのせいで、脳死で返事をしてしまった。


「あまり知られたくないという事なら、俺とコイツの秘密とするが・・・

 共有しておいた方がそれにあった依頼が指名で入ることもあるし、

 それを達成すれば当然ギルドの評価も上がるぞ?」


「そうなんですか?」


「そりゃそうだ。

 ギルドは仕事をこなせる実力者はちゃんと好待遇で囲い込むぞ?」


レオン達との出会いで今はそれが怖いんだよな。


「実は、俺のギフトは人間には使えないんです」


「どういうことだ?」


俺は自分のギフトの銃に関する話をした。


「なるほど・・・もしかして、人間に悪意を向けられた時のリスクが気になっている、という事か?」


「はい、俺、今だったら下のランクの前衛職にさえ勝てないと思うので。

 同じランクの前衛職だったら、たぶん小突かれただけで吹き飛ぶかもしれません」


「なるほど・・・ユージほど若い子供がサクセスストーリーをたどっているのを見たら、

 もしかしたらそういうバカも1人や2人出てくるかもしれないな・・・。」


受付けのおじさんは天井を見ながらうーむとうなった。


「そうだ、であればユージ君にいい人を紹介しよう」


「どういう人ですか?」


「その人は僧侶でありながら、格闘家で成功した冒険者でね。

 名前をリョウタロウというんだが、彼のもとで身を守るすべを習うまでは秘密、ってのはどうだ?」


「僧侶で格闘家ですか?」


「ああ、俺の記憶では格闘家と互角に渡り合っていたぞ。

 もちろん、格闘家の技は使えないんだが」


「ぜひお願いしたいです」


「わかった、では紹介状を書くとしよう」


そういうとおじさんは引き出しからレターセットを取り出し紹介状の作成に取り掛かった。



◇◆◇◆◇◆


「さて招待状を渡す前に。」


「はい」


「修業はもしかしたら1年とか2年とか、年単位になるかもしれない。

 俺が紹介するんだから、お前も途中で投げ出さないよう頑張ってほしい。

 でないと、今後ユージと同じ悩みを持った僧侶が来たとき、紹介状を書いても断られるかもしれないからだ」


「はい、頑張ります・・・もちろん後輩のためにも」


本当は、自分のために頑張りますが本音だ。


「そうか。あとは、リュウタロウが弟子を取る際、お金を取っているか知らない。

 もしかしたら入門料などが、いるかもしれない」


「お金は稼ぎなおせば済むから大丈夫です。あ、足りない場合は依頼を受けないとだめですけど」


「うむ、そこは悪いが頼む」


「いえ、悪いなんてないですよ、こちらこそ一番の不安が解消できるかもしれないので、大丈夫です」


「そうか。ではこれが紹介状だ」


ユージは紹介状を手に入れた。


「ありがとうございます、どこに行けば会えますか?」


「この後手紙を出すから、王都のギルドでしばらく待ってもらうことになると思う」


「わかりました、日帰りの依頼を受けて毎日ギルドに顔を出すようにします」


「うむ、リュウタロウはいいやつだ、お前の方で勝手に見切らずに精進してくれ」


「え? はい」


「おい、魔石の鑑定は終わったか?」


「終わってますよ」


-------------------------------

残高:7,143,500

入金1:164,000

入金2:400,000

-------------------------------

       ↓

-------------------------------

残高:7,707,500

-------------------------------


チンっと小気味の良い音がして、液晶の数字が更新された。


「よし、明日は王都だな。しっかり飯食ってから寝ろよ」


「はい、ありがとうございました」


「元気でね」


「お二人も元気で」



◇◆◇◆◇◆


翌日、朝ご飯を頂いてから、俺は一通り挨拶をしてから(とりで)・・・じゃなくてラティスの村を出た。


いつもの森へ続く道ではなく、反対側に伸びる王都への道へ足を向ける。


「緊張するなぁ・・・よし」


俺の左手には棒のような杖があった。

結局この古い杖も持っていくことにしたのだ。

意味はない。


王都でバカにされる可能性はあるんだけど、なんとなく置いていけなかっただけ。



◇◆◇◆◇◆


道には結界が張られている。

道だけではなく、30メートルくらいは魔物が寄り付かない効果がある。

だから安全に歩を進められたし、こうやって食堂で作ってもらったお昼ご飯も安心して食べられる。


こんな結界を張れる僧侶は実に優秀な適正だ。うんうん。

そんなことを考えながら水も飲んで、また歩き始めた。


1回ギルドの馬車とすれ違った。

2日に1回、補給と、魔石の回収をするギルドの馬車だ。


受付けのおじさんの手紙も俺を追い越して王都へ向かったはずだ。



1日目

残念ながら王都へは歩きで1週間ほどかかる。

なので俺は日持ちをする携帯食料を1週間と2日分、リュックに詰めてきている。


水場については地図に書かれていたのでそこで補給する。


場所によっては道から大きく外れたところもあったが、

そういうところは魔物に気づきやすくするために、木などが伐採され見通しは良くされていた。

日が昇っている間は平気だろう。


体や服の汚れをクリーニングの魔法できれいにしてから、リュックを枕に目を閉じた。



2日目

この大陸で2組目のパーティとすれ違った。


「森の方から来たのか?」


「ええ、そうです」


「何か変わったことはなかったか?」


「特に何もないですよ」


「そうか、ありがとう。

 こっちの道も特に異常はないぞ」


「ありがとうございます」


交わした会話はこれだけだった。



3日目

お昼ご飯を食べようとして、ふとインベントリの中に入っている携帯食料のことを思い出した。

以前弾が復活したのを確かめた後、もしかしたらインベントリの中も復活するのではと思ったことはあったけど、

試す機会がなく半ば忘れていたものだった。


俺は半透明のポシェットを掴んで目の前に持ってくる。

するとそれはリュックの形のインベントリとなった。


俺は携帯食料を1つ取り出す。

携帯食料は高さ2cm、横幅5cm、長さ10cmで、文字がびっしりのパッケージで、

袋を破いてみると、すっと袋が消えて、手には横幅2.5cmの棒状のものが2つ残った。

究極エコなパッケージだな。


「どんな味がするんだろう・・・もぐ・・・レーズン味だ、なかなかいけるじゃん。

 もぐ。・・・ん、もう一つはオレンジか」


レーションは適度にしっとりしていたが、何度かに一回は水が必要だった。


「・・・なんだ、体に力がわいてくる感じが・・・」


食べ終わって感じた、体が喜ぶ感じ。


そういえば確かこの携帯食料、

HP回復とスタミナ回復効果があったはずだ。

これがこちらの世界でも再現されているのだろうか。


「いや、いいなこれ。 復活してくれ~」


俺は両手を合わせ、天に祈った。



◇◆◇◆◇◆


4日目


「うしっ」


はたして、俺の祈りは天に通じた。

朝にインベントリを開いてみると、そこにはしっかりと携帯食料が2つ存在していたのだ。


「ソロだし、これならどこへでも行けちゃうな」


俺はインベントリ内の他のアイテムも眺める。


インベントリには、

手りゅう弾、包帯(HP回復)、携帯食料(スタミナ、HP回復)、クスリ(状態異常回復)などが2つづつ入っている。

スロットは1つ空いているものの、こちらの世界のアイテムは入らないのでもったいない感じ。


「なんかこうしてみると、冒険者セットって感じだな」


ふと目に留まったのは手りゅう弾。

ゲームでは投げて3秒後に炎のエフェクトが出て、半径10mほどのゾンビを吹き飛ばしていたが、

こちらの世界でもそれが反映されているのだろうか。


俺はあたりを見回し、見ている人が居ないことと、魔物を探すがどちらもいなかった。

とりあえず投げてみるか。


「おお、結構重いんだな」


俺はポンポンと右手で手りゅう弾の重さを確かめてから、左手でピンを抜いた。

ピンは抜いた瞬間にすっと消えた。


投げる!


ズドン!


棒立ちで見ていたが、おそらく爆発した地点からちょうど10mほどで破片なども消えてそれ以上は影響は出ないようだ。


「これは使えるぞ。 ・・・あ!」


喜んだのもつかの間、俺は目の前の光景を見て気づいてしまった。


「草木が全く影響を受けてない、つまりこれも、魔物にだけダメージが入るものって事か?」


ゲームではおなじみの、壊れないオブジェクトたち。

おんぼろな木の小屋でさえ、手りゅう弾では傷一つつかないという設定が反映されている?


「もし閉じ込められたりとかしたときに、銃でドアノブは破壊できないし、

 手りゅう弾で破壊することもできないって事か・・・」


あんなにすごい爆発だったのに。


「・・・いや、それでも魔物を倒す手段があるってことはとてもプラスな事だ、・・・落ち込むのは違うだろ」


1日2回だけど、集団に対する攻撃手段かつ、

直線状では狙えない場所にいる魔物も倒せる可能性が出てきた。

それだけで十分だ。


「俺はついている!」


俺は無理やりガッツポーズを取った。

少しして、気分がついてきて、心から嬉しい気分になった。

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